盛岡~宮古間(100km)は列車よりも路線バスが便利
バスも列車も所要時間は2時間だが、運転間隔が異なる。バスは1時間に1本であるのに対して、列車は1日4本、しかも盛岡始発が11時台であり、午前中に宮古駅には到着しないのである。利用者がないから列車はワンマンの1両になったのだろうが、利用者のない時間帯に走らせているのは、JRが将来の廃線を見込んでのことあった。
列車事故は2015年12月11日午後8時、松草~平津戸間で起こった。鉄道線路に山地からの土砂崩れがあり、それに宮古発盛岡行きにディーゼル列車が乗り上げたものである。長さ40m、山地斜面は25mの土砂崩れだが、復旧するための足場が悪く、復旧工事は難航している。
盛岡~宮古間1日4便の意味
JRが山田線の運行時間を不都合にし、途中駅の無人化を進め、枝線の岩泉線を廃止した時、沿線住民は山田線廃止の近いことを予感した。しかし、山田線の廃止を中止したのは、皮肉なことに2011年3月11日の東日本大震災と巨大津波による、沿岸地域の大被害であった。三陸沿岸の被災地の過疎化をさらに進めるようなJRの意向は、被災者救済の人道的見地から完全に拒否された。
しかし、山田線の運行は1日4便であり、JRの乗客を鉄道からバス利用に転換する姿勢は続いている。駅の無人化、途中駅廃止、列車停車駅削減、緑の窓口の廃止など、JRのサービス低下が止まらない。鉄道路線の維持管理や駅舎整備にも、熱意はない。事故が起こったことも、復旧が遅いことも、JRの経営姿勢そのものの現れであろう。
JR宮古駅。陸中海岸の観光の中心駅としてはさびしい限りである。駅員は親切だが、列車は少ないし、駅前で食事をすることも簡単ではない。
盛岡駅発車時刻。盛岡~宮古間は1日4便。利用者は各便20人前後である。2便は快速であり、停車しない途中駅がある。盛岡~上米内までの本数が多い。
上米内駅。盛岡駅から10km、15分。利用者は1日100人程度である。列車の折り返しのために駅員が配置されている。5月のゴールデンウィークに桜が咲く。春は遅い。
三陸鉄道北リアス線
宮古駅を起点とする三陸鉄道は第3セクターによる経営であり、公費が投じられて、JR山田線よりは利用しやすい。しかし、三陸鉄道とJR山田線の接続が悪い。途中の田老は宮古市の一部であり、巨大防潮堤がありながら2011年に津波の大被害のあったことで知られることになった。
また、この路線はNHKの朝ドラ「あまちゃん」以来、賑わっている。
車両も山田線よりは人気がある。
三陸鉄道北リアス線宮古駅発の時刻表。三陸鉄道宮古駅は、JR宮古駅と隣接。三陸鉄道とJRの線路はつながっているが、列車も経営もつながっていない。
田老の破壊された防潮堤。2011年の津波で、田老は陸中海岸浄土ヶ浜よりも有名になった。
てんでんこ。べつべつをてんでんこと言う。津波の時には、みんなそれぞれ自分が逃げよう、と考えて実行できた地域では津波死亡者が少なかった。