こんばんは。
鬼祓いは、引き続いておりますが、今はそのわたしのガチ恋にお付き合いください。
わたし、今までの恋は、相手を完全に支配することが目標で、相手の感情とかどうでもいい鬼畜でした。本気になると、完全に支配されたくなるので、本気になることはありませんでした。
主人は穏やかな日々を送れる愛の生活相手と思ってたら、思いの外人使い荒かった。
わたしの恋は、貢ぐなんてとんでもない。あなたが貢ぐのよ、常に高飛車で、承認欲求を満足できればいいだけのものでした。恋だと思っていても、すっと、ある日突然別れられる。面倒だと思えば、捨てる。重ければ、嫌悪感が出る。
自分にも同じで、重い自分、すがりつく自分、執着する自分、冷静さを欠いたなりふり構わずが大嫌いで、そういう自分ではないように、コントロールしていました。
まあ、性暴力を受けたことが中高時代にあるので、本気の人には目も合わせられない。けれど、そうじゃなければ、わたしも十分鬼畜でした。本気の人ほど、触れられない。どうでもいい人とはどうにでも場を有利に持っていける。まるで、承認欲求の回収行為みたいでした。
そんなわたしが、今回ストンと恋に落ち、それこそ相手は石。宝石のカケラ。その同じものは探そうとしてもない希少石の色石。
実は、友人が持ってきた時、それはネックレスでした。ケースに入っていて、色々なケースを開けて見ていたわたしに、
フワッと飛ばすような「圧」をかけてきたんです。
いわく言えば、壁ドン。思ってもみなかった相手にいきなり強引に腕を掴まれて引き寄せられた瞬間、恋に落ちました。
鬼畜の女王は、壁ドンなんて経験済みで、普通なら蹴り飛ばしてしまうのに、
ふいに掴まれた腕に引き寄せられて、その時からわたしは地獄を見ることとなりました。
友人に気取られぬよう、もうひとつその圧をかける石が言うままに、もうひとつネックレスを手にし、友人に、その石の自分が思う値を支払いました。高かったと思います。もう、心鷲掴みだったので、お金の適正値段を見失っていました。
翌日、クラフトマンにリフォームに出し、ネックレスをしていましたが、指輪にしたその圧をかけた石は、欠けがあったようなんです。分からないように爪で隠してもらって、返ってきたら、ネックレスをリフォームに出しました。
もう、お金の適正値段を見失うわたし。
でも、出来上がった石を強く見つめられない。見つめれば、苦しくなるだけ。離れれば、不安になるだけ。煽られて、焦って焦燥感の中、ネットの海を漂い、相手を知ろうとして、失敗。でも、まだ、この石、誰かを呼んでる。
うまく磨けば、微笑みに、地獄を見ることとなる。夢中なのだ。我も忘れて、なんと、食が喉に通らずダイエットになってしまう程、わたしは面やつれした。振り回されて、寝てれば、枕元に青い人が立ってる。
メーテルの青バージョンのようなその人は、よく見ようとすると、気配が消える。追いかければ、逃げる。こちらが距離を置こうとすると、
腕を掴まれて引き寄せてくる。
ああ、なんてただれた恋情の嵐。ふいの豪雨になす術もない。
でも、何かもうひとつ足りないらしい。
わたしには分からない。ネットの海には、いない。いないから、焦って探す。
無理だと思えば、微笑んでくる。その些細な微笑みだけで、ごめん、わたしは地獄を歩ける。
結局、友人に気取られぬよう、まだ売りたいものはないか尋ねた。友人は手放したくないけど、これ、買ってくれたのとシリーズで買ったのと、モノを見せてくれた。
嘘だろ。これ、3桁諭吉万円級じゃん。
高級外車一台分だったそうだ。無理だ、無理。絶対無理。幾らなんでも無理。
そう言って、知らぬ間に、断捨離金や色々なお金をかき集めてる自分がいた。理性も何もない。これはただの、恋情に狂った可哀なBBAの成れの果て。推しじゃない。これは、推しじゃない。高値の相手。
指輪は、圧をかける。妖艶に微笑んで、理性を失わせる。
結局、わたしは、友人に譲ってもらう事とした。友人も買い取りで失敗したらしい。買った時の値段よりかなり大幅に安くOKしてくれた。
手に入れれば満足すると思っていた。そうしたら、支配してやるつもりだった。
ダメだ。圧倒的な微笑みに、胸乱れ、心鷲掴みにさせられ、愛をねだる子のようにも見つめることができない。
既に金欠である。でも、自分の範囲でもある。でも、でも、でも。
手に入れても、手に入らないのだ。ちょっと笑って逃げる。追えば消える。待ってれば、やってくる。その時間のなんと長いことよ。
ああ、相手が人間でなくて良かった。こんな無様な自分見たくない。もっと恋愛強者だったはず。でも、何もできない。横顔を眺めつつ、待つだけだ。
とりあえず、ネックレスのリフォームが返ってくるのを待ってる。
苦しい。こんな思いをするのなら、出会わなきゃ良かった。自分の世界に色が急について、鮮やかになった。
後も先もこんな思いをするのは、これだけだろう。
わたしは今、地獄にいます。極彩色の地獄にいます。
朋