直列☆ちょこれいつ

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レビュー:Another

2012年04月04日 | レビュー系


アニメ『Another』を全話見ました。

主役は手術を控えて田舎にやってきた中学生です。

主役が転入したクラスには、変な雰囲気がありました。
クラスにいる女の子に誰も気がつかないようにふるまいますが
主役はその、周りに気づかれない女の子と話します。
その女の子がヒロインです。

そのうち、ひとりまたひとりと人が死んでゆきます。
主役がいるクラスは特別なもので、
人が死ぬ呪いのようなものがあるようです。

主役はヒロインと親しくなって話をしたり、
周りから聞いたりしていくうちに、
呪いのようなもののことを知っていきます。

主役のクラスの中には毎年一人、自分にも他人にもわからず、
記録すら改ざんされて死人が紛れ込み、
そのせいで死亡者がでるということです。

回避する方法は一人無視していないものにすることでしたが、
主役がそれを知らずにヒロインと話したため
周りの人が死ぬのろいのようなものが発動してしまったと
周りは思います。

その始まってしまった呪いのようなものを防ごうと
主役たちは手段を探し、一人の人物に行き着きます。

その人物は手段を忘れていましたが、手がかりは残していました。
主役たちはそれを見つけ、呪いのようなものを止めるには、
紛れ込んでいる死者を殺すことが必要だとわかります。

クラスの有志での旅行先で、周りの人間もそれを知ったため
殺し合いが起こります。

ヒロインの子は片目を失っていましたが、
失った目で相手を見ると、生きているか死んでいるかが
わかる能力がありました。

主役とヒロインは、狂った周りに殺されかけながらも
死人を見つけます。
主役の親戚で、クラスの副担任でした。
ヒロインはわかったあとも、主役に気を使って言わず、
自分で殺すつもりでした。
主役はそれを知り、自分の手で殺しました。


……というようなお話です。

序盤、ヒロインの女の子が主役には見えていながら、
周りには見えていないような状況は、
ホラーめいていておもしろかったです。
でも、しばらくして女の子が生きていて、
周りが無視しているだけだとわかって以降は
興醒めしていきました。

なぜ無視をして、何が起こっているのかを、
とにかく周りは口にしません。
そうしてもったいぶっている間に、周りではクラスメイトなどが
冗談のような死に方で死んでいきます。
たとえば、階段から足をすべらせたら、
手に持っていた傘が上にあがって、
先っぽがのどを貫いて死ぬ、というような。

わけがわからない状態で、わけがわからない悪いギャグのような
死に方を見せられ続けるのは、話から置いていかれた気分でした。

ここで思ったのは、映画『ファイナル・デスティネーション』
みたいだということです。

『ファイナル・デスティネーション』では、飛行機事故で
偶然生き残った人間たちが、ひとりひとり悪い偶然が
重なったように死んでいきます。
たとえば、風にあおられた看板のビスがはずれて
遠心力をつけながら落下して人に命中する、
というような感じです。
その理由は映画内であきらかにされます。

死ぬ運命だったはずが、運命がくるって生き残ってしまったので、
運命がそれを修正しようと襲い掛かってくるのです。

たとえばいたずらのような偶然の出会いを
『運命の出会い』といったりするように、
運命は偶然のように見えます。

その運命が殺そうとしてくれば、どんな偶然の連鎖が起こっても
不思議ではありませんし、見ていて納得もできます。
しかも死ぬ人間は、事故で生き残った人間限定で、
死ぬ順番も、その事故で死ぬはずだった順番であって
説得力があります。

けれど、この『Another』ではそれがありません。

なぜか、3年3組には毎年死人がまぎれこんでいます。
なぜか、その死人は毎年違います。
なぜか、その死人がいると、クラス関係者が死にます。
なぜか、来る死人はそうして死んだ人の誰かです。
なぜか、死ぬのは死人と直接関係なく、
なぜか偶然起こる事故によります。
なぜか、死人は周りの人が見分けることができません。
なぜか、死人は世界を捻じ曲げ、すべての書類、すべての記憶、
すべてのものを捏造して、自分の存在を作り出すからです。

なぜかわからないことが多すぎで、見ていて意味がわかりません。
なぜ死人がまぎれこむのでしょうか?
なぜその死人は、周りの世界をゆがめられるのでしょうか?
なぜその死人がいると、周りが死んでいくのでしょうか?
そういった状況がまったくわからず、
最後まで説明されることもなかったので、
どうにも話に入れませんでした。

死者は世界の情報をゆがめて、死んだことを
なかったことに錯覚させるようですが、
死んだ情報をネットに載せていたとしたら、
全世界のネット内容がすべて書き換わるのでしょうか。
壮大な話です。

序盤から中盤すぎまでは『ファイナル・デスティネーション』を
基にしそこねたような偶然で人が死んでいき、
最後は、死人を殺したら死亡事件が止まるというので、
自分だけは死にたくない人間が、周りを殺し始めます。
最初からにおっていた、このアニメのカテゴリは
『虐殺モノ』で間違いないと思いました。

このカテゴリの話は、ただ人が死んだり殺されたりするのを
見せたいだけのものです。内容はありません。

ヒロインは双子の姉妹で、片方が養子にされるとき、
名前と苗字が同じになってしまうので選択肢から外れた、
というような話や、ヒロインの片目が義眼だといった話は、
クラスメイトの殺し合いの中で、ヒロインが死人であって
殺される対象であると周りに錯覚させるための
伏線になっていました。

けれど、伏線の持って行き場所がそこであるということは、
作者のもっとも盛り上げたかった部分が
そこであるということです。

死人が誰か、というミステリーめいた話をにおわせながら、
やりたかったことは、最近はやりの虐殺。
それもクラスメイトがクラスメイトを殺すというような、
無駄にショッキングなものです。

結局は、どんなにがんばっても普通の人に
死人を見つけることはできませんでした。
『なぜか』ヒロインが失った目で相手を見ると
死人を判別することができたので、
主役が殺して話は終わりです。

最初から最後まで、なぜかわからない『なぜか』で
話がつまれていく上に、見せ場は人の死に様と
殺しあう様くらい。

それならいっそ、タイトルから
『OTHERS ~僕以外全部死人~』にでもして、
最後の一人になるまでクラスメイト同士で
殺しあうさまでも描けばよかったんじゃないかと思いました。

なんとも胸の悪くなる、たいしたことのないアニメでした。
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