香月泰男の絵を初めて新聞の特集記事で見て、すごく惹かれた。
黄土色に塗られたキャンパスに黒の絵具・・・・香月泰男の特徴でもある。
シベリア抑留を生き延びた彼は「シベリアシリーズ」として50枚もの絵を残している。
今、生誕110年の展覧会を神奈川県立美術館で開催されている。
香月泰男は山口県に生まれた人で山口県にも香月泰男美術館がある。
実際の彼の絵の前に立ってみたいという気持ちがすごく強くなった。
なぜこんなに惹かれるのかよく理由はわからないけれど、わたしの内面に鋭く入りこんでくる。
「青い太陽」という絵がある。
黄土色をベースに黒で塗られたキャンパスの上部にぽっかりと強烈な青が見える。
これは自分がアリになって土のなかから見あげた空の色・・・だという。
アリはこの青空を太陽と感じた。アリはシベリアの大地にいた彼自身だったと思われる。
視る眼によって太陽は青くもなるし、オレンジ色にもなる。黄色にも、白にもなる
シベリア体験を詩に描いた石原吉郎という詩人もいるけれど、その生と死の境界のような
場所に身をおいた人間の表現はとても強烈でひとの心に入り込んでくる強さがある。