ニンテンドーDSのゲーム、『世界樹の迷宮3』です。
表面のラスボスを倒したくらいまででの一言感想は、
『まあ、悪くない』といったところです。
その理由は、とにかく制限と縛りが多すぎだからです。
プレイ感としては、両手両足を縄できつく縛られ、
ぎざぎざ石の上に抱き石を抱えたまま正座させられた状態で、
駒を動かすには口をつかって将棋をやらされているような感じです。
将棋自体はおもしろいゲームですし、
もっぱら頭を使うものなのでそれでもプレイはできるでしょう。
でも、いくら将棋がたのしいゲームだとは言え、
そんな苦痛と縛りを与えられてやらされたら、
正直なにも楽しめません。
たとえば、アイテムは60個までしか持てないという縛りがあります。
このゲームでは敵がお金を落とさず、敵の落としたアイテムを
売り払うことでしか基本的にお金は稼げません。
でも、たくさん戦闘してたくさんアイテムを稼ごうと
HP回復アイテムを持っていくと……
今度は回復アイテムのせいで、お金用アイテムが拾えなくなります。
さらには、売り物アイテムには残量制限があります。
敵から拾ったものを売ると回復アイテムや装備アイテムなどに
新商品が並びますが、売った分以上の個数を買うと、
品切れを起こすものがあります。
どれが品切れしてどれが品切れしないのかも
特に書かれていないのでとても困ります。
また、HPなどの回復アイテム系は、
素材が敵のドロップ品ではなく、地面から採取する品で
あることがとても多いです。
地面から採取するには、かならずそれ用のスキルを
覚えさせる必要がありますが、
敵と戦う用のパーティーでは戦闘用にスキル強化の
ポイントをつぎこむことが必要なので、
そんな非戦闘スキルにポイントを使っている余裕はありません。
ということは、つまり、戦闘パーティーを支えるには
非戦闘パーティーが必要ということになり、
最低二組のメンバーグループが必要になるということです。
けれど、アイテム60個という制限は変わりません。
道具袋がいくつかあって、戦闘用と採取用に分かれている、
というようなことも決してないのです。
そのため、ボス戦闘に向かおうとして、
回復アイテムを20個もって行こうとして
15個買った時点で品切れになると……
採取が必要になるのに、ほんの少量しか取ることができず、
何回もやりなおすことになります。
品切れがあるので、買ったアイテムを売り払って
取りに行く、というのも現実的ではないのです。
また、ボスは攻撃のタイプが決まっているものが多く、
対ボス用の装備に変更しなければ勝てないものも多いです。
そういうとき、装備を変更すると――
変更した装備だけでアイテム袋がいっぱいになってしまうことも
多々あって困りました。
アイテムを99個まであづけられる預かり所もあるのですが、
いれるとごちゃごちゃになって
どれが使っていた装備なのかも見失いがちなので
すごく使いにくいです。
探索時・ザコ戦闘時・ボス戦闘時で必要になるアイテムも
持ち物も異なるのに、それを合わせる手段が
売り買いしかありません。
でも品切れのある商品では簡単に売ることもできません。
せめてアイテムを入れっぱなしにしておける、
袋みたいなものが何種類かあれば
ダンジョン探索の用途にあわせて持ち替えができて
すこしはすくわれたと思うので残念です。
アイテムの見にくさは、お店の並び順もあげられます。
アイテムがHP回復アイテムはHP回復アイテムごと、など
グループになっていないので、
どのアイテムがどこにあるのかを探して買うだけでも
かなりめんどうでした。
戦闘面では、ボスにはそれぞれ特別な性質があるので
装備などを変える必要がありますが、
場合によってはスキルなども変えなくてはいけません。
でもつけているスキルの強化ポイントを戻すには
罰としてLv5さげられます。
完全にジョブを変更するには、最高でLv30まで下げられます。
高いレベルでLv5をあげるには、
5人パーティーでバトルし続けても2時間くらい
かかるようなつらい道です。
スキルの振りなおしもできることはできますが、
させたくないような製作者の意図がにおってきます。
たとえば氷と火をメインで使ってくるボスに対しては、
メインのシールド担当のレベルをあげて対抗するよりも、
氷封じ・火封じに特化した魔法使いを一人ずつ作って、
毎ターン封じスキルを使った方がMPも持つし、
不安が無いしで確実だったりと、
一人で対応するよりも多数キャラを作ってやったほうが
確実というのは、一キャラへの愛着が薄れ、
ただの駒になっていく気がしていやでした。
ザコ戦闘でアイテムが集まるのはいいのですが、
ザコ戦闘自体がきついので、後回しにして、
メインパーティーのレベル上げは航海クエストのボス戦、
レベルが上がったら装備用のザコ狩り。
最初の探索は敵と出会わないスキルを持つファーマーで
ショートカットなどを発見し、マップを埋めて、
ボスがいて進めないところだけメインに変更して撃破、
という手順にしたほうが確実だったのも
なんだか微妙でした。
マップにおいては、3Dは15年位前の、
スーパーファミコンあたりでのダンジョンRPGを思い出して
すごく憂鬱になりました。
方向キーで方向転換、上下キーで進む、という操作も
なんだかつらかったです。
3Dマップも特徴なく、
どちらをむいているのかもわからなくなることがありました。
途中マップ無効の場所があるのも嫌がらせとしか思えませんでした。
さらにはマップの仕掛けは意地悪すぎで、
攻略サイトを見なければ次の階にすらいけませんでした。
一度通ればショートカットで次の階には
いけるようにはなりますけど、
二度目に入ったときでさえ、しかけのせいで
進めないこともざらにありました。
せめてその面をクリアしたらしかけを壊させてくれるなどの
救済措置が欲しかったです。
メインとなるマップ探索も戦闘も
楽しんでできず苦痛ばかりでした。
このように、ゲームの内容ひとつひとつは良くても、
ザコ戦闘・マップ埋め・ボス戦闘・お金稼ぎ・アイテム採取の
総括的なバランスがとにかく悪く、
ひとつひとつが別のゲームのようです。
有機的なつながりを失った、ぎこちなさを感じます。
料理はたくさんの食材をうまくつないで『料理』になりますが、
この世界樹の迷宮3は、食材が『食材』として
ばらばらに入っている感じがします。
例えるならば、おみそしるをあげましょう。
この世界樹の迷宮3をおみそしるとするなら、
味噌はかたまりで入ったまま溶けていなくて、
汁は水かお湯かわからないようなぬるさ。
具のにんじんは皮をむいて散切りにしたような形で、
食べてみると生煮えでごりごり。
だいこんも不ぞろいで塊として入っていて、
煮えてもいずにじゃきじゃきします。
そんな感じです。
もっと全体として調和がとれていて、
きちんと味付けもなされていればおいしいおみそしるに、
つまりおもしろいゲームに、なったと思います。
途中しばらくきつくてめんどくさくて
プレイするのに気後れして手をつけられないことが
しばしばあるほど、今のバランスはきつすぎます。
わたしには、どうにも厳しいゲームでした。
追記:
最初から、『厳しいゲームである』と念頭において、
ゲームシステムに慣れさえすれば、楽しくなります。
ピーキーセッティングなので、
それぞれのスペシャリストが集まっていると考えれば、
バトルはバトル担当、採取は採取担当で
それぞれ出撃するのも納得はできます。
大航海などやっていると、
ザワークラウトがたべたくなったり
その他の食べ物がたべたくなったりしてきます。
ドイツフェスなんかがあると
ザワークラウトが売っていたりするので
きっと感慨深く食べられるようになることでしょう。