会社でよく、同年代の同僚が奥さんとの会話がめんどくさいという話をします。この書き出しが今日の言いたいこととうまく繋がるかどうかわからないまま書いていってみます。
同僚曰く、奥さんはその日に起きたことを順序立てて経緯と脈略重視で話をするから話が長いと。更に、我慢して聞いているとオチがないから反応に困ると。そろそろ終わりかなという頃合いに、例えばその日の奥さんのお話が「がっかりした」というエピソードだったとしたら、がっかりしない結果を得るための方策を考えて「こうした方が良かったんじゃないの?」、「もっとこうしなければいけなかったんじゃないの?」といった類の提案をすると、奥さんは「どうしたら良いのかを聞いているのではない、ただ話を聞いてくれればいい」と言ってキレるので、迂闊に何も言えない、うちの奥さんは怖い、と言います。
別の同僚は、自身は理系出身だから答えを導く思考回路で奥さんの話を聞く癖があるので、感情をプロセスする抽象的な話に付き合うのは苦手だと言います。30代から60代までの既婚男性から似たような話を本当によく聞きます。御多分に漏れず、うちもこれをやっています。理系だとか文系だとかの考え方は日本特有だと思うし、海外の夫婦からも同じような話を聞くので、あまり関係ない気がします。
先日、我が家でもちょっとした口論をしました。口論と言っても、うちは熟年再婚だからか言い争いはほとんどしません。もうお互い別のパートナーと声を枯らすほどの口論を繰り返しやり尽くしたので、同じ轍は踏まないように気をつけているからかも知れません。それでも、年に1回か2回くらいは夫がヒートアップする現象が起こります。
最近、夫の健康に関わる懸案事項がありました。いつもと違うことが起きたので、これからはお互いの心の平穏のためにも、何か健康面で心配なことがあったら病院に行って専門家に診てもらうことにしようと伝えていた時でした。夫の顔が歪んできて、「あなたに言われたことですごく嫌な気持ちになっている」と言われました。言いながら怒りの感情が表情にも口調にも出ていました。続けて「こんなに嫌な気持ちになっているのがあなたにわかるか?」と聞いてきました。「なぜ怒っているのかがわからないので、キョトンとしています」と伝えると、「わからないのか?怒っている理由を探して持って来いと言うのか?」と続き、もっと火に油を注いでしまいました。
心の中では「なんだこれ」と思いながら、顔を真っ赤にして怒っている夫を見ていました。嫌な気持ちにさせられて怒っている、その理由がわからないようだからもっと腹が立つ云々のリピート再生を3回くらい聞き、会話を止めるために私が謝って謝って終わりました。
夫は健康に関しては根拠のない自信を持っていて、健康は彼の自尊心に関わる繊細なことなのだと言うことはわかりました。おそらく、健康面で私に心配され、病院に行った方が良いのでは?なんて言われたことで彼のプライドを傷つけてしまったようです。でも、私に怒るのは筋違いです。夫が真っ赤な顔して怒りながら伝えようとしていた本心は、「あなたが言っていることは正論だけれど、これまで健康には自信があったので、健康について心配されるようになった、つまり老いという現実を認識することに強い抵抗を感じている。今は自分自身の中で処理が追いついていないので、申し訳ないけどこの話は別の機会にして欲しい」だったのではないかと。
この筋違いな怒り、よくあるんです。今の夫にも、前夫にも、その間に付き合っていた人にも。一般論にしてしまうのは雑すぎるかも知れませんが、私の人生のサンプルは3つしかなく、この3つのサンプリングで同じ結果が出たという前提で話すと、男性は不快な感情を抱くと、それを感じているのが嫌なので、取り敢えず怒りに変えて発散してしまいがち。自分でもちょっと変だな、見切り発車しちゃったなと、どこかでわかっているのだとも思いますが、一旦怒りとして発散してしまうと後戻りができなくなって、自分は怒っているんだ!お前が悪いんだ!という構図を正当化できたと思えるまでリピートしてしまうんだなと。。。
私は心理や脳神経の専門家ではないので感覚的な解釈ですが、男女で脳の構造が違うという話は聞いたことがあります。男性だから女性だからという枕詞の使い方には繊細にならざるを得ないご時世です。それでも、あちらこちらで男性が「うちの奥さんの話が長くてオチがない、良かれと思って代替案を提案すれば逆ギレする」って家の外で愚痴っているので、私も「男の人って不快な感情をプロセスするのがめんどくさいからって、取り敢えず怒りの球にして丸投げしてくるよねー」って言っちゃおうかな。