映画の中で知り合いから「ホームレスなの?」と聞かれて、主人公のファーンは「ハウスレスよ」と言う場面があります。
一見自分の意思で、車で気ままに移動し、気ままに働いている素敵なハウスレスのように見えますが、実際はリーマンショックの影響で家を失い、自分で全てのことが出来なければならない状況のなか、他のノマドの方々と助け合いながらギリギリ暮らしている状況です。
この映画はドキュメンタリーのように淡々とした暮らしが描かれており、特に大きな事件はないのですが、大自然の雄大さに癒されながら、ノマドランドのシビアな場面が交互に散りばめられており、適度に現実を突きつけてきます。
私が一番心惹かれたのが、主人公のファーンを演じた女優のフランシス•マクドーマンドさんの自然体の演技!
主人公のファーンは60代の女性なのですが、純粋で自然体で、人間らしい姿がリアルです。
演技しているように見えないところがすごいんですよ。
最後に、ファーンは妹や好意のある男性から「家に一緒に住まないか?」と誘われます。
特に男性と良い感じになりかけた場面で、私は正直(ここからノマド卒業からの恋愛映画になっちゃう感じかー)と少しガッカリしかけたのですが、ファーンは結局誘いを断り、ノマドを選びました。
なぜ彼女が、安定した住居と生活の誘いを断りノマドを選んだのか私は分かりませんが、ノマドをやってみたら意外に性に合っていたのかなと解釈しています。
ただ、この先どうするんだろうという心配はありますけどね。
全体的に半分社会派ドキュメンタリー、半分物語を見ているような気分になりましたが、不思議と見ていて違和感がなく、私の心に響く作品でした。