44話 「迫る戦い」
「どこにあるのかおおよその見当は付いている。ただ確かめたい。この目で…アベルトに悪用されないために…」
マイールは悲しい目でセイナに言った。
セイナは動じることなく、それでも大爆発は目の当たりにしていた。
「…カイリはもういない…アベルトは勝つだろう。俺は従うしかない。反発したら…」
マイールは悲しい目のままセイナを見つめて言った。
セイナは落ち着いて答える。
「反発したらあなたがやられる…結局は恐怖に負けてマーズの鉱石のアベルトの意のままなことに変わらない。卑怯することだと思う」
セイナは精一杯の反発をした。
「…ではこうしよう…君を乗っているゲンナ号だったかな?に返すよ。その代わり俺とアベルトと総力戦をしよう。残りの戦力からいえば互角に近い…いやアベルトが上かな?」
大きく深呼吸をしてセイナは納得した。
マイールを哀れにも感じていた。
マイールは言った。
「アベルトがくる前に戻るんだ!」
マイールの片目だけが悲しく見えている。
マイールは戦艦に迎えに来るよう信号を出していた。
ララ機はそれを見て言った。
「罠じゃないの??」
守里とアベルトは感じていた。
マイール戦艦とアベルトは本気でかかってくると。
ララ機に迎えに行くよう指示を出した麻生も同じ思いだった。
カンナとトキノは、ララ機が狙われたら迎撃するよう構えていた。
Gビャクヤはほとんど元に戻っていたが、傷だけはどうすることもできない。
ベラーナは麻生とリリアンと一緒になって機体を直している。
あと数時間あれば…ベラーナ機はそこまで修復していた。
麻生が少しの休憩をしているとき、守里は質問した。
「パワークロノスは2回が限度ですよね?」
麻生は疲れを見せないように答えた。
「2回じゃが、30分充填すればあと1回使える。2時間で2回じゃ」
そして続けて言った。
「既に2回使える状態じゃから、2時間待てば2回使える。ただそれだけの余裕があるかは分からん。30分の充填で1回にかけるしかないかもしれん」
真剣な眼差しに、守里は考えていた。
「マイール戦艦に2回は使えない…1回…充填の時間はないだろうから、残りの1回でアベルとか…総力戦になるな…」
真剣に直しているベラーナを見上げて、2人で何とかしないとマズいと感じていた。
おそらく…アベルトは充填の暇は与えないだろう…
おそらく…全滅させてでもマーズの鉱石のためなら手段を選ばないだろう…
おそらく…例えセイナもろともでも倒すだろう…
守里は時間が迫ってきていることを感じていた。