大恐慌の1927年から35年まで、夢野久作(作家)がたくさんな短歌を作っています。「猟奇歌」という名でまとめられております。内容がとても陰気臭く、不気味です。若い人の用語で言うと、キモイわけですな。しかし、逆に今の時代に合っている面があります。笑えなくもないです。一部を紹介します。人間の心の闇の部分は見たくないという方は、スル―して下さいね。
――
幽霊のやうに
まじめに永久に
人を咀ふ事が出来たらばと思ふ
誰か一人
殺してみたいと思ふ時
君一人かい…………
………と友達が来る
五十銭貰つて
一つお辞儀する
盗めば
お辞儀せずともいゝのに
腸詰に長い髪毛が交つてゐた
ジツト考へて
喰つてしまつた
今日からは別人だぞと反り返る
それが昨日の俺だつた
馬鹿……………
お月様は死んでゐるの
と児が問へば
イーエと母が答へけるかな
山の奥で仇讐同志がめぐり合つた
誰も居ないので
仲直りした
――
幽霊のやうに
まじめに永久に
人を咀ふ事が出来たらばと思ふ
誰か一人
殺してみたいと思ふ時
君一人かい…………
………と友達が来る
五十銭貰つて
一つお辞儀する
盗めば
お辞儀せずともいゝのに
腸詰に長い髪毛が交つてゐた
ジツト考へて
喰つてしまつた
今日からは別人だぞと反り返る
それが昨日の俺だつた
馬鹿……………
お月様は死んでゐるの
と児が問へば
イーエと母が答へけるかな
山の奥で仇讐同志がめぐり合つた
誰も居ないので
仲直りした
「歩行者天国を
いちど、いちど~
トラック走らせて♪
『チッ』って
言ってみたいのよ」
ファンの皆さんがドン引きすること請け合いです。それだけならいいですが、警察に通報されるかもですね。
…と言ってしまうと、印象悪くなっちゃうかしら。
ただ、夢野さんの作品は、読んでいて、設定がリアルすぎると思いません?
一時、流行りましたよね、予知能力。それを感じさせるのです。例えば、上から二つ目の短歌!
友達宅を訪問した人が好奇心だけで殺されてしまう事件が起こったら、予言的中という話になります。
そうなったら、ブラックユーモアの域を超えているでしょう。そう感じさせるところに夢野久作という人の天才があるのですが。。。不気味ですよ、やっぱり。