第8話 「父」
「実はね。アストラーダをあのまま帰したわけじゃないのよ」
ララが照れながら頭をかきながら言った。
「これなんだけど…」
見せたのは追尾装置だった。
「ララ姉すごーい!自分で作ったの?」
セイナが聞くと、ララは照れつつ答えた。
「作ったりはセイナの特権じゃないし!何だかいつの間にか機体を直すのを手伝っているうちに覚えたのよ。試作かなぁと思ったんだけど…動いているわね!それを腰の部分に付けたから気付いていないはず!まあ、調べられたら別だけど…大丈夫ならいいけどね」
若干不安げそうに、でも無理やり隠すかのように意地を張っている様子がメンバーには分かった。
トキノが追尾装置を起動させると、照れていたはずのララが食い入るように見ている。
守里を始め、麻生とリリアン以外は一緒に様子を伺っていた。
その時、麻生とリリアンは相談していた。
「私たちは別居中だったわね…。でも今はみんなと一緒。もう別居は解除で別れ話もなかったことで良いんじゃない?」
麻生は嬉しそうに頷いていた。
そして一言。
「そもそも何で別れる話だったんだっけなぁ?」
リリアンは微笑んで一言。
「忘れちゃったわね?」
そのやり取りも知らないまま、他のメンバーは追尾装置に夢中だった。
「何これ…施設みたいね」
カンナが話すとトキノが言っていた、マイールらしきジャイワナーゾが入って行った施設を思い出す。
それと同時にアストラーダが話していたジャイワナーゾが残り2機、ゲラザロナが残り3機だと言うことを思い出した。
続けて守里が話し出す。
「…相手の戦力が分からないですよね…しかも敵かも分からないし…マイールが生きていたら…」
若干拳に力を込めている守里。
ベラーナは守里の気持ちを察して先に言った。
「マイールに対しては屈辱でしかないからな」
気持ちを察してくれたベラーナに頷きつつ、目は追尾装置を見るために探し出した。
「あのさ、確か前の名前は忘れたけど山だったよなぁ…」
ベラーナが言うと、みんなが考え出して同時に話し始めた。
「誰かがいる」
それと同時にベラーナが言いにくそうに言った。
「悪いけど一言あるよ。守里…お前の親父さん関係してないか?」
守里も薄々感じ取っていたからこそ、そこには重い空気が流れた。
ベラーナは冗談でごまかそうとしたが、あえてそれは避けた。
両親のことはシャレにならないことをベラーナは知っていた。