21日の夕刊(毎日新聞)に「女性再婚制限撤廃を」と題した記事に、国連女性差別撤廃委員会より20日、日本の女性差別の現状に関する最終見解が出されたとありました。勧告された内容は、次の通りです。
(1)民法733条の撤廃
(2)性別による結婚可能年齢差の解消
(3)男女の役割や責任を巡る旧態依然とした考えをなくすため教育の徹底
(4)家庭内暴力を含む女性への暴力を解消するため具体的措置の促進
(5)女性へのレイプや暴力を含むビデオ、ゲーム機の禁止
(6)従軍慰安婦問題の解決のための努力
(7)政治への女性の参加促進
などです。それで思い出したのは、昨年の3月5日、民法改正集会で話題になった民主党の民法改正案。参議院で審議されながら、廃案になってます。自民党の党としての結束の要(かなめ)が日米安保条約にあるなら、民主党の場合のそれは、家族制度の家父長制的なあり方の見直しだな、と思っていました。
民主党の結党間もない1997年、同党が掲げた民法改正案の骨子は、①選択的夫婦別氏制度導入、②婚外子相続差別撤廃、③再婚禁止期間の短縮、④女性の婚姻適齢の引き上げ(男女同一年齢)等でした。しかし、参議院で多数を占めながら、委員会に付託もされず、廃案にせざるを得なかった同党の限界を見定めておく必要があります。“政権党になれるかも”という、おいしそうなニンジンを見て、口がきけなくなっているのかもしれません。マニフェストにおいても民法改正に触れられてません。政権与党の自民党には既に死臭さえ漂っているというのに、です。
ちなみに、イギリスにおいて、サッチャー政権という保守王国が崩れ、労働党という革新勢力に政権が渡ったのは、「日本のようになってはお仕舞い」という殺し文句があったからだそうです。新聞に確かそのような記事がありました。さもありなん、と思いませんか。権力を握り続ければ、党と言わず、人と言わず、腐敗していくものです。だから未然に権力の濫用を防止するためには、好調な時に幕引きをしてしまうのが一番ということです
思うに、民法改正は、国家観、家族観に直結しています。自民党の日米安保条約に匹敵する重いテーマです。なぜ、この論点を党の看板にしないのか、ちょっと不思議な気さえします。保守派の神経を逆なでするようなものを表看板にしてしまったら、政権奪取できないからということでしょうか。保守派のご機嫌を損なうことがそこまで怖いのならば、政権は取らなくてよいのです。
マニフェストに相当する英単語には、manifestoとmanifestの二つがあります。語尾に「o」が付くか付かないかの差です。しかし、意味は大いに異なります。前者の語を使った有名なものに、マルクスが著した「共産党宣言」があります。後者は、単に積荷目録を指す語です。最近、マニフェスト流行りです。しかし、何らビジョンに賭ける覚悟を含まないなら、今まであった「政権公約」という語で充分です。まさか積荷目録の意味で、マニフェストという言葉を使いたいわけではないでしょ? それとも、使いたくないわけでもない、ですか。
ところで、2007年6月14日付でアメリカの「ワシントン・ポスト」誌に「The Fact」と題して、国会議員44人と教授、評論家らによって日本軍による「従軍慰安婦」の強制は、それを示す歴史文書がなく、事実無根の断罪だと訴える全面意見広告が出されました。敗戦当時、軍の指令で公文書の類はすべて破棄されています。徴兵のための「赤紙」さえ処分されているのです。そんな国で歴史文書がないのは確かでしょう。したがって、歴史的な事実として「従軍慰安婦」があったのか、なかったのかは、文書以外のもので根拠づけるしかありません。文書を破棄したのは、軍部です。しかし、その破棄の責務は、国家が存続している以上、為政者である現政府が引き継いで行かざるを得ないはずです。文書がないから「従軍慰安婦」なるものは存在しなかったとする主張は、自白調書がないので無罪だ、と言い立てる犯罪者のようです。自白偏重の警察国家特有の抗弁だとの印象さえ受けます。現に「従軍慰安婦に強制的にされました」という女性の証言が多数、否定し切れない事実として存在します。その事実を前にして、ただただ言い逃れする態度は、かえって人としての誇りを害すると言うべきです。
もちろん、そうは思わない人もいることでしょう。そういう方は、どうでも勝手にしてくれ、という感じです。ただ、この意見広告にどれだけの民主党議員が関わっているかだけは指摘しておきます。次の政権党と思うだけに無関心ではいられません。何と44名中13名もいるのです。
石関貴史
泉健太
河村たかし
北神圭朗
神風英男
田村謙治
牧義夫
松木謙公
松原仁
吉田泉
笠浩史
鷲尾英一郎
松下新平
(敬称略)
という面々です。週刊「金曜日」に民法改正について賛否を問うアンケート調査の結果が掲載されています。上に名を連ねた面々の内、吉田泉氏以外の衆議院議員は、賛成の旨の回答を避けています。つまり、「従軍慰安婦」問題など、歴史上存在しないと言い切りたがる積極的な人に限って、民法改正については寡黙(かもく)になるというわけです。関係なさそうに見えて、「従軍慰安婦」と民法改正という二つの問題を論ずる立場が見事に連動しています。これは、民法改正に踏み込むか否かは、価値判断のみにかかり、何ら事実認識が問題にならないのと同じく、「従軍慰安婦」に関する意見広告についても、意見に事実レベルでの土台が用意されているわけではない、ということを示しているのでしょう。
参考までに、民主党のHPを紹介します。
http://www.dpj.or.jp/index.html
気になる候補者がどういう立場なのかは、候補者一覧をたどれば本人のHP内に選挙事務所の連絡先が掲載されてますので、質問されたらよろしかろうと思います。
(1)民法733条の撤廃
(2)性別による結婚可能年齢差の解消
(3)男女の役割や責任を巡る旧態依然とした考えをなくすため教育の徹底
(4)家庭内暴力を含む女性への暴力を解消するため具体的措置の促進
(5)女性へのレイプや暴力を含むビデオ、ゲーム機の禁止
(6)従軍慰安婦問題の解決のための努力
(7)政治への女性の参加促進
などです。それで思い出したのは、昨年の3月5日、民法改正集会で話題になった民主党の民法改正案。参議院で審議されながら、廃案になってます。自民党の党としての結束の要(かなめ)が日米安保条約にあるなら、民主党の場合のそれは、家族制度の家父長制的なあり方の見直しだな、と思っていました。
民主党の結党間もない1997年、同党が掲げた民法改正案の骨子は、①選択的夫婦別氏制度導入、②婚外子相続差別撤廃、③再婚禁止期間の短縮、④女性の婚姻適齢の引き上げ(男女同一年齢)等でした。しかし、参議院で多数を占めながら、委員会に付託もされず、廃案にせざるを得なかった同党の限界を見定めておく必要があります。“政権党になれるかも”という、おいしそうなニンジンを見て、口がきけなくなっているのかもしれません。マニフェストにおいても民法改正に触れられてません。政権与党の自民党には既に死臭さえ漂っているというのに、です。
ちなみに、イギリスにおいて、サッチャー政権という保守王国が崩れ、労働党という革新勢力に政権が渡ったのは、「日本のようになってはお仕舞い」という殺し文句があったからだそうです。新聞に確かそのような記事がありました。さもありなん、と思いませんか。権力を握り続ければ、党と言わず、人と言わず、腐敗していくものです。だから未然に権力の濫用を防止するためには、好調な時に幕引きをしてしまうのが一番ということです
思うに、民法改正は、国家観、家族観に直結しています。自民党の日米安保条約に匹敵する重いテーマです。なぜ、この論点を党の看板にしないのか、ちょっと不思議な気さえします。保守派の神経を逆なでするようなものを表看板にしてしまったら、政権奪取できないからということでしょうか。保守派のご機嫌を損なうことがそこまで怖いのならば、政権は取らなくてよいのです。
マニフェストに相当する英単語には、manifestoとmanifestの二つがあります。語尾に「o」が付くか付かないかの差です。しかし、意味は大いに異なります。前者の語を使った有名なものに、マルクスが著した「共産党宣言」があります。後者は、単に積荷目録を指す語です。最近、マニフェスト流行りです。しかし、何らビジョンに賭ける覚悟を含まないなら、今まであった「政権公約」という語で充分です。まさか積荷目録の意味で、マニフェストという言葉を使いたいわけではないでしょ? それとも、使いたくないわけでもない、ですか。
ところで、2007年6月14日付でアメリカの「ワシントン・ポスト」誌に「The Fact」と題して、国会議員44人と教授、評論家らによって日本軍による「従軍慰安婦」の強制は、それを示す歴史文書がなく、事実無根の断罪だと訴える全面意見広告が出されました。敗戦当時、軍の指令で公文書の類はすべて破棄されています。徴兵のための「赤紙」さえ処分されているのです。そんな国で歴史文書がないのは確かでしょう。したがって、歴史的な事実として「従軍慰安婦」があったのか、なかったのかは、文書以外のもので根拠づけるしかありません。文書を破棄したのは、軍部です。しかし、その破棄の責務は、国家が存続している以上、為政者である現政府が引き継いで行かざるを得ないはずです。文書がないから「従軍慰安婦」なるものは存在しなかったとする主張は、自白調書がないので無罪だ、と言い立てる犯罪者のようです。自白偏重の警察国家特有の抗弁だとの印象さえ受けます。現に「従軍慰安婦に強制的にされました」という女性の証言が多数、否定し切れない事実として存在します。その事実を前にして、ただただ言い逃れする態度は、かえって人としての誇りを害すると言うべきです。
もちろん、そうは思わない人もいることでしょう。そういう方は、どうでも勝手にしてくれ、という感じです。ただ、この意見広告にどれだけの民主党議員が関わっているかだけは指摘しておきます。次の政権党と思うだけに無関心ではいられません。何と44名中13名もいるのです。
石関貴史
泉健太
河村たかし
北神圭朗
神風英男
田村謙治
牧義夫
松木謙公
松原仁
吉田泉
笠浩史
鷲尾英一郎
松下新平
(敬称略)
という面々です。週刊「金曜日」に民法改正について賛否を問うアンケート調査の結果が掲載されています。上に名を連ねた面々の内、吉田泉氏以外の衆議院議員は、賛成の旨の回答を避けています。つまり、「従軍慰安婦」問題など、歴史上存在しないと言い切りたがる積極的な人に限って、民法改正については寡黙(かもく)になるというわけです。関係なさそうに見えて、「従軍慰安婦」と民法改正という二つの問題を論ずる立場が見事に連動しています。これは、民法改正に踏み込むか否かは、価値判断のみにかかり、何ら事実認識が問題にならないのと同じく、「従軍慰安婦」に関する意見広告についても、意見に事実レベルでの土台が用意されているわけではない、ということを示しているのでしょう。
参考までに、民主党のHPを紹介します。
http://www.dpj.or.jp/index.html
気になる候補者がどういう立場なのかは、候補者一覧をたどれば本人のHP内に選挙事務所の連絡先が掲載されてますので、質問されたらよろしかろうと思います。
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