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故障したNanoVNAを修理するため、表面実装部品の交換が必要になりました。通常の半田ごてだと熱をすべての足に行きわたらせるのは難しく、人によっては故障パーツの全ての足を切断してから取り外す方もいます。今回は、流行り(?)のヒートガンを使った交換をやってみました。使い方はyoutubeなどで「SMD ヒートガン」などの条件で検索すればたくさん出てきますので、参考にしてください(SMD=表面実装部品)。
実際の修理事例の前に、使用した工具などをご紹介します。
■使用する工具など
専用のヒートガンだと、以下のようなものが使われているようです。
対象箇所に熱を集中させるため、先端に取り付けるノズルも付いています。
半田は200~300℃で溶けるので、今回は上記のものは使わずに手持ちのヒートガンが使えるか試してみました。仕様上350℃までの対応なので、なんとかなりそうです。
このヒートガンは熱を集中させるオプションノズルが付いていないので、別途購入して取り付けます。しかし、入手できるものは取り付け径21.4mm用のものがほとんど。こちらの機種の先端径は25mmなので、そのままでは取り付けできません。ちょっとだけ手を加えて取り付けてみます。
どのくらいの先端径が適切か分からないので、とりあえず7mm径のもので試します。
先端とねじで締め付ける部分を金鋸で切り込みを深くしていって、つながっている部分を15mmくらい残すようにします。
締め付け部分の板を少し広げると、いい感じではめ込むことができました。もともと径が違うので、ぴったり中心にはなりませんが。
部品の取り外しや位置決めは、ラジオペンチよりピンセットの方が使いやすいです。
あと、基板用フラックスとペースト半田は必須です。ペースト半田は融点が低めなので、作業が容易になります(今回購入したものは183℃)。部品を外した後の基板クリーニングには、半田吸い取り線を使用します。
■部品の取り外し手順
作業場所に近い取り外し可能な部品は事前に外しておきます(NanoVNAの場合は液晶パーツやバッテリーなど)。目的の部品以外に熱風があまりかからないよう、作業場所以外をアルミホイルで覆うのもよいでしょう。
取り外す部品の周囲にフラックスを多めに塗り、足の部分にペースト半田を少し多めに(半田ブリッジができてもよいくらいに)塗っておきます。あとはヒートガンで熱風をあてていきます。風量2段階のうち、温度が高い方の設定でしばらく熱していると、無事半田を解かす事ができました。
半田が溶けてきたらピンセットでつついてみて、部品が動くようになったら他の場所にくっつかないよう部品をずらして取り外します。その後半田吸い取り線で基板をクリーニングしたら、無水エタノールでフラックスの汚れをきれいにしておきます。
新しい部品の取り付けの際には、基板側にはフラックスを薄く塗り、向きを確認しながら部品を置き、端子部分に少量のペースト半田を乗せます。
続いて半田を溶かすのですが、ヒートガンで熱を当てペースト半田を溶かして半田付けするすると、半田の表面張力できちんとした位置に部品が固定されるのですが、ピンのピッチが狭いとどうしても半田ブリッジができてしまい後処理が結構大変です(慣れればできるのでしょうが)。最終的にはヒートガンを使わずに半田ごてで1ピンづつ付けていった方が確実でした。
最後に半田ブリッジがないかをルーペなどで確認しながら、半田ごてで1端子づつ再加熱するのが良いでしょう。
チップ抵抗や端子の少ない(間隔の広い)部品であれば、ヒートガンでの半田付けでも良いように思います。