元永定正さんが10月3日に永眠されました。
心からご冥福をお祈りいたします。
「がちゃがちゃ どんどん」や「もけら もけら」「かげ ひかり」「ころころころ」などなど
さっち、ゆっちが1~3才の頃、本当に何度も何度もくり返し読んだ。
読み手の自由をたくさん引き出すことができる絵と言葉。
抽象的なカタチから想像を楽しむことができる元永さんの絵本は
何度読んでも、(たぶん読んでもらっても)飽きず
キモチの波を穏やかにし、絵本を自分達のものにできた。
「ころころころ」の忘れられないエピソード。
さっちが2才半~2才後半くらいだったはず。
公民館で「ころころころ」を読み聞かせボランティアの人に読んでもらったことがあった。
さっちは、真剣に聞いていた。
終わって本を閉じると
さっちがつぶやいた。
「ママ、あの絵本・同じなのに違うね。」
=あの絵本は、家にある絵本と同じ絵本なのに、読み方が違うと全然違うね。
そう言っていたんだと受け取った。
そう、その人の読み方は私とまるで違って
抑揚がなく、ころころころを同じペースで何度も繰り返していた。
単純な 「ころころころ」の繰り返しだからこそ、読み手のリズムが印象を
変えるのだろう。
絵本なんて
誰が読んでも同じかもしれない。
でも、母の声の高さや速度が自然に身体にしまってあるのだと
その時、強く感じたのだった。
まだ言葉をうまく操れない頃の声。
私にとって、「ころころころ」は忘れられない絵本の1冊となった。
今でも、時々開く。
今日も開いてみた。
何だか懐かしくて涙が出た。
元永定正 作
福音館書店
さっちとゆっちに元永さんが亡くなったことを伝えた。
「会ったこともない人だけど、すごくお世話になった人なんだよ。」
「世間は、スティーブが亡くなったことの方が大きいかもしれないけど、
ママは、元永さんが死んじゃったことの方がショック。」
と言うと、
「ママ、誰かが死んだとき、どっちの方が~とか言わないほうがよくない?
どっちの人も今まで生きていたんだから。。」
とさっちに言われて、ちょっと慌てた。
それはそうだ。
三年生の娘からの指摘。
静かに、死を惜しむことにする。。