王様の耳と猫の耳

日常と異国の話をまぜこぜで書き散らし

ボルシチ

2024-03-19 16:54:18 | 異国の話

「ロシア料理」といえば、思いつくのはボルシチとピロシキだろうか。

若いころロシア料理の店に行ったこともあるが、何を食べたか覚えていない。

 

モンゴルへ行ってから知ったのだけれど、ボルシチはもともとウクライナ料理なのだそうだ。

ウクライナ風はニンニクを利かすのが特徴と聞いたので、以来作るときはニンニクも入れている。

 

しかし、あのステキに特徴的な赤い色を出す「ビーツ」という野菜。

モンゴルでは「オラーン・マンジン」(赤マンジン)と呼ばれているのだが、ものすごく色が出る。

切るとまな板はもちろん、包丁も手も真っ赤っか。そしてとても土臭い。

なので、おいしいお店があるならば、手作りしないで食べに行くことをお勧めします。

 

といいながら、手作り。

おいしいんだけど、とにかく赤くなる。

 

モンゴルでは一般的な野菜であるビーツ。日本では見たことなかったなぁと思ったら、ベトナムの市場にはあった。

社会主義仲間で入ってきたのかな。

 

そして、コロナの影響で海外に出られなくなった2020年、近所の八百屋さんにも生のビーツが !

前はパクチーさえもなかったのに、いつの間にかビーツや青パパイヤまで買えるようになっていた。びっくり。

しかし、ボルシチはともかく、ソムタムは作ってもらって食べたいな。

 


モンゴルの主食

2024-02-13 23:39:06 | 異国の話

モンゴルに住んでいたころ、日本の知り合いからよく聞かれたのは、モンゴル人の主食は何? ということ。

ごはん? それともパン? と聞かれるたび、私は首を傾げた。

日本人にとって、食事はおかずと主食。一汁一菜や一汁三菜、主菜と副菜などと食事内容を表現するが、汁、菜以外に当然ごはんがつく。もちろん場合によってはパンになったり、そば、うどん、パスタなど麺類になったりするが、とにかく主食と呼ばれる炭水化物、でんぷんを必ず食べるのが前提だ。

だから日本では、外国では何を主食にしているのか、という疑問を持つ人が結構いるし、その際想定されるのは、もちろん炭水化物なのだ。

が。

モンゴルに行って知ったこと。モンゴル人にとって、ごはんは野菜の一種らしい。日本で洋食のプレートにニンジンやジャガイモが添え物として置かれているが、モンゴルではごはんもそのひとつとしてアイスクリームの1スクープくらいの量乗っていたりする。ごはんはそんな立ち位置なのだ。

友人の一人は、ごはんなんか食べてもすぐにお腹がすいてしまう、ごはんは腹持ち悪いよね、と言う。日本人とは意見が違うと思うが、彼らにとってはごはんよりパンのほうが腹持ちがいいらしい。

では、モンゴル人の主食はパンなのか。別の友人は日本人と結婚して日本に住んでいるので、奥さんや義理のお母さんの作る日本の食事を毎日食べていて、味噌汁も好きになったそうだが、ごはんのほかに必ずバンをつけてもらっている。ハンバーグライスにパン、親子丼にもパン。毎食必ずロールパンかバゲットを食べている。

そんな彼を見ていると、モンゴル人の主食はパンだと思ってしまいそうだが、それも違うと思う。

モンゴル人はとにかく肉が好きだ。一番好きなのは羊だが、牛はもちろん豚でも鶏でも食べるし、冬は馬肉、夏はタルバガンという大型のネズミみたいな獣の肉が人気だ。毎食必ず食べるものを主食というのなら、モンゴル人にとっての主食は、間違いなく「肉」だ。

モンゴルで仕事をしていて、「夕ご飯、食べていく?」とたずね、「いや、帰って食べるからいいよ」と断られた時でも、「そう? 羊肉を茹でてあるんだけど」と言うと、みんな目の色が変わって「食べる!!!」となる。いついかなる時でも、肉は断らない。私としては、羊肉を茹でておけばOKというのはとても楽だった。茹でただけの肉なんて、日本人としては料理でも何でもないが、モンゴル人にとってはこれに勝るものなし、らしいのだ。

というわけで、モンゴルの主食は「肉」


モンゴルの空き巣被害

2024-02-11 18:59:11 | 異国の話

モンゴルは空き巣が多いと聞いていた。

向こうへ行ってから知り合いになったある日本人は、数年のうちに3回空き巣に入られたそうだ。

一度は昼間仕事で出かけている間にテレビがなくなっていたらしい。まだネットもない時代だから、テレビは大切だったのだね。

一度は日本に帰っていたのだったか、何日か家を空けていて、戻ったら、家の中のものが何一つなくなっていたそうな。「絨毯もはがして持って行っていた」そうで、空き家状態だったらしい。空き巣も実に徹底している。

私たちも一度入られたことがある。といっても、アパートの1室を購入、古くて汚くて直さなくてはとても住めない状態だったので、壁の塗りなおし、床の張替え、ドアの交換などを済ませ、少量の荷物を置いた状態で冬物の調達に北京へ出かけた。そして半月後、戻ってきたら、私たちの新居に私たちより先に住んでいる奴らがいた。

購入した部屋は、店もできるようにと1階で、アパートの床下を這う温水パイプの修理のため、床に地下へ下りるため取り外せる部分があった。1階の部屋を店に改装しているところは、床にタイルを敷いてしまって床下に下りる扉をふさいでしまっていたようだが、私たちは事情が分からないので、その穴も再生しないといけないと思って、張りなおした床板にわざわざ扉もつけてもらっていた。まさか、床下から部屋に入られるとは思ってもみなかった。モンゴル人の友人たちも思いもよらなかったらしい。

警察の調査によると、床下から入り込んだのはいわゆるストリートチルドレンと呼ばれる、親と離れ路上生活をする少年たちだった。モンゴルは冬がとんでもなく寒いので、路上生活者は冬はマンホールの中の地下道で暮らしているのだが、どういうわけか住人のいない暖かなアパート(つまり、うち)を見つけ、何人かで住みついていたらしい。何しろ水は使えるし、電気も来ているし、暖房はアパート全体で入るから、最高の住処だ。

なぜストリートチルドレンが犯人だとわかったかというと捕まったからだが、詳しくは聞かなかったし、被害届なども出さなかった。その子たちがどうなったかは知らない。

家には家財道具などまだ入っていなかったので、被害は勝手に使われた電気と水道、作り付けの戸棚に置いていったビニール製の雨合羽と、市場で見つけておいしかったので箱買いしたチョコレート2箱だった。

空き巣に怒っていたのはモンゴルの友人ばかりで、夫は「子供だからチョコはうれしかっただろうな」と笑っていた。

床の「穴」は、厚いビニールカーペットを敷き、上に本棚などを乗せて、下から開けられないようにした。

ほかにもいろいろ空き巣対策をして、うちに入られたのは一度だけ。と言っても、その空き巣対策がかなり大変だったので、また後日紹介したい。


ウランバートルにも雪が降る

2024-02-07 17:36:59 | 異国の話

先日、東京を含む関東に雪が降った。東京の積雪は10㎝くらいだったけれど、雪国の人があきれるほど、いつもいつも交通マヒや転倒騒ぎが起きる。

では、毎冬雪が降る地域の人は転ばないのか? というと、そういうものでもないようだ。

モンゴルのウランバートルの最低気温はマイナス20~30度。降水量が少ないので雪はそれほど降らず、積もっても10㎝ほどだが、その雪が解けることなくカチカチに凍る。町は見渡す限りスケートリンクになる。それも平らではない。人が歩いたり、車が通ってでこぼこになったまま凍る。そのうえ、そこを歩く人が、わざと滑って楽しみつつ歩いたりするので、歩道の真ん中に特につるつるな帯が一筋できる。

こんな環境だが、人は雪道、氷道用の特別な靴を履くわけではなく、いつものスニーカーや革靴で街を歩く。老人は民族衣装のデール(コートのような衣服)に皮のブーツを履くが、防寒対策はされていても滑り止めはついていない。

だから、みんな転んでいる。子供はわざと滑って転び、老人はうまく歩けなくて転ぶ。友人のお母さんは、冬に転んで手首をひねったといっていた。ただ、みんな転ぶことに慣れているようで、若い人もステーンと転んで、さっと立って、何事もなかったように歩いていく。

雪や氷に慣れて転ばないというわけではなく、転ぶことに慣れているようだ。

私もモンゴルに滞在中、毎冬最低一度は転んだ。ただ、余りの寒さに着込んでいるので、硬い氷の上とはいえ尻餅をついたくらいでは痛くもなんともない。うっかり手をついたり、足首をひねったりしなければ、転んでも何ということはない。

また、車のタイヤも一年中同じ。雪道用のタイヤもチェーンも見た覚えはない。

家の前が一番の大通りだったので、毎日行きかう車を見ていたが、雪が降って道が凍ると、さすがにみんな速度を落とす。ノロノロ運転になるので、ブレーキをかけても滑ることはあまりない。

そしてその大通り、結構な交通量なのに我が家の近くには横断歩道、信号機がなかった。歩行者は、普段から車のスキをついて渡るのだが、冬は足元にも気をつけなければいけない。うっかり滑って転ぶと車にひかれる。結構広い道なので、真ん中(と思われる位置、氷で白線は見えない)で一休み。左右を見ながらゆっくり渡る。

ある時、渡っていたら急に知らないおばあさんに腕をつかまれた。怖いので、近くにいた私にすがってみたらしい。モンゴルでは若い男性がお年寄りを助けて道を歩いている姿をよく見かけた。孫かと思ったが、全くの見ず知らずかもしれない。外国人の私だっていきなり頼られるのだから、近くにいたら誰にでも頼るのだろう。そして渡りきると、何事もなかったように手を放し、おばあさんは去っていった。もちろん一言もナシ。モンゴルは環境が厳しいので、相互扶助は当たり前。頼んだり、礼を言ったりする必要もない。自然に頼り、自然に助ける。この辺りは結構楽しかった。

今思い出したけれど、うっかりブレーキを踏みすぎて、滑った車がいた。道の真ん中で横向きになってしまったのだ。あれあれと思ってみていると、近くを歩いていた若いもん、あんちゃんたちがさっと集まって、車を押したり引いたり、ちゃんとまっすぐに直してあげていた。そして戻ったらみんな去っていく。互いに会話なし。これが自然。寒いところで立ち往生したりすると生命にかかわるので、これも寒い国の暮らしの知恵だろうか。

 


使えないお金

2024-01-25 20:59:46 | 異国の話

ネットを見ていたら、今年お札が新しくなるけれど、古いお札は使えなくなるのか? という質問が載っていて、日本のお金は使えますがな~と思った。

逆に外国では使えなくなることがあるのだ。

 

かなり前のことだが、台湾で使い残したお金を、次に行ったときに払おうと出したら拒否されたことがある。

100元札だったのでびっくりして、なぜ? と尋ねると、このお札は古いから受け取れないと言う。もう使うことはできないのかと重ねて尋ねると(5枚位あった)、台湾銀行にもっていけば取り換えてくれるよとのこと。そのまま台湾銀行へ移動して、無事に新札に交換してもらった。

台湾だから話が通じてよかった。

 

もっと前、初めてインドネシアへ行ったときも、出したお札を戻されたことがあった。インドネシア語は数字くらいしかわからないので困ったが、お店の人も困ったのだろう、一生懸命にお札の一部を指さしてきた。そこにはお札の発行年が記載してあるようだったが、その数字が確か1974だったような。

古いから使えないと言っているのかな? と言うと、夫が「スマトラサイは絶滅したから使えないんだよ、きっと」

お札にはサイの絵がついていた。後で調べたらスマトラサイは絶滅危惧種であって絶滅したわけではなかったようだけど、とにかく古すぎるから使えないということだったようだ。どこかのお店でお釣りとしてもらったのに。どうせわからないから回してしまえということだったのだろうか。少額だったし、サイの絵がよかったので、記念にもらってきた。

 

ほかにも受け取りを拒否されたお金はある。中国でのこと。出したお金が汚いから受け取れないと言われた。汚くたってお金はお金だし、汚したのは私じゃないと思うものの、確かにかなり汚い。というか、汚れているだけじゃなくテープで修繕してある。拒否する気持ちもわからなくはない。

というわけで、別のお札を出して買い物を済ませた。

その汚いお金は銀行にもっていけば交換してくれるのか? おそらく無理だろうというのが地元中国人のご意見。

だから別の機会に、何枚かのお札の中に混ぜて払った。気が付かなかったのか、別に構わないと思ったのか、受け取ってもらえた。

 

また別の時、中国の銀行で正規に両替してもらった500元札で払おうとしたら、レジの人が「これ、偽札じゃない?」と言い出した。

中国は偽札が多いと評判だが、まだ見たことがなかったので、疑われている私たちまで身を乗り出して「どれどれ」などとやっていたら、もう一人女性がやってきて「大丈夫よ。日本人だし」と言う。日本人だというのがどれほどの保証になるかはわからないけど、これは銀行で受け取ったものなんだけど、偽札ということはあるのかな? と聞くと、まあいいからいいからとレジにしまおうとする。最初に受け取った人は納得せず、それはきっと偽札だと言い張る。真偽はわからないが、もしもそれが偽物なら問題だから別のお札を出すよと財布からほかのお金を出そうとしたけれど、後から来た人は受け取らない。しばらく押し問答があったけれど、結局その偽札もどきはレジに収まり、私たちは無事に買い物を済ませた。

後で聞くと、中国の銀行にも偽札探知機はあるのだが、それをすり抜けてしまうのか銀行に入ってしまう偽札もあるらしい。そして困ったことに、その偽札をまた市中に出してしまうことがあるというのだ。私たちが銀行から受け取ったのも偽札の可能性は排除できないようだ。

 

そんなふうに銀行が信用できないのだから、市中の両替商はもっと信用できないだろう。

モンゴルとの国境に近い町でちょっとした電化製品を見つけて、買おうかどうか迷った。銀行は開いていない。持っている中国のお金では足りない。店の人にそう言うと、両替屋を呼んでやるから日本円でもドルでも交換すればいいと言う。それが信用ならんのだよなぁ。

とはいえ、両替したお金のほとんどはそのまま右から左に店の金庫に収まるのだから、たとえ偽札でもこちらに損はないはず。夫がそう言うので、なるほどと思って、その流しの両替屋さん(ショルダーバッグに中国のお金と外貨と電卓が入っているだけ)に頼んで、いくらか交換してもらった。

大きなお札は電気屋さんに渡り、私たちの手元に残ったのは5元以下の小額。それを食べ物屋台で使おうと出したら、店のお兄ちゃんが「?」という表情になり、灯の下でお札を裏表じっくり見て「偽札だよ」と言った。

えーっとのぞき込むと、ほら手触りがちょっと違うだろ、と言う。言われてみれは違う気もするけどピン札だからかと思った。でも、あんなに汚いお札ばかりの中国で、ピン札というのがまず怪しくないか? 動きのある小額紙幣ならなおさら、すぐに汚くなるはずなのに。

5元といえば、当時で70円くらい。そんな偽札作る? でも作るのが中国。何しろ2元の偽たばこまであったくらいだから。

その5元も持ち帰り、モンゴルの友人に見せたら、みんな面白がっていた。

あれ? あのお札、どこへ行ったんだろう?