口腔カンジダ症(oral candidiasis)のページを更新
- 口腔カンジダ症(oral candidiasis)は、おもにカンジダ・アルビカンスというカビ(真菌)によっておこる口腔感染症です。鵞口瘡(がこうそう)とも呼ばれます。急性型と慢性型があります。口腔粘膜の痛みや味覚障害が出ることもあります。口腔カンジダ症は経過および症状から次の4型に分類されます。急性偽膜性カンジダ症、急性萎縮性カンジダ症、慢性肥厚性カンジダ症、慢性萎縮性(紅斑性)カンジダ症です。 急性型である偽膜性カンジダ症は灰白色あるいは乳白色の点状、線状、あるいは斑紋状の白苔が粘膜表面に付着しています。この白苔をガーゼなどでぬぐうと剥離可能ですが、剥離後の粘膜面は発赤やびらんを呈しています。白苔が認められない萎縮性あるいは紅斑性カンジダ症は舌乳頭の萎縮や粘膜の紅斑が特徴で、偽膜性よりもヒリヒリとした痛みが強くなります。口角の発赤、びらん、亀裂を認める口角炎もカンジダが原因になっていることが多くあります(カンジダ性口角炎)。病変が慢性に経過した肥厚性カンジダ症では、白苔は剥離しにくく、上皮の肥厚を伴うようになります。舌疼痛例の約1/9、味覚異常の約1/5がカンジダ菌が主な原因であるとの報告もあります。
- ■ 原因
- カンジダ菌は口腔内の常在菌の一種で、普段はある程度以上は菌数が増えないように他の菌と共存しています。健康な人の場合は発症することはほとんどありませんが、口腔カンジダ症は口腔内環境といった局所的因子の他に全身的因子によっても発症します。具体的には、副腎皮質ステロイド薬の投与を受けている方や何らかの基礎疾患(血液疾患、AIDSといった免疫不全症、糖尿病など)がある方、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者の方、唾液の分泌が減少している方、長期間にわたる抗菌薬の服用をしている方など、常在菌間のバランスが崩れるとカンジダ菌が異常に増殖して発症します。
- ■ 治療
- 口腔カンジダ症の治療は通常は抗真菌剤の使用と口腔ケアを行います。抗真菌薬としてはミコナゾール、イトラコナゾール、アムホテリシンBなどが全身的投与されたり、含嗽剤、口腔錠、軟膏、シロップ剤などとして処方されます。原因となっている基礎疾患の治療や原因となっている薬剤があれば投薬を中止したりします。 高齢の方は、摂食、嚥下機能が低下して、口の中で増えたカンジダ菌を誤嚥(飲食物や唾液が誤って気管に入り込むこと)してしまう危険があります。肺カンジダ症予防のためにも、摂食嚥下機能と口腔内の良好な衛生状態を保つことが大切です。新生児期や乳児期の場合は自然治癒することも多いので、積極的な治療は行わないで経過観察することもあります。2%重曹水(アルカリ性含嗽剤)、乳酸菌やラクトフェリンが有効との報告もあります。