にそくにりん

自転車やバイクでのツーリング。ハイキングや登山。そのほかいろいろ。

竜王山へ

2002年04月13日 | サイクリング
2002年4月13日(土)

今年2度目のツーリングに出かける。去年より行きたいと思っていた、比婆山系竜王山へのヒルクライムをトライする。

天気はいまいちだがMTBを車に積み込み家を出る。
新緑は知らぬまに赤っぽい色から黄緑色に変わっていく。
山桜が終わり、山の中腹へ筆先の絵具をまばらに散らした真っ白の点々は、こぶしの花。雑木の足元へ浮かび上がる危ういような、つつじの薄紫。この時季がなんとも言えず私は好きだ。

芸備線比婆山駅を少し通り過ぎると鳥居がある。R182から道を左に折れr254へ入る。8時30分、熊野川沿いの道端に車を止める。
標高388mひんやりと澄んだ空気の中をMTBにまたがりスタート。

まだあちこちに桜が咲いている。今年は桜の開花が早く、例年ならやっと開花が、まだ残っているという言い方になってしまう。
熊野川の流れは美しくガードレール越しに川面をそっとのぞくと、岩魚の群れが小さな淵を行き来する。渓流釣りの人が、ところどころで岩陰に身を隠しながら竿を伸ばしている。
この川には、ゴギという岩魚属の魚で30cmにもなるのがいるそうな。いろいろと楽しみもあるだろうが、不要な殺生はしたくないと私は思う。

「熊野の大トチ」の看板を見て寄り道をする。大きな洞がある二股のトチの木を仰ぐ。今はまだ新芽ものぞいていない巨木も、初夏には花をつけるらしく、そのころにまた来てみたい。
少し休憩を取り行動食を食べる。日当たりのよい畦に、まるで植えたかのようにつくしが一面に生えている。誰も採るものはいないのだろう伸びのびと生えている。

じわりじわりと角度を増してくる坂道を踏みつけながら、ふと顔を上げると目の前の枯枝にオオルリが止まっている。
一瞬に近い長い数秒間、時が止まる。思い出したかのように、さっと飛び立つ群青の濃く鮮やかな青。それは脳裏に焼きつくほどの美しさである。

ウグイスの声、ヒヨドリの叫び、山鳩の羽ばたく音。メジロの群れが木々を飛び交う囁きに似た音。
山々が芽吹く寸前の力強く暖かい空気が山襞に満ち、目指す竜王山は春霞の白い空にその輪郭をぼかしている。

吾妻山との分岐まで上ってきた。道は九折れに山肌を縫い、黙々と高度を稼ぐ。10時45分、ついに標高1000mを超える。
丸太で作ってある「県民の森」の看板で休憩。しばらく上ると、ぐんと坂が急になり漕げなくなってしまう。残念だがMTBを降り押して上る。
池の段の駐車場との分れを過ぎ、竜王山へほぼ一直線の坂を漕ぐ。道のほとりの残雪が冬の名残を惜しんでいる。
11時15分、竜王山駐車場に登りつく。1240m。

汗が引くのを待ち、シャツを着重ねる。
強い風にゴーゴーと山が鳴く。その割に風を感じない不思議な感覚。
誰もいない丸太のベンチに腰掛け、おにぎりを頬張りワンカップを飲む。
流れる雲を追い、見上げる顔に小さな雨がぽつりぽつり。
さて、ぼつぼつ帰るか。

走行距離 31km   
標高1240m  
標高差 852m  
所要時間  4時間



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