「がまの穂がー!」
という叫びが玄関から聞こえました。
飾っていたがまの穂を引っ掛けて落としたのだろうと思いながら
とりあえず向かってみたところ、思わず叫びました。
「あー、がまの穂がー!」
がまの穂が、もさもさ。
通常のがまの穂は、かやの茎にうまい棒の
茶色いのを差し込んだような形をしていますが、
母が手にしたものは、たんぽぽのようにふわっふわになっていました。
そして、そのふわふわの種子たちはこぞって家の中へ。
どうにか防ごうとしてみましたが、綿毛たちはすきまに押し寄せ、
服にくっつき、猫の毛のような存在感を見せつけました。
がまの穂がたんぽぽのようになるなんてはじめて知りました。