あめつちの詩

「あめつち」に響く歌声の持ち主「にいや」こと「新屋まり」が奮闘の日々を綴る。

ヒロシマを歌う覚悟

2022-07-25 | 私が歌手

広島市内の整体を目指して

下山した。

手帳には12時30分と記入

しているが違和感がある。

再確認したら14時30分だった。

3時間近く時間が空いた。

どうしようかなと思いながらも

思考停止したままの私を載せて、

車は迷いなく決然と進む。

「え?どこへ行くの?」と

思う自分。

紙屋町交差点を右折して

その先を左折して気づいた。

元安川に突き当たる。

原爆ドームがあると気づいて

はっとした。

「ヒロシマレクイエム」がまじかだ。

共通認識が曖昧なまま

スタートしたゆえに

行き違い的なことが多発。

運営のまずさが露呈した。

気心しれた仲間だけならまだしも

ぞれぞれの思いはちょっとずつ

違っている。

その思いのズレや運営にばかり

気を取られていた。

様々な問題は私自身の気持ちが

右往左往しているからでもある

と悟った。

もっと最初にここに来ておくべき

だったと。

原爆ドーム前で毎年8月6日

灯篭流しが開催される。

20年ほど前に灯篭流しと同時に

開催されていた「地球ハーモニー」

で歌ったのが私の

ターニングポイントになった。

たまたま目撃した「地球ハーモニー」

で「元安川」を歌いたいと

強烈に思った。

その思いが私をあそこに運んだ。

再びあの熱量で歌うべきだ。

原爆ドーム近く「学徒動員の碑」

で手を合わせる。

父は16才で学徒動員した。

配属先が呉市だったから

難を逃れた。

もしも広島市内だったら私は

この世に生まれていない。

前途ある若者が無為に

死ななくてはならなかった。

水を求めてさまよい

父母の名を呼びながら

無念のうちに果てた子らの

心情を思うと絶望的な気もちに

なる。

せめて彼女ら彼らの御魂を

歌の力を借りて慰めたいと思う。

 

作曲させてもらった「声 三部作」は

故・森川定實さんの実体験だ。

これほど辛かったんだよ

こんなに悲しかったんだよと

文字が私に訴えて来た。

たくさんの子供たちが

亡くなった白潮公園で

身体の不具合と

湧き上がる哀しみに圧倒された

ことがある。

「歌って欲しい」と彼らに

強く望まれたから

偶然を装って詩に出会ったの

かもしれない。

歌は祈りでもある。

祈りは自分の衷心から発する

ものでなくてはどこへも届かない。

原爆ドームの前で強く

そのことを思った。

原爆なんて自分と無関係だ。

と私も思っていた。

それでも自分が広島県人であり

被爆者に縁ある人間だと

思わされることに度々遭遇した。

父は入市被爆を認定された。

母は50キロ離れた町から

きのこ雲を見ている。

母には妹が居た。

母に言わせると

「被爆した人のお乳をもらって

死んだ」のだが

母親である私の祖母は

その子を産んだことはないと

言っていたそうだ。

墓標には「信子」と

昭和20年没と刻まれている。

私は東京でつきあっていた彼に

「広島の女とは結婚するなと、

親に言われている」と言われた。

私は10代から結婚しないと

決めていたので彼に対しても

想定はしていなかったが、

最近になって不当な差別発言

だったと思うようになった。

昭和20年以降の差別実態の

ひどさは知る由もない。

そういう意味で被爆者は

二重に苦しめられた。

今年で77年。

1発の原子爆弾が生み出した

暴力と破壊は形あるもの

だけではなく精神性の根幹を

破壊したのではないか?

分断された精神性を拾い集めて、

つなぎ合わせてもう一度

まろやかな心に。

大仰に言えば私はその為に歌う。

空が青くて美しかった。

我々が平穏無事でいられることに

感謝したい。

そして平和を心から享受しなくては

先人に申し訳ないと思う。

生きて歌える幸せを伝えます。

感染拡大傾向ではありますが

夏開催に意義があるコンサートの為、

今現在は中止・延期を考えていません。

マスク・シールドでの合唱を

検討するほか感染対策をします。

ヒロシマ・レクイエムコンサート

日時/7月30日(土)14時開演

会場/三次市民ホールきりり内

サロンホール

料金/2000円(CD進呈)

ヒロシマレクイエム

日時/8月11日(祝)14時開演

会場/北広島まちづくりセンター

※千代田インターより1分

料金/1500円(先着70名様)

1部 岩田美穂氏講演

2部 コンサート

いずれも「アンサンブルPoco」さん

と合唱コラボ曲あり。

 

 

 


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