第11話 「【ジャカリラ】」
「あのさ、カトラ。そもそも何で拳銃とかじゃなくショットガンなのさ?」
アルバが休憩にパンを食べながら質問をした。
身体を変化させるには労力がかかる。
3日目を迎えて徐々に慣れて来ていても、力が必要になることに変わりはなかった。
「あんな巨大な相手に拳銃で対抗はできそうにないしね」
カトラが何だかアルバの部屋の机の上でメモを取っている。
続けて質問をする。
「何だろ…その同級生とかって何か言ってた?なんて答えた?」
「ハジメくんいますか?って言うから、知らないよ、誰だい?って答えたさ」
メモの手を止めてカトラが言った。
「名前を聞く暇もなく、残念そうに帰って行ったよ」
そうも告げるとまたメモを書き始めた。
「そっか、まあ分からないね。そもそも同級生で話したことのある女の子はいないし」
アルバが答えるとカトラがちょっと笑って言う。
「寂しい中学校だったわけだ」
アルバがバカバカしそうに「中学生でマセガキになりたくなかったよ」と答える。
パンを食べ終わってコーヒーを飲んでカトラに告げる。
「ルーカスに教えてもらわないだね」
カトラは筋肉質でルーカスも同じだった。
カトラが意地悪そうに「体力が必要だぞ」と話す。
ショットガンならそうかも、と考えてルーカスの部屋に向かう。
部屋に着いてドアをノックすると、ルーカスがにこやかに部屋に誘導する。
アルバは言った。
「何だここ、ジムみたいだな」
アルバの言葉にルーカスは「体力が必要だからな」と、カトラと同じように言う。
負けじとアルバが「俺も結構筋肉あるけど、足りないな…」と言うとルーカスが笑う。
部屋はほぼジムのようで片隅に写真がある机とカウチがあった。
その写真にはたくさんの子が写っている。
アルバは施設の子だとすぐに思って目をそらす。
他にはテレビがあった。
転がっているように、寝てみるように置いてある。
「テレビもつくぞ」ルーカスの言葉に見ることにした。
見づらかったが番組の合間にニュースが割り込んで来た。
と同時にジーナとカトラが来る。
「アル…バ…アル…バ…」
また同じ巨大な何かだった。
そして響くように大きな声で言った。
「ジャカリラーーーー」
何のことだか分からなかったが、ルーカスが言う。
「こいつの名前なんじゃないか?」
カトラも頷きながら答える。
「カタコトだけどおそらくそうだろう」と。
アルバは「ジャカリラ…か」と呟いた。