14話 テスト訓練
いよいよだった。
ベラーナは「俺の乗っているのは、あくまでアササノーゾで浮いているだけだからゆっくりだけどついては行ける、ある程度だけどね」と話す。
この空間は時空中に様々な国が浮いている不思議な世界だった。
国を隔てるものは何もない自由な空間。
各国があちらことらに散らばっているのが当たり前の世界、それが時空歴だった。
守里は「あの…」とあまりのベラーナの勢いに戸惑っていた。
「ああ、呼び方はベラーナで良いよ、てか1人で乗ったことある?」と聞いてきた。
麻生はロロナを強化させるために、エンド・カンパニーに向かっているので、ベラーナがテストしようと言ってきたのだ。
「あくまでテストだからだけど、乗ったことあるかな」と話し出す、じゃあと無線に切り替える。
「聞こえてるかい?」とベラーナに言われて「良好だね」と守里は答えた。
何だか年上を思わせるベラーナだったが、これから先のことを考えると友好的じゃないとあとがやりずらいし、好感も持っていた。
垂直に飛びだせるって言っていた麻生の言葉を思い出して、ついに飛び出した。
「何だか不安定なんだけど!」って言うとベラーナは「安定させること難しい?」と聞いた。
そもそもマーズの鉱石の威力を把握していない。
これってもしかして…と思い、減速してみたら落ち着いた。
「速度調整がうまくなってなかったからで、やっとOK」と守里が話すと「回転可能?」と聞かれたので試した。
20分ほどで何とか慣れてきた。
「武器がどうよ?」とベラーナに聞かれたので、武器を取って構えた。
なるほど接近戦用か、って当たり前かと納得する守里。
「おいおい、光ってんじゃん守里君!」よく見ると青く武器が光っている。
「その守里君ってどうにかならない?守里とか剣とか」と武器を構えて話す守里。
「武器向けて話すかね、よ、剣!ほらこっち!」と振り返ると、近くにマシンガンを向けたベラーナがいた。
後ろに気づかなかった守里は武器を閉まった。
「あらら、どうしたの剣?」ベラーナが言うと、ゲンナ号方向へ帰っていく守里。
「ショックかい?最初はそうだって」と無線でいうと守里は黙っている。
「…ショックもあるけど、ベラーナに圧倒されちゃってさ」と話す。
守里は続けて「しかもさ…ベラーナさぁ…ゲンナ号から離れすぎ」というと「あ」と思ったベラーナもゲンナ号付近に戻る。
守里が「注意力が足りなかった」と反省していると「同じく」と離れすぎていたことに悩んでいたベラーナ。
「今はお互い慣れていないってことだね」とベラーナが言う。
守里が「…あのさ、あとでマシンガン撃ってくれる?」と聞くと、ゲンナ号に戻ってコーヒーを飲んでいたベラーナは驚いた。
「壊れたらどうすんの?」と聞くと「どうやって防御するかもテストしないと!」
ショックより前向きな守里に、嬉しさを隠しきれないベラーナだった。