気付いたら台所に棒砥石が出ていました。
うちの家系は母方はおもしろ技能を持っているので
母も包丁くらいは砥げますが、
棒砥石を使っているのなんて見たことはありません。
使えるのか聞いたところ、切れなくなったので
仕方なくやろうとしていたとのことで
むしろやって欲しいと言われました。
そこでわたしがやってみました。
……が。なんだかうまくいきません。
久しぶりなので勘が鈍っているのかと思いますが、
なんだか見た目も触り心地も退屈にしかなりません。
試し切りするものがなかったのでそのまま
渡してみたのですが、その後つかってみると
切れが悪いと言われました。
なぜだろうなぜかしら
なんとなく閃いて、かつて買ってもらった
わたしのセラミック棒砥石を出してみます。
それで砥いでみると、見た目も触れた指先も
はらはらする感じになりました。
最初に使ったのは100円ショップの棒砥石だったので
すでに磨耗していたのかもしれません。
それはさておいて、最近は砥がなくても使える
包丁なども出てきています。
昔から刃物と研磨材は切っても切れない関係にありました。
硬くすればするほど手入れが必要なくなりますが、
手入れの必要ができたとき、修復しにくくなります。
柔らかくすればするほど手入れが簡単になりますが、
すぐに刃が丸くなってしまいます。
また、硬い鋼材は成形もむずかしいので
コストがかさむという問題がありました。
極端な話、ダイアモンドでナイフを作れば
とても硬くて砥ぐ必要がないものができます。
(モース硬度基準では、ダイアモンドを傷つける事が
できるものはないということになっているため)
でも、ダイアを削り出してナイフの形に
成形するまでがすごい苦労です。
また、ダイアなので値段もはります。
そんなイメージです。
砥がなくていいナイフは、たぶんそこらへんの
使用中の手入れという概念を捨て去って、
硬さだけで勝負したのでしょう。
言ってみれば高級使い捨てナイフ、でしょうか。
こういう、常識と思っていたものが
覆されたものを見たときのはっとした感じは
なかなかすがすがしいものがあります。
うちでは使うことはないでしょうが、
ちょっといじってみたいです。
料理包丁の切れが悪いとお嘆きで
砥石類の扱いが苦手な方は、
すこし高くてもいっそそういう包丁を買ったほうが
長い目で見るとお得かもしれません。
普通の平らな砥石なら、ある程度均等に砥げるでしょうけど棒となると・・・
お母様は職人ですな
ブロック砥石のように引きでぶれる事がないので
押しの角度さえ体がわかっていれば
用意も入らず、1分もかからずに
適当に切れるくらいには切れ味が回復します。