あめつちの詩

「あめつち」に響く歌声の持ち主「にいや」こと「新屋まり」が奮闘の日々を綴る。

テーマ・ヒロシマ。名もなき意志に導かれて

2019-08-07 | 私が歌手

今年も8月6日朝が来た。

広島がヒロシマに一変する。

東京からUターンした直後には

8時15分にサイレンが鳴り響き

その音と共に黙とうをしたのが

とても新鮮だった。

職場から宿泊付きの人間ドッグを

無料で受けたまえと言ってもらった。

8月6日に広島市中心部の病院を

選んだのはたまたまだった。

テーマ・ヒロシマとの出会いは

その小さな偶然から始まった。

 

入院と言っても何もするこがない。

夕暮れ、街へ出てみた。

元安川の灯篭流しを初めて見た。

その岸辺ではコンサートが

催されていた。

川に向かって歌うんだ・・と思った。

バックコーラスとして

バンド活動に関わって2年。

歌うのが楽しくて仕方なかった。

「ここで歌いたい」と強烈に思った。

コンサート名を「地球ハーモニー」

と知った。

まさしくその夜、

あれほど夢中だったバンドを

解散すると突然告げられた。

ショックで一睡もできなかった。

 

バンド解散後も

何とかして歌いたいと思った私は

ギター弾き語りを形にしたいと

創作を始めていた時期、

9.11が起こった。

アフガンへの攻撃を決めた米国に

ヒロシマを冒とくする行為だ

と感じた。

もう2度と

グラウンドゼロ(爆心地)を

地球上に作ってほしくない

というヒロシマの

ささやかな願いを無視された。

と感じた私は

その怒りを原動力に

「テロリズム」をうみ出す。

手持ちの歌をアルバム化しよう。

利益が出たらアフガン支援に

寄付すると、

突飛もないことを考えた。

車で走っていたら

「CD制作」の電光掲示板が

目に入った。

協力してくれるミュージシャンが現れ

CD制作の仕方も知らないまま

そのスタジオで作った。

「祈りの大地」完成。

 

手作り感が満載の不出来なアルバムを

友人知人が買ってくれた。

結果的には13万円余りの

利益が出た。

国連難民高等弁務官事務所

(現 UNHCR)へ寄付できた。

そのアルバムを売るために、

旧日銀を会場とした

イベントへの参加を決めた。

その後の活動には大きな意義があった。

 

旧日銀は被爆建物。

何の知識もなく下見に訪れた。

初めて建物に入ったのは8月3日。

内部は外の世界とは空気が違った。

「ここは時間が止まっている」

と感じた。

知識でしかなかった原爆投下が

私にとってにわかに現実味を帯びた。

物販はできないと分かったが

それはもはやどうでも良くなった。

この強い衝動の正体は何か?

自分でいぶかりながらも、

それからの40日間というもの

怒涛のように湧いてくる思いを

歌にした。

あれほどの創作熱を

あれ以降は体験したことがない。

8曲が完成した。

前年夏に目撃した灯篭流しで

手を合わせていた老人の後ろ姿が

「元安川」冒頭のイメージになった。

元安川で「元安川」を歌うのが

私の人生の目標になった。

 

ある日、

紹介されたピアニスト宅で

練習をしていたところへ

ひょっこり男性が現れた。

「君、面白いね」と言われた。

その後にサラリ言われた言葉に

心底驚いた。

「君、地球ハーモニーに出ない?」

 

地球ハーモニーを目撃してから1年後。

元安川にせり出したステージに

ギターを抱えて座った時には

不思議な気がした。

屋外で歌うのは初めてだったし

大勢の人に注目されたが、

自分の中には別の視点があって

深い感動を味わっていた。

一連の物事はすべて順序良く起こった。

名もない大きな意志が存在していて、

その意志に私は導かれたのだろう

と感じた。

今でもその思いは変わらない。

 

※新屋まり画像 宮角孝雄、堂畝紘子

 

 


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