第24話 「洗脳」
「待っているだけじゃダメじゃないかなぁ…性に合わないし」
ベラーナの言葉にアル・レレン艦長もこのままではと感じていた。
デロリデは少なくとも3機撃破したが、施設にはまだある。
バミューダの敵の数が分からなくても、どっちか潰さないとまずいかもしれない。
指揮官のアル・レレン艦長は即座に決めた。
「トキノとベラーナで施設に向かって欲しい。盾になるのが女性型AIなのは申し訳ないが」
ベラーナはアル・レレン艦長の言葉に対して冗談に捉えなかった。
「まあ…俺は生身だからな…ってトキノさんはOKなのかい?」
ベラーナの言葉にトキノは配置について語った。
警備の状況はトキノが1度潜入しているので分かる。
ベラーナにもプライドがある。
「まあ、反対に俺がトキノを守るくらいに戦うさ」
ベラーナの言葉にアル・レレン艦長は言った。
「ベラーナ機は隠して置いて2人で潜入だ。当然ベラーナの力は必要になる」
ベラーナ機とシークル艦からゲンナ号に移っていたトキノたち2人。
セイナがアサルトモードをトキノに渡していた。
いつの間にか2つ用意してあったのでベラーにも持たせるようにしていた。
「早い方が良い」
ベラーナの言葉にトキノは準備が整っているようにOKと合図する。
「マンホールからだと途中でまずダクトがあるから、タイミング見ないと行けないわ。人間には無理かもしれない。もう一つの方法の方が良いわ。使っていないような煙突があるの。そこからならデロリデに近いわ。その周りには警備が3人いる。そこさえ超えたらアストラーダたちがいるわ」
アル・レレン艦長はどこか何か不思議に感じた。
本当にそこにDはいるのだろうか…。
「恐らくDはバミューダかもしれん。シークル艦は施設から少し離れた位置に移動する。守里君もだ。施設にはアストラーダだけがいるのかもしれないからな」
アル・レレン艦長の言葉にベラーナは疑問があるようで答えた。
「なぜ、Dはいないと思うんです?」
「Dがトップの存在に近いなら、容易いところにはいない。恐らく施設にはない」
アル・レレン艦長の言葉にトキノは納得していた。
そしてさらに告げた。
「アストラーダもかもしれない…みんなバミューダなのかも…対応がおかしいわよね…反応も…」
「移ったのか?そんな気配はなかったが?」
ベラーナが不思議そうに話す。
もしかしたら…そう感じてベラーナが行動する。
「まあさ、とりあえず行ってみるか」
その言葉と同時にトキノを蹴った。
やっぱり銃を手にしている。
AIのトキノも力があるが、ベラーナの方が上回っていた。
アサルトモードを使うのがベラーナが早かった。
「傷はつけたくないけどさぁ!ここは仕方ないから!」
カンナとララが悲鳴をあげると、ベラーナはさらに蹴った。
殴ることはなかったが、その場のカンナのララも抑え込む。
3人係で取り押さえて縛った。
アル・レレン艦長は言った。
「最初に潜入した時に洗脳されていたんだろう。言動がおかしかった。ベラーナを向かわせて正解だったな。セイナ、治せるか?」
セイナは頷くと、ベラーナ機でシークル艦に連れてくることになった。
守里はアル・レレン艦長に聞いた。
「いつおかしいと思ったんです?」
アル・レレン艦長は答えた。
「潜入した時は分からなかったさ。最近デッキにいないことや、バミューダの動きとトキノの話す内容が合わないからだ。ベラーナを向かわせるには芝居をするしかなかった。セイナにも話していない」
ベラーナにも聞こえていた。
2人だけではなく周りのみんなが感心していた。
アル・レレン艦長は表情を変えなかったが、誰もがさすが指揮官と感じていた。