POP-UP!LIFE

ポップアップカード作家、mini.pop-upの制作日記!カードや絵本を作っています。

スマイル

2010-06-29 16:57:20 | Weblog
梅雨の真っ只中、
先週の金曜日から、月曜日まで
故郷の福岡に帰っていました。

母が持病の糖尿病で体調が良くなく、少し気持ちがふさぎこんでいたので
心配で急に帰ることになりました。

今、母は家族三人20年近く暮らした家で、一人暮らしをしています。
前よりも元気がないことが気になりながらも
中々帰れずにいたのですが、旦那さんが帰っておいでと
言ってくれたので、わがままをさせてもらいました。

母が元気がないのは、病気のせいもあるのですが、
小学校6年生から飼っていた犬がいなくなったことも原因があると思います。

2月に母が琴の公演でロンドンに旅たち、一週間ほど家を空けることになりました。
そこで犬のスマイルをどうするかという話になりました。
もう16歳の老犬で、ひどく怖がりのこの子をペットホテルに預けたら
神経を使いすぎて死んじゃうんじゃないかと母と話し合い、
結局私が福岡に帰ってくることになりました。

犬のために飛行機代を払って帰るのかという人もあるかもしれませんが、
スマイルは大事な家族なのはもちろん、
私がもらってきたのにもかかわらず、実家にいるときは
あまり世話をしてあげず、かわいそうなことをしたので
責任を感じたというのもあるかもしれません。

2月の寒い日、福岡に帰った私を
スマイルは、年をとったとはいえ、相変わらずのテンションで
私を出迎えてくれました。

今までの分を取り戻すかのように
朝は排泄物を片付けて
ご飯をあげながらたくさん話しかけ、夜は散歩にたっぷりいきました。
窓からこっそりのぞいても、振り返り、しっぽを振って
白内障で白くなった瞳で応えてくれます。

子犬のころはだっこをしないと眠れなかったスマイルも
今は散歩から帰るとゴソゴソ小屋に入り、眠りにつきます。

今までで一番濃い時間を一緒に過ごしました。
愛しい気持ちで満ち足りながらも、心の奥の方に
わけの分からない不安も残って、神奈川に帰りました。

その後一ヶ月くらいして
母から泣きそうな声でスマイルがいなくなったと
電話がありました。

前にも脱走して、朝帰りしたことはあったので
大丈夫よ、と母に言い聞かせ電話を切りました。
でもスマイルはあれから帰ってきません。

母は、もっとかまってあげればよかった
かわいそうなことをした、と悔いていました。
それは私も同じでした。
あのとき、心の奥に不安があったのに、
家を出るとき、寂しくてスマイルの瞳を見れなかったから。

それから、チラシを作って色々なところに置いてもらい、
保健所にもスマイルの特徴を伝えて似たような犬がいたら
連絡してもらうよう電話もしましたが、
見つかる手がかりはいまだ掴めません。

何度も夢に出てきて、話しかけるのですが
応えてくれません。

母が知り合いに話すと、その人は
あなたがスマイルが死んでしまったらどうしよう、さみしいと
ずっと言っていたから、そのショックを受けさせまいと
一人そっといなくなったかもしれないと言ったそうです。

昔、母に怒られて家の外の石段に座って泣いていたら
そっと横に来て涙をなめてくれたアイツだから、
そんなことも考えそうだな、と少し思いました。

でも、さよならを言っていないのに
別れるのは悲しすぎる。
ねぇ、帰っておいでよ、と
今日もスマイルに心の中で話しかけました。
コメント (2)
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