7話 ゲンナマーズ
守里剣はゲンナ号にいて真剣な眼差しをしていた。
「そうと分かれば各自やることを決めるだけになったな」
と麻生が言い、カンナはというと「シロハタ・カンパニー」について詳しく調べること。
ララはというと、まずゲンナ号に何かあった時にブースターの部分の操縦をすることになることを想定してゲンナ号の操縦の練習。
プラス唯一料理が得意なララは料理担当なのでメニューの考案。
麻生はマーズの鉱石を探して、それを自動戦機に塗装し装甲を厚くすること。
動力を作ること、さらに新たに自動戦機を収める場所を作ること。
また、守里が住めるようにゲンナ号に手を加えること。
セイナは、ロロナを強化するための計算と、刀型の武器をどう装備させるかの計算。
それはセイナがロロナと相談する大切な役割になってくる。
トキノはオペレーターとして指示を出すための、経路などの確認と、
マーズの残りの鉱石のありかを探すための解析と調査。
リリアンは、シロハタ・カンパニーの引き続き内部調査と、アベルト・ゼスタローネのその後についての調査。
守里はというと、
セイナと一緒に自動戦機の調整とシステムのゲンナ号との連携についての解読。
細かい微調整などや、計器の見方について。
または、パネルの調整や、スクリーンの調整、パイロットスーツの調達。
ロロナの搭載と調整、コックピット内の準備など。
何だか守里もテストパイロットで見た光景が浮かんできて、それが実現されると思うと、希望が見えてきた。
そしてやらなければならないことも…
それぞれの役割が決まったところで不安なことを守里は正直に言った。
「俺、ジャンク屋を辞めて専念した方がいいですよね?」
みんなで顔を見合わせて、リリアンが「そうなるわね、仲間との別れは辛いと思うけど…」
と気持ちを察したようだったが、守里は意を決したように、「大丈夫です!みんなが夢のために来たんだから分かってくれると思います」
「でも、最後に挨拶には行こうと思うんですけど…」
「…それに頼まれていた約束もあるから…」
と言ってみると「もちろんだわ、誰だって今すぐってわけにはいかないもの」
とリリアンは言い、それにはみんなも納得した。
「今度、私やパパにもその自動戦機、見せてくれるかしら?」
と言うリリアンの提案を守里は快く引き受けた。
守里は「俺って、決まればすぐ行動なんで、早速挨拶に行ってきます!」
「ちょっと待って!今は夜なのに大丈夫なの??」
それもそうだと思った守里は、照れながら「明日になったら話をしますよ、そうしたら俺ってどこにいたらいいか…」「まあ、何とかなるかな、なんて思いもあるけど、今の家には住めないから…」
確かに女だらけだわ、と思ったカンナやトキノ、リリアンは「倉庫の中の自動戦機の中ってどう?」
なるほどなぁと思った守里は「倉庫に泊めさせてもらえるようにしますね、あくまで完成するまでですけど」
「その後は…まあ、コックピット内でも…狭いけど何とかなると思うし…」
まで言うと、麻生が「ゲンナ号に住めるように改造しておくってことでどうなのかな?」
ララはゲッっとした顔をしましたが、カンナがつついて、何とか納得し他のみんなはそれに賛成した。
「まずは今日はこのまま帰って身支度でもしたらいいさ」との麻生の言葉で、守里は帰る支度をし始めた。
そこへ、照れたようにセイナが提案してみた。
そうそう、とセイナは考えていたことを伝えるように、「ねえねぇ、自動戦機って呼び方代えたいよね?」と言い出したので、「まあ…確かにね…」
とカンナやララは考えていましたが、照れるセイナに、守里の提案を聞いてみることにした。
すると、「実は…俺のプレハブに愛称が付いていて、それを採用してくれたらどうかな…なんて」照れたように言いつつ、セイナが「へえ~、何て名前なの?」と聞くと、真剣な顔になって「白夜って日本で言うけど…」
こんな漢字だけど読めるかな、と見せて、守里は紙に書いて見せたのですが、誰もが不思議そうに見ていた。
みんなの間をぬってその紙を見ようとするララに、カンナは「漢字かぁ、セイナの出番だね、頼んだからね、さっぱりわかんない」
セイナは漢字が読めるので「ビャクヤでしょ?」と言い、
ゲンナから「G」を取って…とセイナは考えていると、察したように守里もゲンナから取った名前もいると考えた。そこで守里は真剣に考えた挙句、「Gビャクヤなんてどうかな?」
真剣な目で言う守里に、麻生は「マーズの鉱石を使うからね、ゲンナ…ゲンナマーズ」
ハッとしたような守里剣は「ゲンナマーズか…自動戦機自体はゲンナマーズ」
「それを文字ってGビャクヤってどうです!」
麻生との会話の最中ビャクヤの意味が「太陽が沈まない状態」を指すことをセイナに聞いていたみんなは驚き、納得したように目を輝かせた。
自動戦機名はゲンナマーズであり「Gビャクヤ」と決まった。
それはみんなの新たな希望へと繋がっていく1歩だった。