3度目の「あの日」を迎えて
~東日本大震災から3年目にあたって~
きょうされん常任理事会
今日3度目の「あの日」を迎えます。18,520人の犠牲者・行方不明者、40万戸の家屋の全半壊という未曽有の被害が生まれ1、今もって26万7千人もの避難者が不便な生活を強いられています2。3年が経過した今、原発事故は収束するどころか、解決の見通しの立たないことが一層露呈して復興の大きな足かせになり、避難生活の疲れなどによる「震災関連死」も拡大しています。産業や住宅の復興はようやく緒についたばかり、まだまだ支援活動が必要です。
障害のある人にとっての「あの日」。死亡率は、市民全体の2倍にものぼりました。多くの障害のある人が避難所に入れなかった、たらい回しにされたことが大きく報道されました。障害ゆえに津波情報が伝わらなかった、避難をあきらめざるをえなかった人もいたはずです。
3年が経ち、新しい事業所で、仮設住宅で元気にがんばる仲間の姿があります。一方で、長年地域の人々と共に歩んできた作業所から離れて新たな土地で再開せざるをえない事態、今まで作っていた製品を作れなくなる事態、職員が確保できずお風呂の回数を減らさざるをえない事態が生み出されています。こうした深刻な事態への対策は大きく立ち遅れています。
あらためて今日を東日本大震災と原発事故による被災と支援活動の課題を考えるきっかけとなる一日としたいと思います。
わたしたちは、東日本大震災から2年にあたる昨年、「今日からはじまる"ほんとう"の支援」と題した声明を発表しました。この一年、岩手県陸前高田市での移動支援活動、宮城県での仮設住宅訪問、震災・原発事故の影響で職員の定着困難な事態が続く福島県南相馬市の事業所支援活動などがJDF(日本障害フォーラム)のもとでとりくまれ、わたしたちも積極的に参加してきました。また、独自に被災地事業所商品をインターネットで販売する「東北物産展」、支援募金活動の継続、DVD『生命のことづけ』(JDF制作)上映会の国内外での積極的な開催などにとりくみました。
これらの活動を、"ほんとう"の支援に深めていくにはどうすればいいでしょうか。被災地の復旧や復興の支えになっているか。震災により露呈した地域生活支援の希薄さをどれだけ市民に知らせることができたか。日常の営みを奪い、地域の生業やつながり、仕事と家族、ふるさとを引き裂いた原発事故の教訓をどれだけ共有できたか。こうした視点が必要ではないでしょうか。
先日、日本が批准した障害者権利条約第11条には「(締約国は)危険な状況において障害者の保護及び安全を確保するための全ての必要な措置をとる」とうたわれています。被災地が一日でも早く真の復興を実現するまで支援の手を緩めないと同時に、わたしたちが住む地域が、国が「命の重み」を大切にしているかどうか、あらためて問いかえすことが必要です。
「あの日」は今も終わることなく、これからも続いていきます。どこに住んでいても、どんな事態が起きてもすべての人の命が守られる社会になるまで。
市民のみなさん、来るべき災害に備えた避難・支援の議論には、障害のある人の存在・意見を踏まえてください。障害のある人について考えることは、高齢者や子ども、妊婦などすべての人に通じる課題です。
政府のみなさん、わけへだてない社会を作っていくために、なぜ障害のある人の死亡率が市民全体の2倍になったのか、しっかりと検証してください。
きょうされんのみなさん、今日を迎えたわたしたちがすべきこと、それは「あの日」を忘れないこと、そして継続した"ほんとう"の支援活動です。具体的なとりくみとして、以下の4点を呼びかけます。
1、被災地での支援活動や国への要望活動はJDFと連携しながら、「東北物産展」や支援募金活動等はきょうされん独自に、日頃からの支援活動を継続しましょう。
2、来るべき大災害にそなえて、5月に確定する災害時支援マニュアルを活用しながら、事業所や支部などきょうされん全体、備蓄品や災害対応について議論を進めましょう。
3、一つの命も落とさないために、所在地の行政関係者と連携した災害に備えた活動を日頃から展開しましょう。
4、「あの日」の記憶を語り合い、忘れないために、KSブックレットNo.20「鎮魂から復興へ~障害のある人たちの東日本大震災」、DVD『生命のことづけ』を事業所の利用者・職員・家族のなかに普及していきましょう。
1 警察庁:2014年3月10日発表
2 復興庁:2014年2月26日発表
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