とある駅前。昭和感のあるノスタルジーあふれる駅。そこに両親がいる。声をかけ、いっしょに帰ることに。
帰るルートは2つ、その駅の地下にある駅から最寄駅まで。もう一つは、地上駅から乗り換えで帰る方法。ふだん、まったくと言っていいほど電車に乗らない父が「地上駅から乗り換えで」と。マジで? 遠回りなうえ、乗り換えあるのに?
しかたなく電車に乗る。地上駅ルートはガラガラ。1駅で降りて、乗り換え。
着いた駅も「ザ・昭和」駅。大きなキヨスクをはさんで、L字型に行き先の違う路線がある。
父に「トイレに行ってくる」と告げ、乗り場とは違う路線のホームにあるトイレに向かう。その路線はとても混んでいる感じ。気づくと僕の手にはバイクのヘルメットとレインコート、手袋。最近、バイクに乗っておらず、僕のでもないので、トイレのスロープの下に置いておくことに。
トイレから戻ると最寄駅に着いており、駅前のうどん屋に入ることに。そこには姉が待っており、姉と向かい合わせで座り、うどんを注文。新聞が目につき、広げてテレビ欄を見てみると、番組の枠が大きい。つまり特番のような番組ばかり。日付を見ると、「12月31日(土曜)」となっている。
姉に「今日、大晦日みたい。うどんじゃなくて、そばにすればよかった」と話す。
その後、実家に向かっているのかと思ったけど、着いたのは古いマンション。どうやら祖父母に会いに来たらしい。大晦日はいつも祖父母の家に行っていたので、そういうことらしい。
父とエレベーターに乗ると、床には何と遺体! 高齢の男性の少し時間の経った、ややミイラ化が始まった遺体が、アルミシートの上に置かれている。「何これ?」と思っていると、白衣を着た葬儀社の方が乗り込んできて、「あっ、すみません」と、小声で会釈。父は「臭うわ」と鼻を押さえているけど、僕は感じない。
「久しぶりにサザンの『死体置場でロマンスを』を聞きたいなぁ、「kamakura」のアルバムだったかなぁ」と遺体といっしょにエレベーターで上がりながら考えていると
目が覚めた。
仕事柄、遺体があるくらいでは驚きもない自分が怖い。
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