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運河プラスチックごみを回収しています オランダ

2022-01-03 | サハリン話題
楽しくて、まちに貢献もできる。オランダで大人気のプラスチック釣りツアー

2050年までに、海洋プラスチックの重量は海中にいる魚の重量を上回る可能性がある。2016年1月、エレン・マッカーサー財団は世界中の経済界のリーダーらが集うダボス会議の場でそんな衝撃的なレポートを発表した。
現在、海洋に廃棄されるプラスチックゴミの量は少なく見積もっても年間800万トンあり、1分間にゴミ収集車1台分のプラスチックゴミが海に廃棄され続けている計算になるとして、世界中に早急な対策の必要性を訴えたのだ。

海面がプラスチックゴミで埋め尽くされた状態は「プラスチック・スープ」と呼ばれ、海面の悲惨な現状を映し出した衝撃的な写真も世界中で数多く撮影されている。

海洋プラスチックゴミの問題を解決するためには、すでに流出してしまったゴミを回収するという取り組みと、そもそもプラスチックがこれ以上自然界に流出しないように、人々の意識と行動の変化を促すという二つのアプローチのいずれもが欠かせない。

この二つのアプローチにとてもユニークな方法で同時に取り組んでいるのが、オランダのアムステルダム発のスタートアップ企業、「Plastic Whale」だ。

海洋からプラスチックを撲滅することをミッションに掲げているPlastic Whaleが提供しているのは、なんと川で魚ではなくプラスチックの釣りを楽しむという「Plastic Fishing(プラスチック釣り)」ツアーだ。
美しい運河の街並みで知られ、毎日多くの観光客が訪れるアムステルダムだが、その運河の水面をよく見てみると、観光客などが捨てたと思われるペットボトルやお菓子のパッケージなどのゴミがいたるところに浮かんでいる。

Plastic Whaleは、これらの運河に捨てられているゴミが海洋に流出する前にボートに乗ってみんなで釣り上げる(回収する)という体験型ツアーを有料で提供している。

Airbnbなどを経由して予約可能な1回2時間のこのボートツアーは参加料が約5,500円で、一般的なアムステルダムの運河クルーズツアーの3倍近い価格設定となっている。それにも関わらず、毎回のように参加者が満員となるなど観光客の間で大人気のツアーとなっているのだ。

今回、IDEAS FOR GOOD 編集部では、実際にPlastic Fishingを体験してきた。その様子も交えながら、Plastic Whale のモデルの優れた部分をご紹介したい。
モットーは「Stop talking. Let's start doing」
Plastic Whale のモットーは、「Stop talking. Let's start doing(話すのはやめて、行動しよう!)」。海洋プラスチック汚染という大きな問題に対し、ただ議論をするのではなく、小さくてもよいから実際に自分でアクションを起こしていこうという考えが、Plastic Whaleの活動の根底にある。

しかし、プラスチックの問題に対していきなりアクションを起こそうと思っても、何から手をつけてよいか分からないという人も多いかもしれない。そのような人々に対して、「ボートに乗ってゴミを拾う」という誰もが簡単に参加できる機会を提供しているのがPlastic Whaleなのだ。
Plastic Fishing の様子
また、Plastic Fishingのポイントは、ただ行動するだけではなくそこに「楽しさ」が加わっている点だ。Plastic Whaleでは学校などと提携しながら子どもたちを対象とした教育目的のボートツアープログラムも提供しているが、子どもたちがツアーに参加すると、少しでも他の人より多くプラスチックゴミを拾おうと、競い合いながら夢中になって楽しく取り組んでくれるという。

「議論するのはやめて、行動しよう!」と呼びかけても、それだけでは動かない人もいる。そこに「楽しさ」を加えることで、海洋プラスチック汚染という深刻な問題により多くの人々が触れられる間口を広くしているのだ。
雨天でも大人気の「Plastic Fishing」
ツアーの当日は、あいにくの雨天にも関わらず10人以上の参加者が集まり、2台のボートに分かれてPlastic Fishingに出発することに。ツアーをガイドしてくれる船長は、Erikさんだ。最初にPlastic Whaleの概要や活動の目的について一通り説明してくれた。
一番左が船長のErikさん
岸を離れて運河を進みだすと、地上からは見えなかったペットボトルや空き缶、プラスチックの包装ゴミなどが数多く運河に浮かんでいるのがよく分かる。Plastic Fishingでは、これら一つ一つのゴミを網を使って丁寧に拾い集めていく。
Plastic Fishing 専用のボートに乗って出発。
水面に浮かぶ空き缶とペットボトルゴミ
網を使ってプラスチックゴミを拾う。やってみると慣れるまで意外と難しい。

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