レンチウイルス (lentivirus)のページを更新
- レンチウイルス (lentivirus) はレトロウイルス (retrovirus) 科に属するウイルスで、gag、pol、envの 3つの必須遺伝子以外にも、多くの遺伝子をゲノム内に持っている。 レンチウイルス・ベクター (lentivirus [lentiviral] vector)はレンチウイルスのゲノム配列を利用したベクターで、増殖中および増殖停止中の細胞に感染させることができる。目的の遺伝子は細胞の染色体に挿入されるため、細胞を継体しても導入遺伝子の発現は安定している。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などが知られる。構造蛋白質に変異を起こしやすく、免疫防御機構をすり抜けて感染し、逆転写酵素を用いて自身のRNAをDNAに変換して宿主のゲノムDNAに挿入、感染する。
ウイルスベクターとして用いると、分裂細胞だけでなく神経細胞や肝細胞などの非分裂細胞、幹細胞など一般的なレトロウイルスベクターでは導入が難しい細胞も含めて、ほぼ全ての哺乳類細胞に遺伝子導入できる他、in vivoで直接遺伝子を導入できるメリットがある。
一方、目的遺伝子の発現量が、他のウイルスベクターよりも弱い傾向がある。レンチウイルスにはHIVの他に、サル免疫不全ウイルス(SIV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)、馬伝染性貧血ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、ビスナウイルスなどが報告されているが、ウイルスベクターとしては、HIVベースのものや、FIVベースのものが用いられることが多い。