コロナが流行するまで、一年の半分以上を外国で過ごしていた。
10年ほど前自転車にハマった時、夫が「自転車を持っていこう」と言い出したのでいろいろ調べたが、そのころは競技で自転車を飛行機で運ぶ人の例しか見つからなくて、専用の段ボール箱に入れて預けるなどと書いてあり、箱代が3万円とか信じられない価格だった。
とりあえず向こうへ行って、現地で自転車を買うというのはどうかなと提案すると、台湾は自転車が安いとのってきた。
台湾で自転車を買うことにしたのはいいのだが、生産国にもかかわらず、台湾の自転車屋さんでは買いたい自転車が見つからない。
あらかじめ調べて車種を絞っていったのだけれど、どれも店頭になく、調べてもらっても在庫もないという。台湾製造のものもないというので、みんな日本やその他外国に運ばれてしまった後らしい。
それならあるもので選ぶしかないということになり、タイヤの大きさ14インチの子供用のような自転車を買った。折り畳みで軽い。
台湾に渡った後で航空会社の人に聞いてみると、必ずしも段ボール箱に入れなくてもいいとか、折り畳みならカバンに収まればいいとかいうことだったので、軽い折り畳みなら飛行機で運べそうなことがわかったのだ。
14インチでも耐荷重は大人でもいけるように作られていたし、タイヤが小さいと乗りにくくてかえって面白い。
その自転車で台湾を走り、タイへも行ってきたが、「子供用自転車に乗る日本人」へ興味を持って、話しかけてくる人の多いこと。それにもお国柄が出る。
タイはkwaii好きが多い。日本人と感覚が似ているところがある。小さい自転車についても、カワイーと声をかけてきたり親指を立ててイイネと合図してきたり。知り合いや英語ができる人は、どこで買ったのか聞いてきて、楽しそうだねとニコニコしている。
ショッピングセンターの駐車場に停めていたら、こんな小さい自転車、ひょいっと抱えて荷台に積んで持って行ってしまえるから気を付けたほうがいいと注意してくれた人もいる。
そんなタイの人々と比べて、台湾では、声をかけてきた人が100%「いくら?」と聞くのには笑った。中華の人々にとって、一番の関心事はお金なのだなぁとつくづく思う。
以前中国に留学していた時、教師から、旅行をして知らない人とどんどん話をしましょう、そうすれば会話能力が上がりますよと言われた。それを実行しようと休暇に中国国内を一人旅した日本人女性が、帰ってきてブンスカ怒っていた。会話をしようったって、向こうが聞いてくるのは「日本で働いていた時のお給料はいくらだったか」「この○○はいくらで買えるのか」ばかり。日本ではいくらなのか、しかあの人たち興味ないのよ ! これじゃちっとも会話にならない。勉強になんてならないわ !
知らない人への声のかけ方や、会話のきっかけに、国民性が出ることもある。中華の人は大陸でも台湾でも、積極的に声をかけてくる人は、とりあえず「いくら?」がきっかけになるようだ。それ、いくら? どこで買えるの? 台湾で何度も聞かれた。
まあ、日本に来る外国人も、どの日本人からも必ず「どちらのお国の方?」「ウェア アーユー カム フロム?」と聞かれて、うんざりしているかもしれないけれど。