【お知らせ】
〈菅直人首相の施政方針演説に抗議し、「沖縄の民意」に誠心誠意応えることを求める市民の共同声明〉について
私たち浦島悦子、鈴木雅子、細井明美、井上澄夫など、沖縄を含む全国各地の市民23人は、1月30日、菅直人首相に下記の共同声明を送りました。この声明を転載・転送、あるいはブログやホームページへの掲載などで広めてくださるようお願いします。
●菅直人首相の施政方針演説(2011年1月24日)に抗議し、
「沖縄の民意」に誠心誠意応えることを求める市民の共同声明
沖縄を含む全国の市民23人の連名
2011年1月30日
内閣総理大臣 菅直人様
あなたは1月24日、第177回国会の開会冒頭、施政方針演説(以下、演説)を行ないました。あなたは演説において「沖縄の振興強化と基地負担軽減」と題し、沖縄に関わる政策を語りましたが、その方針は沖縄が強要されている苦しみをいっそう耐え難いものにします。私たちは憤激をもって強く抗議し、あなたが沖縄の民意を正面から受け止め、それに誠心誠意応えることを強く要求します。
演説であなたは「日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず、世界にとっても安定と繁栄のための共有財産です」とのべて「日米同盟」を無条件に礼賛しましたが、それは「民主党マニフェスト2010」にある「緊密で対等な日米関係を構築する」という公約を土足で踏みにじり、米国政府にひれ伏す卑屈な姿勢への転向と言わざるを得ません。
いうまでもなく、「日米同盟」の根幹は軍事同盟である安保条約体制であり、2006年6月に当時のブッシュ米大統領と小泉首相が発した「新世紀の日米同盟」は「21世紀の地球的規模での協力」を世界に向けて宣言するものでした。あなたが掲げる「日米同盟の深化」は同宣言が確認した「日米の安全保障関係における著しい進展」を継承し、「テロとの闘い」に向け、日米関係を「世界の中の日米同盟」としていよいよ強固な軍事同盟に仕上げることです。
実際あなたは、日米軍事同盟が北東アジア─アジア・太平洋地域の平和を脅かし続けてきた事実から目をそむけ、「朝鮮有事」における「邦人保護」のための自衛隊機派遣を口にするなど、自民党政権でさえ手を着けなかった日米韓軍事同盟の構築をたくらんでいるではありませんか。
あなたは演説で「沖縄だけ基地負担の軽減が遅れていることは慙愧に堪えません」とのべています。しかしその種のリップサービスは「沖縄に集中する基地負担」をいささかも減じるものではありません。あなたは「普天間移設問題」について「昨年五月の日米合意を踏まえる」と語りましたが、名護市辺野古に米海兵隊の新基地を建設することは明らかに負担の増大です。すでに繰り返し表明された「沖縄の民意」は「県内移設反対(拒否)」であり、沖縄県民は昨年5月28日の日米共同声明の撤回を求めています。あなたの言う「米軍施設区域の返還」について、沖縄県側は嘉手納以南米軍施設の先行返還を求めていますが、北沢防衛相は米国政府の言いなりにパッケージ論を振りかざして要求を頑なに拒絶しています。
しかし2009年の第171回国会の衆院外交委員会に文書で提出された政府見解は「普天間飛行場の代替施設を建設しない場合であっても、グアム移転協定に違反しない」と明確にのべています。「再編実施のための日米のロードマップ」(2006年5月)は日米の外務・防衛関係閣僚間の取り決めに過ぎず、米国の議会でも日本の国会でも承認されていません。私たちは日本に駐留する全米軍がグアムではなく、米本土に撤収することを求めますが、米国政府に対し嘉手納以南の遊休施設の先行返還を求めることは、あなたが決断しさえすれば容易に実現することを強調したいと思います。
ましてあなたが演説で掲げた「地域主権改革の推進」が絵空事でないなら、何よりまず沖縄の地域主権を尊重すべきです。それゆえあなたが今、なすべきは、辺野古新基地建設計画を断念し、日米共同声明の破棄を米国政府に通告することです。普天間基地をただちに閉鎖・返還させ、嘉手納をはじめ残りの基地も次々に返還させる、そうすることで沖縄県民が長期にわたって切望してきた「基地のない平和な島」を政治主導で実現すべきです。
菅内閣が昨年12月17日に閣議決定した新防衛大綱(「防衛計画の大綱」)・中期防(「中期防衛力整備計画」)は、中国を作戦正面として「動的防衛力の構築」をめざす、無謀で危険極まりない戦略転換を基軸にしています。中国政府はすでに強く反発していますが、私たちは、新防衛大綱・中期防が北東アジアの軍事的緊張を高め、軍事的衝突に発展しかねない不測の事態を誘発することを深く憂慮します。私たちはあなたがこのような好戦的政策をただちに放棄することを要求します。
ここで私たちは、菅内閣が北東アジアにおける軍事的緊張を追い風に、米軍を「抑止力」と強弁し、沖縄に米軍基地を置き続ける口実にしていることを指摘せざるを得ません。あなたは演説で新防衛大綱に触れ、「この新大綱に沿って、南西地域、島しょ部における対応能力を強化します」とのべましたが、それは、沖縄に駐留する自衛隊を増強し、沖縄を「米軍と自衛隊の基地の島」にすることに他なりません。
防衛省はすでに、今年2月から3月にかけて米カリフォルニア州で米海兵隊と陸上自衛隊の共同訓練(島嶼奪還作戦実動演習)を行なう予定であるなど、「南西諸島の防衛強化」に突き進んでいます。しかし、南西諸島では、奄美・徳之島の住民たちが昨年の日米共同声明に明記された米軍の訓練移転計画に強く反対し続けており、沖縄・先島の与那国では陸上自衛隊の「国境監視部隊」を配備する計画に住民が反対の声を上げています。晴れた日には台湾が目の前に見える与那国島に自衛隊を配備することがいかに台湾や中国を刺激するか、言うまでもないでしょう。
「南西諸島の防衛強化」は「日本の防衛」を名目に沖縄の苦しみをますます加重するのみならず、南西諸島を日米共同の対中国軍事戦略の最前線とすることにより、島じまの住民を危険にさらします。軍隊の駐留が侵攻を招くことを沖縄県民は沖縄戦の経験によって十二分に知っています。それゆえ私たちは新防衛大綱・中期防の白紙撤回を求めます。
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〈菅直人首相の施政方針演説に抗議し、「沖縄の民意」に誠心誠意応えることを求める市民の共同声明〉について
私たち浦島悦子、鈴木雅子、細井明美、井上澄夫など、沖縄を含む全国各地の市民23人は、1月30日、菅直人首相に下記の共同声明を送りました。この声明を転載・転送、あるいはブログやホームページへの掲載などで広めてくださるようお願いします。
●菅直人首相の施政方針演説(2011年1月24日)に抗議し、
「沖縄の民意」に誠心誠意応えることを求める市民の共同声明
沖縄を含む全国の市民23人の連名
2011年1月30日
内閣総理大臣 菅直人様
あなたは1月24日、第177回国会の開会冒頭、施政方針演説(以下、演説)を行ないました。あなたは演説において「沖縄の振興強化と基地負担軽減」と題し、沖縄に関わる政策を語りましたが、その方針は沖縄が強要されている苦しみをいっそう耐え難いものにします。私たちは憤激をもって強く抗議し、あなたが沖縄の民意を正面から受け止め、それに誠心誠意応えることを強く要求します。
演説であなたは「日米同盟は、我が国の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず、世界にとっても安定と繁栄のための共有財産です」とのべて「日米同盟」を無条件に礼賛しましたが、それは「民主党マニフェスト2010」にある「緊密で対等な日米関係を構築する」という公約を土足で踏みにじり、米国政府にひれ伏す卑屈な姿勢への転向と言わざるを得ません。
いうまでもなく、「日米同盟」の根幹は軍事同盟である安保条約体制であり、2006年6月に当時のブッシュ米大統領と小泉首相が発した「新世紀の日米同盟」は「21世紀の地球的規模での協力」を世界に向けて宣言するものでした。あなたが掲げる「日米同盟の深化」は同宣言が確認した「日米の安全保障関係における著しい進展」を継承し、「テロとの闘い」に向け、日米関係を「世界の中の日米同盟」としていよいよ強固な軍事同盟に仕上げることです。
実際あなたは、日米軍事同盟が北東アジア─アジア・太平洋地域の平和を脅かし続けてきた事実から目をそむけ、「朝鮮有事」における「邦人保護」のための自衛隊機派遣を口にするなど、自民党政権でさえ手を着けなかった日米韓軍事同盟の構築をたくらんでいるではありませんか。
あなたは演説で「沖縄だけ基地負担の軽減が遅れていることは慙愧に堪えません」とのべています。しかしその種のリップサービスは「沖縄に集中する基地負担」をいささかも減じるものではありません。あなたは「普天間移設問題」について「昨年五月の日米合意を踏まえる」と語りましたが、名護市辺野古に米海兵隊の新基地を建設することは明らかに負担の増大です。すでに繰り返し表明された「沖縄の民意」は「県内移設反対(拒否)」であり、沖縄県民は昨年5月28日の日米共同声明の撤回を求めています。あなたの言う「米軍施設区域の返還」について、沖縄県側は嘉手納以南米軍施設の先行返還を求めていますが、北沢防衛相は米国政府の言いなりにパッケージ論を振りかざして要求を頑なに拒絶しています。
しかし2009年の第171回国会の衆院外交委員会に文書で提出された政府見解は「普天間飛行場の代替施設を建設しない場合であっても、グアム移転協定に違反しない」と明確にのべています。「再編実施のための日米のロードマップ」(2006年5月)は日米の外務・防衛関係閣僚間の取り決めに過ぎず、米国の議会でも日本の国会でも承認されていません。私たちは日本に駐留する全米軍がグアムではなく、米本土に撤収することを求めますが、米国政府に対し嘉手納以南の遊休施設の先行返還を求めることは、あなたが決断しさえすれば容易に実現することを強調したいと思います。
ましてあなたが演説で掲げた「地域主権改革の推進」が絵空事でないなら、何よりまず沖縄の地域主権を尊重すべきです。それゆえあなたが今、なすべきは、辺野古新基地建設計画を断念し、日米共同声明の破棄を米国政府に通告することです。普天間基地をただちに閉鎖・返還させ、嘉手納をはじめ残りの基地も次々に返還させる、そうすることで沖縄県民が長期にわたって切望してきた「基地のない平和な島」を政治主導で実現すべきです。
菅内閣が昨年12月17日に閣議決定した新防衛大綱(「防衛計画の大綱」)・中期防(「中期防衛力整備計画」)は、中国を作戦正面として「動的防衛力の構築」をめざす、無謀で危険極まりない戦略転換を基軸にしています。中国政府はすでに強く反発していますが、私たちは、新防衛大綱・中期防が北東アジアの軍事的緊張を高め、軍事的衝突に発展しかねない不測の事態を誘発することを深く憂慮します。私たちはあなたがこのような好戦的政策をただちに放棄することを要求します。
ここで私たちは、菅内閣が北東アジアにおける軍事的緊張を追い風に、米軍を「抑止力」と強弁し、沖縄に米軍基地を置き続ける口実にしていることを指摘せざるを得ません。あなたは演説で新防衛大綱に触れ、「この新大綱に沿って、南西地域、島しょ部における対応能力を強化します」とのべましたが、それは、沖縄に駐留する自衛隊を増強し、沖縄を「米軍と自衛隊の基地の島」にすることに他なりません。
防衛省はすでに、今年2月から3月にかけて米カリフォルニア州で米海兵隊と陸上自衛隊の共同訓練(島嶼奪還作戦実動演習)を行なう予定であるなど、「南西諸島の防衛強化」に突き進んでいます。しかし、南西諸島では、奄美・徳之島の住民たちが昨年の日米共同声明に明記された米軍の訓練移転計画に強く反対し続けており、沖縄・先島の与那国では陸上自衛隊の「国境監視部隊」を配備する計画に住民が反対の声を上げています。晴れた日には台湾が目の前に見える与那国島に自衛隊を配備することがいかに台湾や中国を刺激するか、言うまでもないでしょう。
「南西諸島の防衛強化」は「日本の防衛」を名目に沖縄の苦しみをますます加重するのみならず、南西諸島を日米共同の対中国軍事戦略の最前線とすることにより、島じまの住民を危険にさらします。軍隊の駐留が侵攻を招くことを沖縄県民は沖縄戦の経験によって十二分に知っています。それゆえ私たちは新防衛大綱・中期防の白紙撤回を求めます。
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