まむし指

「まむし指」っていう言葉は、多くの人には新出単語だと思います。

これは何を指しているかというと、親指の付け根が凹んでしまうので
結果的に第一関節が出る状態のことをいいます。
つまりその状態が「まむしが頭をもたげたように見える」状態になるので
「まむし指」と呼ばれているらしい・・・。

でも親指だけでなく、どの指に関しても付け根が凹んだ状態になっていて
全部がまむし指状態になってる子がいるんですよね。

これは、ピアノを弾く上でけっこう大きな問題になります。

「まむし指は何が問題か」というと、指の付け根が凹んでいる状態で打鍵するので
付け根でワンクッション置いた状態になり、指先に体の重みが伝わらないというか。

結果きれいに打鍵できないので、パサパサした音しか出ないんですよね。
しかもつけねが凹んでいると速い動きが困難なため、
あるところから先は進めなくなってしまうんです。

こういう状態は、幼児や小学校低学年だとピアノに向かわせる前に
いっぱい手遊びとか、ボール投げとかして
手の筋力の機能を十分使う遊びをすることで治ったりすることがあるらしいけど。

年齢が進むにつれて、だんだん大変になってくるんですよ。
治すのには、かなり本人の根気がいると思うんです。

ところが先月、自分の教え子が連れてきたある学生さんの弾きっぷりを見て、
思わず愕然としちゃいました。

その女子学生は、○○音楽大学のピアノ科４年生だというのですが
全部の指が所謂「まむし指状態」なんです。
ですから、その子の演奏をラフマニノフを聴かせてもらいましたが、「まむし指であるが為に・・」の
典型的な状態です。

でも不思議なのは、この女子学生は自分がまむし指であることに気がついてる様子がないんです。
「指の付け根や形のことで、誰かからこういう風にした方がいいよって言われたことない」
・・・って聞いても「指のことでですか？ないと思いますけど・・」

「大学の担当のピアノの先生からはどんなことをよく言われる」
「え～（笑）そうですね。全然上手くならないわね、とは言われますけど（笑）」
「もっと音楽的に弾きなさいって言われます」

「・・・・」


「うーん、困った状態」です。
やっぱりまむし指のことを言った方がいいのかな。
でも「まむし指」って言葉を聞くと、自信喪失しちゃうと思うから
「まむし指」って言葉を使わずに説明した方がいいかな・・・

でも不思議なのは、どうして彼女の幼少の時からの先生も
現在の大学のピアノの先生も何も言わないんだろ
言わない方が良いから、言ってないのかな　そしたら私も言わない方がいいのかな。

でも言わなきゃ、彼女は何にも知らないままで何の前進もしないと思うし。
知らせて今からでもいいから、凹まないで打鍵する練習をすれば
５年後、１０年後は今弾いてる音より絶対きれいな音が出るはずなのに。。。

うーむ悩める状態です。