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-天才-

2007年04月10日 | パラダイム・シフト



 天才とはどんな人か



 ドイツの精神医学者クレッチマーは、「天才とは、積極的な価値感情を広範囲の人々の間に、永続的に、しかも稀に見るほど強く呼び起こすことのできる人格」と定義している。


                   


 ここでいう、積極的な価値感情とは、尊敬や、驚嘆、親愛などの感情である。

 しかもそれは、大衆の一時的な気まぐれや流行や熱狂ではなく、人類にとって永続的に続くということが原則である。



 創造性を促進する環境



 子供を対象に、知能指数と創造性の測定テストを行った結果、興味深い事実が判明した。


                  


 知能指数がほぼ遺伝的に規定され、環境の変化によってあまり変化しないのに対して、創造性は、様々な環境的要因によって大いに促進されることが明らかになったのである。

 ここでいう、創造性を促進させる環境とは、心理的な安定感と自由が与えられる環境である。

 つまり、天才と呼ばれる人物は、生まれながらに天才であるという面もあるが、後天的に作られる面も確かにあるといえる。



 創造的な子供



 ターマンは、「知的優秀児が性格的にも好ましい特徴をより多く持っている」と主張している。


                  


 しかし、他の研究者の中には、「好き嫌いが激しく、興味が偏っている」とか、逆に「興味・関心が拡散していて落ち着きがない」というような指摘もある。

 トーランスは、創造的な子供の特徴として、

   - 先生や同級生から、おかしな考えをするという評判をとっている
   - 行動が普通の型から逸脱して、標準に沿わない
   - 行動にユーモアや遊び半分の面があって、慎重さに欠ける
   - 自制的な面と衝動的な面の両方を持っている
   - 不愉快な体験でも思い出すことができる(防衛的でない柔軟な自我を持っている)

 などの特徴をあげている。

 これらは、将来の創造性(未来の天才)を予想させる因子であるが、その多くが、非行少年や問題児の予測因子とも共通している。


                  


 そのため、常識的な教師や親の対応は、これらの子供を禁止や促成や強制によって、当たり前の偏りのない、思慮深い子供にしようと教育することであろう。

 ところが、子供の創造性は、一度失われると二度と再現しないことが多い。

 大人達が、創造的な子供の諸特性を肯定的に捉えるか、それとも、否定的に教育・治療・矯正の対象と見るかによって、未来の天才の運命は大きく変わるのである。



 天与の才能の芽



 否定的なレッテルを貼られることで、創造的な子供が"問題児"などの否定的同一性を身に付けることは、稀ではない。

                   


 しかし、彼らが理解ある大人に恵まれて、創造性を促進する心の安心感と自由さを持つことができれば、運命は大きく変わる。

 もちろん、これまでの天才の全てがこのような幸運に恵まれた人々だったというわけではなく、教育という面ではむしろ不幸な人々が多かった。

 しかし、天与の才能に対する本当の理解が、百倍、千倍の天才を育て上げることも夢ではない。


                   



 編集後記



 天才の使命とは、自身に備わっている才能を使って世の中(地球環境)をより良くすること。

 天才とは全知全能で万能な存在ではなく、「天」与の「才」能を持った人間のことで、自分の才能に気づいてそれを信じるところから全ては始まる。

 天才として生まれた者の悲劇とは、自分の才能に気付かず、いたずらに才能を遊ばせて人生を終えてしまうことなのかもしれません――。




【記事引用】「天才~創造のパトグラフィー~/福島章・著/講談社
【画像引用】「FOTOSEARCH」「jiten.com


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