兵頭正俊@hyodo_masatoshi さんのツイートです。
――ISISが、安倍を誤解していると東京の大手メディアが洗脳。しかし、エジプト大統領との会談で、安倍は「国際秩序全体の脅威であるISISが弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べている。 http://s.nikkei.com/1yGdbqL〔21:03 - 2015年1月21日〕 ――
兵頭さんは、
こんなことも言ってます。
――今回の身の代金要求事件の責任は、安倍の軽率な発言にある。お坊ちゃん育ちの、「ええかっこしい」(みえっぱり、外面だけがいい)で、現地でも驚く「反テロ」(本音は反中東)をぶちまくり、それがISISの身の代金要求に繋がった。安倍が作った問題であり、安倍はふたりの命に責任がある。〔20:45 - 2015年1月21日 〕――
――安倍は「テロには屈しない」を金切り声で繰り返す。これはナルシズムにすぎない。ISISを刺激するだけで、ふたりのためにはならない。今、必要なのはISISとの交渉のための政治だ。ナルシズムは抑えて早く交渉の入り口にたつべきだ。今のやり方は欧米に向かって自己宣伝に努めているにすぎない。〔20:20 - 2015年1月21日 〕――
――安倍の「人命救助が第一」は、すでにふたりを見捨てる意思表示かもしれない。昨年11月に、ISISから後藤健二に対して身の代金10億円の要求があったが、安倍は、米国の指示で断っていた可能性が高い。「人命救助が第一」は、非難されないためのパフォーマンスだ。〔20:12 - 2015年1月21日 〕――
――もし安倍が日本人であれば、ふたりの日本人を助けねばならない。米国の方針は米国のものだ。日本の方が歴史は古く、東洋の哲学と智恵がある。「テロには屈しない」は、米国の1%の理屈だ。何でも隷属するな。日本の智恵で、ISISと話し合うべきだ。しかも身の代金要求の最大の責任は安倍にある。〔20:03 - 2015年1月21日 〕――
――ISISに身の代金を要求されたふたりは、安倍晋三の中東訪問中の不注意な発言で殺される可能性がある。安倍には最大の責任がある。安倍は日本のトップとして責任を果たさねばならない。それは交渉をまとめて、ふたりを救出することだ。それがナショナリズムであり、保守であり、日本人ということだ。〔19:56 - 2015年1月21日 〕――
非常に適切な指摘が並んでいる。
ちょっと上から目線な言い方になるけど、
安倍さんも
自分の責任で人を殺したくなかろう。
頑張れ。
軽蔑されて生き永らえるには、
人生、まだ先が長いぞ。
しかし、冒頭に示した
「国際秩序全体の脅威であるISISが弱体化し、壊滅につながることを期待する」
という発言は、
3か月前のもので
無効なような言い方をする者がいるらしい
(徳永みちお@tokunagamichioさんのツイート〔23:22 - 2015年1月21日 〕 )。
そんなに賞味期限が少ないのなら、
言えば言うほど
責任の持てない言葉だらけになってしまうではないか…
春夏秋冬、季節でも3か月で1回転だ。
春の終わりに
春の話でもすれば
「大昔のことを言うな」
と怒鳴りつけるつもりでもいるのか――。
百歩、譲って
3か月前の発言を持ち出すなというなら、
次の
人質殺害警告ビデオの
公表前と後で
明らかに表現が違っている。
典拠:徳永みちお@tokunagamichio さんのツイート〔14:51 - 2015年1月22日 〕
公表前の言葉をもって
後の表現の不実を指摘することは、
充分に可能だ。
〔資料-1〕
「首相「空爆でイスラム国壊滅を」 エジプト大統領と会談 」
日経新聞(2014/9/24 10:19 )
☆ 記事URL:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE24H0A_U4A920C1EAF000/
【ニューヨーク=永沢毅】安倍晋三首相は23日午後(日本時間24日朝)、エジプトのシシ大統領と会談し、米軍による過激派「イスラム国」掃討を目的としたシリア領内での空爆について「国際秩序全体の脅威であるイスラム国が弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べた。大統領は「国際的な努力は支持したい」と応じた。
〔資料-2〕
「安倍総理大臣の中東政策スピーチ
(中庸が最善:活力に満ち安定した中東へ 新たなページめくる日本とエジプト)」
外務省ホームページ(2015年1月17日)
於・日エジプト経済合同委員会
☆ 記事URL:http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/eg/page24_000392.html
1.中庸が最善
イブラヒーム・マハラブ首相閣下、
日エジプト経済合同委員会の皆様、
ご列席の皆様、
アッサラーム・アレイクム・ジャミーアン (皆さん、こんにちは)
今回このように、悠久の歴史と文明を誇るエジプトを訪問することが出来たことを心から嬉しく思います。今回で、この2年のうち、5回目の中東訪問になりますが、これは日本がいかにこの地域を大切に思い、尊敬の念を抱いてきたかを示すものです。
私は一昨年、ジッダにおいて日本の新たな中東政策を発表したとき、「タアーイシュ(共生と共栄)」、「タアーウヌ(協働)」に加え、「タサームフ」、すなわち和と寛容を、主導理念にしていきたいと言いました。私はこれまで、この理念に沿った中東政策を実施してきました。
今回私は、「中庸が最善(ハイルル・ウムーリ・アウサトハー)」というこの地域の先人の方々の叡智に注目しています。
「ハイルル・ウムーリ・アウサトハー」、伝統を大切にし、中庸を重んじる点で、日本と中東には、生き方の根本に脈々と通じるものがあります。
この叡智がなぜ今脚光を浴びるべきだと考えるのか。それは、現下の中東地域を取り巻く過激主義の伸張や秩序の動揺に対する危機感からであります。
2.日本は中東の伴走者
中東の安定は、世界にとって、もちろん日本にとって、言うまでもなく平和と繁栄の土台です。テロや大量破壊兵器を当地で広がるに任せたら、国際社会に与える損失は計り知れません。
先の大戦後、日本は、自由と民主主義、人権と法の支配を重んじる国をつくり、ひたすら平和国家としての道を歩み、今日にいたります。いまや新たに「国際協調にもとづく積極的平和主義」の旗を掲げる日本は、培った経験、智慧、能力を、世界の平和と安定のため、進んで捧げる覚悟です。
中東の安定を、私たちがどんな気持ちで大切に思い、そのため力を尽くしたいと念じているか、意欲をお汲み取りください。
2年前、私の政府はこの考えに立って、中東全体に向けた22億ドルの支援を約束し、これまでにすべて、実行に移しました。本日この場で皆様にご報告できることは、私にとって大きな喜びです。
「中庸が最善」の精神に裏打ちされた、活力に満ち、中東地域の人々が安心して暮らせる、安定した中東を取り戻すこと。日本の協力は、まさしくそのためにあります。エジプトの皆様、中東の人々に、知ってほしいと願わずにはいられません。
社会に安定を取り戻し、成長への道筋を確かにできたとき、エジプトを始め中東は、潜在力を爆発させるでしょう。そこへ向け努力する皆様にとり、日本は、常に変わらぬ伴走者でありたいと願います。
ここで私は再び、お約束します。日本政府は、中東全体を視野に入れ、人道支援、インフラ整備など非軍事の分野で、25億ドル相当の支援を、新たに実施いたします。
3.エジプトの努力に敬意
ご列席の皆様、私は今回出発に先立って、1枚の写真を目にしました。151年前、1864年4月4日、日本人が、ギザで初めて、スフィンクスを背景に撮った写真です
自分たちのものより何倍も長い歴史をもつエジプトに、日本人は一世紀半、いつも魅了されてきました。こつこつと誠実にいいものを作る姿勢、そのような仕事をすることを尊いと思い、達成した仕事に誇りを持つこと。働くことに対して高いモラルをお持ちのエジプトの皆様です。大エジプト博物館(GEM)の建設や、エジプト日本科学技術大学(E-Just)の事業で、皆さんと一緒に働けることは、私たちにとって大いなる喜びです。
日本の協力でできた小児病院を、皆さんが「日本病院」と今でも呼んでいること、首相閣下もよくご存知ですが、運河の橋が、日本の支援でできたと覚えてくださっていること。ひとつひとつ、私たちの誇りです。
友情は、日本とエジプトを、どこまでもつないできました。
そのエジプトが、いま安定に向け、懸命な努力を続けておられる。エジプトが、人々が安心して暮らせる平和で豊かな国になれば、中東は大きく繁栄する。この強い責任意識のもと、長い歴史と、伝統に根ざしつつ、「中庸が最善」の精神に立って、エジプトの人々に合った形でじっくりと民主化への努力を続けておられる。私はそういうお国の歩みを支持しています。
私は日本国民を代表し、皆様の努力に対し、心からなる拍手を送りたいと思います。
4.日本の約束
ご列席の皆様、私たちが築いてきた友情の物語に、新たなページを加えるときがきました。
エジプトが安定すれば、中東は大きく発展し、繁栄するでしょう。私は日本からご一緒いただいたビジネス・リーダーの皆様に、ぜひこの精神にたって、エジプトへの関わりを増やしていただきたいと願っています。
日本政府は、その下支えに力を惜しみません。
E-Justにとって便利で、有望な産業立地とも近いボルグ・エル・アラブ(Borg El-Arab)国際空港の拡張を、お手伝いします。電力網の整備とあわせ、3億6000万ドルの円借款を提供します。
カイロ地下鉄など交通インフラや、再生可能エネルギー、火力発電に、日本は最先端の、環境に優しい技術を提供します。エジプト発展の、一助となるため、ひいては、中東全体に安定の基礎を広げていくためです。
その目的のため、私が明日からしようとしていることをお聞き下さい。
まず私はアンマンで、激動する情勢の最前線に立つヨルダン政府に対し、変わらぬ支援を表明します。国王アブドゥッラー二世には、宗教間の融和に対するご努力に、心から敬意を表すつもりです。
パレスチナでは、保健医療、水道整備や西岸とガザの難民支援など、民生安定に役立つ施策を明らかにします。
イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。
イラクでは、全党派を含む、国民融和内閣による安定的な統治が絶対に必要です。日本は、そのための努力を支援し続けます。地域から暴力の芽を摘むには、たとえ時間がかかっても、民生を安定させ、中間層を育てる以外、早道はありません。「中庸が最善(ハイルル・ウムーリ・アウサトハー)」。日本はそこに、果たすべき大いなる役割があると考えています。
5.日本と中東和平
ご列席の皆様、私は、中東和平プロセスの現状、というよりその難しさに、皆様と同様、心をいためるものです。
中東和平を進めるには、周辺国を含めた対話、協働、信頼関係づくりが不可欠だと信じる日本は9年前、ヨルダン川西岸に「平和と繁栄の回廊」をつくる提案をしました。このプロジェクトが和平にとって何より大切な資産――地域における全ての関係者の信頼を育ててくれること。それこそが、私たちの切なる願いです。その願いのために、日本は、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンと一緒になって取組を進めています。
中核をなす農産加工団地は、形を現しました。私はサイトを訪れて、この目で見るつもりです。遠くない将来、ジェリコ周辺の農産品はここで付加価値をつけ、回廊を通って、近隣諸国や湾岸の消費地に向かうでしょう。
「平和と繁栄の回廊」はやがて、一大観光ルートになる可能性を秘めています。パレスチナを、ツーリズムで賑わう場所にしようではありませんか。日本は、喜んでその触媒になります。
1997年以来足かけ18年、日本政府は、イスラエル、パレスチナ双方の青年を招き、日本で共に過ごしてもらう事業を続けてきました。
私のもとに来てくれたとき、私は青年たちに、7世紀の人、聖徳太子の言葉を贈りました。「和を以て貴しと為す」という言葉です。
彼らこそ、和平を担う若い力となってほしい。そんな願いを託しました。今回は訪問先で、「卒業生」の皆さんを集めて同窓会を開きます。
日本は近い将来、パレスチナを、国家として承認できる日が来ると信じています。その日が早くなるよう、いわゆる二国家解決を進めるため、イスラエル、パレスチナ双方に、交渉の再開を訴えます。
「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」という枠組みのことも、ご記憶ください。戦争の荒廃から復活した日本、わずか一世代で経済的飛躍を遂げた東南アジア諸国は、パレスチナの支援に活かせる経験と智慧において豊富です。持ち寄って実際に役立てようと、日本の肝煎りで始まったものでした。
中東和平にとって不可欠の、「信頼」が育つよう、息長く協力を続けてきたのが日本です。私たちに果たすべき役割がある限り、勇んで引き受ける覚悟だと申し添えます。
6.共生・共栄・協働・中庸
大いなる可能性を秘めた中東地域。しかし、この地域を取り巻く情勢は、近代史上、もっとも大きなチャレンジの一つに晒されていると言っても過言ではないように思えます。しかし、それだからこそ「中庸が最善(ハイルル・ウムーリ・アウサトハー)」と、私は最後に繰り返したいと思います。
過激主義でなく漸進主義をとり、何よりも民生の安定を目指し、歩んで行かれる努力に私は最大の敬意を表します。憎しみでなく、寛容、そして中庸をむねとして中東がその巨大な歩みを着実にするとき、世界は祝福に包まれます。
日本は、あらん限りの力と智慧をもって、中東に共生・共栄を、協働による和と寛容、そして中庸をもたらす一助となるよう、努め続けることをお約束します。
そのためにこそ、日本とエジプトが、新たな1ページをめくるべきだと申し上げました。日本とエジプトに、そして日本と中東に、タヒヤー・サダーカ(友情よ永遠なれ)。
シュクラン・ジャジーラン(有り難うございました)
――ISISが、安倍を誤解していると東京の大手メディアが洗脳。しかし、エジプト大統領との会談で、安倍は「国際秩序全体の脅威であるISISが弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べている。 http://s.nikkei.com/1yGdbqL〔21:03 - 2015年1月21日〕 ――
兵頭さんは、
こんなことも言ってます。
――今回の身の代金要求事件の責任は、安倍の軽率な発言にある。お坊ちゃん育ちの、「ええかっこしい」(みえっぱり、外面だけがいい)で、現地でも驚く「反テロ」(本音は反中東)をぶちまくり、それがISISの身の代金要求に繋がった。安倍が作った問題であり、安倍はふたりの命に責任がある。〔20:45 - 2015年1月21日 〕――
――安倍は「テロには屈しない」を金切り声で繰り返す。これはナルシズムにすぎない。ISISを刺激するだけで、ふたりのためにはならない。今、必要なのはISISとの交渉のための政治だ。ナルシズムは抑えて早く交渉の入り口にたつべきだ。今のやり方は欧米に向かって自己宣伝に努めているにすぎない。〔20:20 - 2015年1月21日 〕――
――安倍の「人命救助が第一」は、すでにふたりを見捨てる意思表示かもしれない。昨年11月に、ISISから後藤健二に対して身の代金10億円の要求があったが、安倍は、米国の指示で断っていた可能性が高い。「人命救助が第一」は、非難されないためのパフォーマンスだ。〔20:12 - 2015年1月21日 〕――
――もし安倍が日本人であれば、ふたりの日本人を助けねばならない。米国の方針は米国のものだ。日本の方が歴史は古く、東洋の哲学と智恵がある。「テロには屈しない」は、米国の1%の理屈だ。何でも隷属するな。日本の智恵で、ISISと話し合うべきだ。しかも身の代金要求の最大の責任は安倍にある。〔20:03 - 2015年1月21日 〕――
――ISISに身の代金を要求されたふたりは、安倍晋三の中東訪問中の不注意な発言で殺される可能性がある。安倍には最大の責任がある。安倍は日本のトップとして責任を果たさねばならない。それは交渉をまとめて、ふたりを救出することだ。それがナショナリズムであり、保守であり、日本人ということだ。〔19:56 - 2015年1月21日 〕――
非常に適切な指摘が並んでいる。
ちょっと上から目線な言い方になるけど、
安倍さんも
自分の責任で人を殺したくなかろう。
頑張れ。
軽蔑されて生き永らえるには、
人生、まだ先が長いぞ。
しかし、冒頭に示した
「国際秩序全体の脅威であるISISが弱体化し、壊滅につながることを期待する」
という発言は、
3か月前のもので
無効なような言い方をする者がいるらしい
(徳永みちお@tokunagamichioさんのツイート〔23:22 - 2015年1月21日 〕 )。
そんなに賞味期限が少ないのなら、
言えば言うほど
責任の持てない言葉だらけになってしまうではないか…
春夏秋冬、季節でも3か月で1回転だ。
春の終わりに
春の話でもすれば
「大昔のことを言うな」
と怒鳴りつけるつもりでもいるのか――。
百歩、譲って
3か月前の発言を持ち出すなというなら、
次の
人質殺害警告ビデオの
公表前と後で
明らかに表現が違っている。
典拠:徳永みちお@tokunagamichio さんのツイート〔14:51 - 2015年1月22日 〕
公表前の言葉をもって
後の表現の不実を指摘することは、
充分に可能だ。
〔資料-1〕
「首相「空爆でイスラム国壊滅を」 エジプト大統領と会談 」
日経新聞(2014/9/24 10:19 )
☆ 記事URL:http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE24H0A_U4A920C1EAF000/
【ニューヨーク=永沢毅】安倍晋三首相は23日午後(日本時間24日朝)、エジプトのシシ大統領と会談し、米軍による過激派「イスラム国」掃討を目的としたシリア領内での空爆について「国際秩序全体の脅威であるイスラム国が弱体化し、壊滅につながることを期待する」と述べた。大統領は「国際的な努力は支持したい」と応じた。
〔資料-2〕
「安倍総理大臣の中東政策スピーチ
(中庸が最善:活力に満ち安定した中東へ 新たなページめくる日本とエジプト)」
外務省ホームページ(2015年1月17日)
於・日エジプト経済合同委員会
☆ 記事URL:http://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me1/eg/page24_000392.html
1.中庸が最善
イブラヒーム・マハラブ首相閣下、
日エジプト経済合同委員会の皆様、
ご列席の皆様、
アッサラーム・アレイクム・ジャミーアン (皆さん、こんにちは)
今回このように、悠久の歴史と文明を誇るエジプトを訪問することが出来たことを心から嬉しく思います。今回で、この2年のうち、5回目の中東訪問になりますが、これは日本がいかにこの地域を大切に思い、尊敬の念を抱いてきたかを示すものです。
私は一昨年、ジッダにおいて日本の新たな中東政策を発表したとき、「タアーイシュ(共生と共栄)」、「タアーウヌ(協働)」に加え、「タサームフ」、すなわち和と寛容を、主導理念にしていきたいと言いました。私はこれまで、この理念に沿った中東政策を実施してきました。
今回私は、「中庸が最善(ハイルル・ウムーリ・アウサトハー)」というこの地域の先人の方々の叡智に注目しています。
「ハイルル・ウムーリ・アウサトハー」、伝統を大切にし、中庸を重んじる点で、日本と中東には、生き方の根本に脈々と通じるものがあります。
この叡智がなぜ今脚光を浴びるべきだと考えるのか。それは、現下の中東地域を取り巻く過激主義の伸張や秩序の動揺に対する危機感からであります。
2.日本は中東の伴走者
中東の安定は、世界にとって、もちろん日本にとって、言うまでもなく平和と繁栄の土台です。テロや大量破壊兵器を当地で広がるに任せたら、国際社会に与える損失は計り知れません。
先の大戦後、日本は、自由と民主主義、人権と法の支配を重んじる国をつくり、ひたすら平和国家としての道を歩み、今日にいたります。いまや新たに「国際協調にもとづく積極的平和主義」の旗を掲げる日本は、培った経験、智慧、能力を、世界の平和と安定のため、進んで捧げる覚悟です。
中東の安定を、私たちがどんな気持ちで大切に思い、そのため力を尽くしたいと念じているか、意欲をお汲み取りください。
2年前、私の政府はこの考えに立って、中東全体に向けた22億ドルの支援を約束し、これまでにすべて、実行に移しました。本日この場で皆様にご報告できることは、私にとって大きな喜びです。
「中庸が最善」の精神に裏打ちされた、活力に満ち、中東地域の人々が安心して暮らせる、安定した中東を取り戻すこと。日本の協力は、まさしくそのためにあります。エジプトの皆様、中東の人々に、知ってほしいと願わずにはいられません。
社会に安定を取り戻し、成長への道筋を確かにできたとき、エジプトを始め中東は、潜在力を爆発させるでしょう。そこへ向け努力する皆様にとり、日本は、常に変わらぬ伴走者でありたいと願います。
ここで私は再び、お約束します。日本政府は、中東全体を視野に入れ、人道支援、インフラ整備など非軍事の分野で、25億ドル相当の支援を、新たに実施いたします。
3.エジプトの努力に敬意
ご列席の皆様、私は今回出発に先立って、1枚の写真を目にしました。151年前、1864年4月4日、日本人が、ギザで初めて、スフィンクスを背景に撮った写真です
自分たちのものより何倍も長い歴史をもつエジプトに、日本人は一世紀半、いつも魅了されてきました。こつこつと誠実にいいものを作る姿勢、そのような仕事をすることを尊いと思い、達成した仕事に誇りを持つこと。働くことに対して高いモラルをお持ちのエジプトの皆様です。大エジプト博物館(GEM)の建設や、エジプト日本科学技術大学(E-Just)の事業で、皆さんと一緒に働けることは、私たちにとって大いなる喜びです。
日本の協力でできた小児病院を、皆さんが「日本病院」と今でも呼んでいること、首相閣下もよくご存知ですが、運河の橋が、日本の支援でできたと覚えてくださっていること。ひとつひとつ、私たちの誇りです。
友情は、日本とエジプトを、どこまでもつないできました。
そのエジプトが、いま安定に向け、懸命な努力を続けておられる。エジプトが、人々が安心して暮らせる平和で豊かな国になれば、中東は大きく繁栄する。この強い責任意識のもと、長い歴史と、伝統に根ざしつつ、「中庸が最善」の精神に立って、エジプトの人々に合った形でじっくりと民主化への努力を続けておられる。私はそういうお国の歩みを支持しています。
私は日本国民を代表し、皆様の努力に対し、心からなる拍手を送りたいと思います。
4.日本の約束
ご列席の皆様、私たちが築いてきた友情の物語に、新たなページを加えるときがきました。
エジプトが安定すれば、中東は大きく発展し、繁栄するでしょう。私は日本からご一緒いただいたビジネス・リーダーの皆様に、ぜひこの精神にたって、エジプトへの関わりを増やしていただきたいと願っています。
日本政府は、その下支えに力を惜しみません。
E-Justにとって便利で、有望な産業立地とも近いボルグ・エル・アラブ(Borg El-Arab)国際空港の拡張を、お手伝いします。電力網の整備とあわせ、3億6000万ドルの円借款を提供します。
カイロ地下鉄など交通インフラや、再生可能エネルギー、火力発電に、日本は最先端の、環境に優しい技術を提供します。エジプト発展の、一助となるため、ひいては、中東全体に安定の基礎を広げていくためです。
その目的のため、私が明日からしようとしていることをお聞き下さい。
まず私はアンマンで、激動する情勢の最前線に立つヨルダン政府に対し、変わらぬ支援を表明します。国王アブドゥッラー二世には、宗教間の融和に対するご努力に、心から敬意を表すつもりです。
パレスチナでは、保健医療、水道整備や西岸とガザの難民支援など、民生安定に役立つ施策を明らかにします。
イラク、シリアの難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのは、ISILがもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発、インフラ整備を含め、ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します。
イラクでは、全党派を含む、国民融和内閣による安定的な統治が絶対に必要です。日本は、そのための努力を支援し続けます。地域から暴力の芽を摘むには、たとえ時間がかかっても、民生を安定させ、中間層を育てる以外、早道はありません。「中庸が最善(ハイルル・ウムーリ・アウサトハー)」。日本はそこに、果たすべき大いなる役割があると考えています。
5.日本と中東和平
ご列席の皆様、私は、中東和平プロセスの現状、というよりその難しさに、皆様と同様、心をいためるものです。
中東和平を進めるには、周辺国を含めた対話、協働、信頼関係づくりが不可欠だと信じる日本は9年前、ヨルダン川西岸に「平和と繁栄の回廊」をつくる提案をしました。このプロジェクトが和平にとって何より大切な資産――地域における全ての関係者の信頼を育ててくれること。それこそが、私たちの切なる願いです。その願いのために、日本は、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンと一緒になって取組を進めています。
中核をなす農産加工団地は、形を現しました。私はサイトを訪れて、この目で見るつもりです。遠くない将来、ジェリコ周辺の農産品はここで付加価値をつけ、回廊を通って、近隣諸国や湾岸の消費地に向かうでしょう。
「平和と繁栄の回廊」はやがて、一大観光ルートになる可能性を秘めています。パレスチナを、ツーリズムで賑わう場所にしようではありませんか。日本は、喜んでその触媒になります。
1997年以来足かけ18年、日本政府は、イスラエル、パレスチナ双方の青年を招き、日本で共に過ごしてもらう事業を続けてきました。
私のもとに来てくれたとき、私は青年たちに、7世紀の人、聖徳太子の言葉を贈りました。「和を以て貴しと為す」という言葉です。
彼らこそ、和平を担う若い力となってほしい。そんな願いを託しました。今回は訪問先で、「卒業生」の皆さんを集めて同窓会を開きます。
日本は近い将来、パレスチナを、国家として承認できる日が来ると信じています。その日が早くなるよう、いわゆる二国家解決を進めるため、イスラエル、パレスチナ双方に、交渉の再開を訴えます。
「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」という枠組みのことも、ご記憶ください。戦争の荒廃から復活した日本、わずか一世代で経済的飛躍を遂げた東南アジア諸国は、パレスチナの支援に活かせる経験と智慧において豊富です。持ち寄って実際に役立てようと、日本の肝煎りで始まったものでした。
中東和平にとって不可欠の、「信頼」が育つよう、息長く協力を続けてきたのが日本です。私たちに果たすべき役割がある限り、勇んで引き受ける覚悟だと申し添えます。
6.共生・共栄・協働・中庸
大いなる可能性を秘めた中東地域。しかし、この地域を取り巻く情勢は、近代史上、もっとも大きなチャレンジの一つに晒されていると言っても過言ではないように思えます。しかし、それだからこそ「中庸が最善(ハイルル・ウムーリ・アウサトハー)」と、私は最後に繰り返したいと思います。
過激主義でなく漸進主義をとり、何よりも民生の安定を目指し、歩んで行かれる努力に私は最大の敬意を表します。憎しみでなく、寛容、そして中庸をむねとして中東がその巨大な歩みを着実にするとき、世界は祝福に包まれます。
日本は、あらん限りの力と智慧をもって、中東に共生・共栄を、協働による和と寛容、そして中庸をもたらす一助となるよう、努め続けることをお約束します。
そのためにこそ、日本とエジプトが、新たな1ページをめくるべきだと申し上げました。日本とエジプトに、そして日本と中東に、タヒヤー・サダーカ(友情よ永遠なれ)。
シュクラン・ジャジーラン(有り難うございました)
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