あの頃は、分からなかった。
無駄だなぁ… と感じる、出来事や会話の中に、
緩やかに流れる、大きな癒しの波が、あることを。
合理的な会話を、必死に体得しようと、学んで来たのは、
ただただ… 我が子のため。
公的な場で、冷静に、欲しいものを、勝ち取るため。
本来の私は、どうでもいいことを、だらだらと語っていたいのよぉ〜〜〜( 笑 )
ひとりで… 寒さに震えながら、
冬空を、撮影していた私に、
とびきりの笑顔で、話しかけて来てくれた…
見ず知らずの、あの人。
暇つぶしに、どうでもいい話を、したいだけなのは、分かっていた。
私も、他愛もない話で、一緒に盛り上がって、大笑いしたかった。
なのに… 私は、
短い会話と、軽い会釈をして、足速に、立ち去ってしまった。
あの人は、とびきりの笑顔を、見ず知らずの… 私に、くれた。
あの人と同じように、人恋しい… 私の瞳には、
マスクをしていない、その顔に映し出された、
陽だまりのような、あの笑顔が、今も、消せないまま… 残っている。