最近また、ストーカーによる殺人などの話題が取り上げられています。
ストーカーによる殺人が起こってしまった事件では、
殺される前に警察がもっとやるべきことがあったのではないかと
言われています。
――が、それは本当にそうでしょうか?
個人的にはそう非難する人間にも危機感がないと
言わざるを得ない気がします。
たとえばストーカーの相談を受け、
警官がストーカーをつかまえ、言うわけです。「だめだゾ☆」と。
または警官がストーカーを逮捕し、半年くらい拘束して、
また野に帰すわけです。
これで、ストーキングがとまるのでしょうか?
ストーカーによる殺人事件で、警察の行動の悪さを指摘する人は、
どうすればとまると考えているのでしょうか。
個人的にはそこが知りたく思います。
わたしが今まで見てきたものから考えるに、
ストーカーの根源はなにかと言えば、
心理的視野狭窄を持つ、『依存症』です。
簡単に言えば、気違い水やタバコ、麻薬の依存者と
本質的には同じものです。
家族や血族、友人にでも依存者がいる人ならわかるでしょうが、
本人に「酒を(あるいはタバコ、麻薬を)やめなよ」と
言った場合、相手はどう返すでしょうか。
「わかった、やめるよ」
なんてことは決して言わず、「やめるなら死んだほうがまし」
とでも返しては来ないでしょうか。
この言葉は半分は冗談ですが、半分は本気です。
依存者はやめることになっても、自分から死んだりしません。
「やめるなら死んだほうがまし」という言葉の意味は、
「やめさせるならおれは死ぬ」という積極的な死の希望ではありません。
「おまえがおれにやめさせたいのなら、いっそおまえがおれを殺してみろ。
できないだろ? ん? それと同じくおれもやめることはできないんだ。
たとえそのせいで後に死ぬことになってもな。だからほっとけよこのバカが」
というようなからかいを含んだ消極的な死の希望です。
あれらは自分から死ぬ気などは基本的にありません。
そんな依存者に、
「こんど酒を(あるいはタバコ、麻薬を)やったら罰金取るぞ」
なんて警告したら、思うのは
「罰金で済むなら払うから酒を(あるいはタバコ、麻薬を)やらせてくれ」
でしょう。
ストーカーもそれと同じで、
逮捕拘束したからといって、罰金を取ったからといって、
警告をしたからといって、とまるものではありません。
たとえばひどいアルコール依存者から、
アルコールを買えないようにとお金をすべてとりあげたとします。
この状態で目を離せばどうなるかといえば、
酒の販売機を訪ね歩いて、ゴミ箱の空き缶空き瓶から
残りのしずくを集めようとしたり、
落ちてるお金を集めて買おうとしたりするでしょう。
もしくは酒を持っている相手から奪おうとしたり、
誰かを脅して酒を買うお金を取ろうとしたり、
コンビニに押し入って盗みをはたらいたりするかもしれません。
依存者は心理的視野狭窄が起こっているために、
目的(たとえば酒を飲む)を達成するためには、万難を排そうとします。
目的が『ストーキングターゲットに会う』であった場合、
万難の中には『邪魔をする相手を排除する』も含まれます。
さらには、『自分に会うことを邪魔する、
本人(ストーキングターゲット)の排除』も含まれます。
ストーカーがやっかいなのは、対象が酒やタバコなどとは違い、
替えがきかないものだということです。
依存症、病的な嗜好のかたよりは、自分では基本的に治せません。
治す気がないのも普通です。心理的視野狭窄により、
治そうとすら思わないでしょう。
たとえば、無能な政治屋は最後まで無能なままです。
他人を侮蔑するような言葉を公で口にする政治屋は、
何度でも同じように失言、暴言を繰り返し続けます。
部下にパワーハラスメントする上司は、
とことんパワーハラスメントします。
嫁いびりする姑は、他人にどんなことを言われようが、
嫁いびりします。
こどもを生めと他人に言う人間は、
どういさめられようと言い続けます。
なぜなら、それが悪いことだとは
自分の感覚で理解していないからです。
他人がうるさく言う行為だとはわかりますが、
真に自分では納得していないのです。
それは、ストーカーも同じ。
解決するには、きちんとした専門医や研究者のいる、
研究機関つき病院施設などをつくり、
更正プログラムを当てること。
そのプログラムが終了するまでは拘禁して外に出さないこと。
もしくは、修正のきかない犯罪者予備軍として死ぬまで拘禁すること。
犯罪該当行為を犯してしまった場合は、
修正不可能な因子として殺処分することが必要になると思います。
ストーカー対策で今一番大事になるのは、
ストーカーというものの概念の見直しと、
まじめに対処するための法整備だと、わたしは思います。
決められた法の中で動くことだけを求められている警察を
今いくら責めたって、解決はできないのです。
……まあ、警察も警察で上のほうの不祥事が目立つこともありますから、
もしかすると、警察内部の犯罪を厳しく取り締まるような
法整備と機関の設置をしたほうが、
結果的には早くなるのかもしれません。