〔資料〕
「まったく報じられない「排気筒問題」と2号機「大惨事」の危険性」
ダイヤモンド社 書籍オンライン( 2015年12月12日 ):おしどりマコちゃん×広瀬隆対談【パート4】
☆ 記事URL:http://diamond.jp/articles/-/82519
排気筒が倒壊すると、
どんな惨事になる?
広瀬 原発事故のあと、福島現地の問題を一番くわしく、しかも継続的に取材しているのはおしどりマコちゃんだと思います。そこで福島第一原発の事故現場の現状について聞きたいのですが、いま私が気になっているのは排気筒が壊れないかどうかです。その危険性を読者に説明してください。
マコ 「排気筒」とは、原子炉の圧力が高くなったときなどに、気体をフィルターを通してベントするための煙突です。
つまり、原発で、原子炉圧力容器や格納容器の圧力が異常に上昇した場合に、破壊しないよう、内部の気体を排出して、圧力を降下させる装置です。炉内の換気のときにも使います。
1号機と2号機の共用の排気筒の高さは120メートル(左下写真)ですが、高さ約66メートル付近の接合部で、破断が5ヵ所、変形が3ヵ所も見つかっています。
東電は「切れ目があっても、震度6強の地震までは倒れない」と言っていますが、東電に「その耐震評価を計算したのは施工当時の数字をそのまま使ってですよね」と確認したら、なんと「そうです」と言っていました! 30年の経年劣化はまったく考えられていません。しかも東日本大震災の大地震の揺れを受けたあとなのに、ですよ。
広瀬 東海村にある日本原子力研究所・東海研究所の原子炉JRR-2は、東日本大震災が起こったときに解体中でしたが、2011年3月23日の余震で40メートルある原子炉排気筒の先端15メートルがポッキリと折れましたよ。これが、そのときの写真(右下)です。
ところが、福島第一原発では、それを修理しようにも、排気筒の下は線量が高い。毎時25シーベルトもの地点があります。7シーベルト浴びると人は死ぬと言われていますから、短時間近づくこともできません。
マコ そう、それが2013年12月に毎時25シーベルトだった地点が、今年10月の測定で毎時2シーベルトになった、と発表されました。だから補修計画を立てられるかもしれないというのですが、放射能がこんな短期間に、こんなに減衰するわけがありません! 東京電力は「測り方の違いのせい」と言いますが、何か高線量のものがどこかにいった可能性もあるし。「測り方が違うから」だけで説明しようとするなんて、とても荒い対応だと思います!
広瀬 ない。ありえない。なぜそういうウソをつくのだろう。だから東電は信用できないんだ。
マコ 1号機と排気筒をつなぐSGTS(Stand-by Gas Treatment System:非常用ガス処理系)配管に、毎時25シーベルトと毎時15シーベルトの部分があると、2013年12月に発表されたのです。
広瀬 もしそこが壊れたら、敷地全体に誰も入れなくなって、復旧作業ができなくなる。大変なことになります。
マコ 排気筒の亀裂は2013年9月にわかって、原子力規制庁は「倒壊した場合、環境にどのような影響を与えるか示せ」と東電に指示していますが、現時点でも回答されていません。ですが、東京電力社員は「この排気筒は東京電力としてもラスボスの一つと考えています」と言っていました。わざと環境影響評価を出していないとしか考えられません。
広瀬 原子力規制庁の官僚たちも、東電とグルになって放置しているわけだ。
もし、排気筒が倒壊すれば、排気筒の下部に蓄積された放射性物質がどっと舞い上がります。原発作業者は作業を投げ出して逃げるしかない。
マコ 原発作業員の人たちが一番こわがっているのは、倒壊して2号機の建屋が破損することです。じつは、2号機は爆発していないので、建屋内に大量の放射性物質のダストが溜まっています。2号機の建屋が少しでも破損すると、近隣に大量の放射性物質のプルームが流れます。
メルトダウンが最も進んだのは
2号機だった!
広瀬 2号機の内部の実態については、誰にもわかっていないし。
マコ ですから、いま、2号機に近づくために周辺を片づけ始めています。
実態は全然わかっていないのですが、2号機は一番大規模なメルトダウンが進んだと考えられています。
広瀬 そこを読者にわかりやすく解説してください。
マコ 2号機は爆発こそしていませんが、環境中に最も大量の放射性物質を出したと見られています。去年8月、「未確認・未解明事項の調査・検討結果のご報告~第2回進捗報告~」から「事故時に観測された中性子と燃料溶融との関連について」という資料が出てきました。 その解析によると、まず地震と津波で冷却装置が失われ、1、2、3号機ともに水位が低下して、水から顔を出した燃料棒が過熱状態になりました。それで慌てて消防車で水を入れようとしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/96/bec4ed11e87ac24fe0aa91d6c32c3fc3.jpg)
でも、燃料棒が過熱状態になっていたので、水を入れ続けると、水蒸気が発生して内部の圧力が高くなってしまい、消防車のポンプ能力では注水できなくなりました。そこで、水がすべて蒸発し、内部の圧力が下がって、消防車のポンプで水が入れられるようになるまで待ちました。図の(5)から(1)に戻り、また同じことを繰り返します。爆発があった1号機と3号機では、これを1回行いました。なぜなら、爆発したので、水蒸気の圧力が逃げるルートができたからではと言われています。ところが一方、2号機は、これを3回繰り返しました。
この経過の何が問題かというと、過熱した燃料棒に水をかけたので、燃料棒を包んでいる被覆管のジルコニウムが反応し、「水―ジルコニウム反応」が起こりました。そのときに大量のエネルギーが放出され、燃料の温度が急激に上昇し、燃料が熔融して、2号機で大規模なメルトダウンが進行したと考えられています。
広瀬 ということは、排気筒が倒壊して、2号機を少しでも傷つけたら大変な事態になります。
「中性子が出てきたタイミング」と
「2号機メルトダウンのタイミング」が同じ!?
マコ それから2011年3月14~15日の福島第一原発正門の中性子線のデータがあります。 これを見ると、「中性子が出てきたタイミング」と「2号機のメルトダウンの進行したタイミング」が同じなのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/1b/3d87b65e000dbec875505974d86a546b.jpg)
広瀬 そう、最初は2号機が最大の危機だったはずです。この数字は、東電が測ったデータ?
マコ はい、福島第一原発正門で測定していたのです。正門にしか中性子線のモニターがなかったのです。原子炉建屋内にも中性子線の測定器があったのですが、燃料棒が溶け落ちたときに全部ダメになったからです。
広瀬 その中性子線のモニタリングポストは、いまからでも、設置すればいいのに、なぜ設置しないんだろう。私は「再臨界をあれこれ憶測する前に、中性子線を測れ!」と叫んでいたんです。
マコ 研究者に、原発作業員の人で5円玉を持っている人を探してほしいと頼まれたことがあります。5円玉は銅と亜鉛でできているので、それで中性子線の痕跡がわかるそうです。
結局、シビアアクシデント(重大事故)のとき、バッテリーを近くのホームセンターに買い出しに行ったりするために現金が必要で、お財布を提出していたために、5円玉が1個も残っていなかったのです。
広瀬 同位体を調べてわかるのかな。知らなかった。
マコ わかると聞きました。それから中性子線も測れるAPD(=ポケット線量計)とかガラスバッジをつけた作業員はいなかったのかと、日立や東芝の人たちにも聞きましたが、見つかっていません。
それから、防衛省の自衛隊員が上空から1、2、3号機の原子炉の温度を測ったりしていました。
そのときのメンバーがどれくらい被曝したかというデータがこれです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/7f/49e295a663e699303f1dd50f475fb513.jpg)
広瀬 上空のかなり高いところでも、中性子線が出ていることになっていますね。
マコ 中性子線が青ですが、人によってかなり数値が大きい。
東大の専門家に見てもらいましたが、よくわからないということでした。「3000フィート(900メートル)程度で宇宙線由来の中性子被曝はまず考えられない。なので出所は直下か。だとすれば、地上のモニタが反応しそうなものだが…」とのことでした。この資料では、日時の表記がないため、原発との比較ができません。なので、ガラスバッジのエラーか、実際の測定値か、評価できないのです。
広瀬 中性子線は、電気的に中性だから、途中にある物質の抵抗を受けないので、1キロメートルぐらい簡単に飛びますよ。1999年に起こった東海村の臨界事故では、2キロメートル先まで中性子線が到達していたんですよ。
2011年5月11日に、福島大学が上空の放射線量の調査結果を公表しています。大学上空0.9~2.6キロメートルで高い放射線量が観測され、2011年5月時点でも原発から大量の放射性物質の漏洩が続いていることが確認されていますが、そのデータはベータ線と、ガンマ線でした。ガンマ線は2万メートル以上の高空でも測定されています。
余計なことを言ってすみません。話を戻しますと、先ほどのグラフでは、上空のかなり高いところでも、中性子線が出ていると判断して、「中性子が出てきたタイミング」と「2号機のメルトダウンの進行したタイミング」が同じと見ると、2号機の危険性はかなり大きいから、排気筒の倒壊がますます心配ですね。
なぜ、子どもに
放射能の掃除をさせるのか
広瀬 話は変わりますが、今年の10月10日に国道6号線を子どもたちに掃除させたでしょう。子どもたちを危険な被曝地帯に連れてゆくなんて、トンデモナイことですね。
マコ そうです。清掃活動は、特定非営利活動法人ハッピーロードネット(福島県広野町)などが企画して、福島第一原発がある双葉、大熊の両町を除く8市町の国道6号線、計約50キロで、中高生約200人を含む約1400人が参加しました。
一番線量の高い福島第一原発の近くは、大人がやるということでしたが、そもそも国道6号線は開通できないくらい線量が高かったところです。
広瀬 国道6号線が現在でもハッピーロードとは、よく言うね。空間線量より怖いのは、自動車が運んでいる放射性物質が飛びかっていることですよ。そんなところを、なぜ子どもたちに掃除させるのか。まったくもって許しがたい。
マコ 企画したNPO法人に様々な要望がよせられたそうです。それについて共同通信や産経新聞などは『「殺人行為」「狂気の沙汰」など誹謗中傷の電話やFAX、メールが多数寄せられ、子どもの被ばくを心配する人たちの過剰な反応』という記事を出しています。
しかし「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト」などが6号線の線量の測定をし、近隣にホットスポットがあったり、土埃が舞い上がっている状況を確認し、神戸国際キリスト教会など70団体で、この6号線のボランティアを募っての清掃を撤回してほしいと要望書を出していました。それらも「誹謗中傷などの過剰な反応」にするのはおかしいと思います。
広瀬 過剰な反応だって? おかしいのは掃除をさせるほうだろう。
なぜ、粉塵などに付着した放射性物質のある道路を子どもたちに掃除させるのか!
おしどりマコちゃん・ケンちゃん、これからも、福島県内のことを取材して、現状を私たちに教えてください。なにしろ、新聞にニュースが出ないので、みんな忘れさせられているのですから。お願いします。
「まったく報じられない「排気筒問題」と2号機「大惨事」の危険性」
ダイヤモンド社 書籍オンライン( 2015年12月12日 ):おしどりマコちゃん×広瀬隆対談【パート4】
☆ 記事URL:http://diamond.jp/articles/-/82519
排気筒が倒壊すると、
どんな惨事になる?
広瀬 原発事故のあと、福島現地の問題を一番くわしく、しかも継続的に取材しているのはおしどりマコちゃんだと思います。そこで福島第一原発の事故現場の現状について聞きたいのですが、いま私が気になっているのは排気筒が壊れないかどうかです。その危険性を読者に説明してください。
マコ 「排気筒」とは、原子炉の圧力が高くなったときなどに、気体をフィルターを通してベントするための煙突です。
つまり、原発で、原子炉圧力容器や格納容器の圧力が異常に上昇した場合に、破壊しないよう、内部の気体を排出して、圧力を降下させる装置です。炉内の換気のときにも使います。
1号機と2号機の共用の排気筒の高さは120メートル(左下写真)ですが、高さ約66メートル付近の接合部で、破断が5ヵ所、変形が3ヵ所も見つかっています。
東電は「切れ目があっても、震度6強の地震までは倒れない」と言っていますが、東電に「その耐震評価を計算したのは施工当時の数字をそのまま使ってですよね」と確認したら、なんと「そうです」と言っていました! 30年の経年劣化はまったく考えられていません。しかも東日本大震災の大地震の揺れを受けたあとなのに、ですよ。
広瀬 東海村にある日本原子力研究所・東海研究所の原子炉JRR-2は、東日本大震災が起こったときに解体中でしたが、2011年3月23日の余震で40メートルある原子炉排気筒の先端15メートルがポッキリと折れましたよ。これが、そのときの写真(右下)です。
ところが、福島第一原発では、それを修理しようにも、排気筒の下は線量が高い。毎時25シーベルトもの地点があります。7シーベルト浴びると人は死ぬと言われていますから、短時間近づくこともできません。
マコ そう、それが2013年12月に毎時25シーベルトだった地点が、今年10月の測定で毎時2シーベルトになった、と発表されました。だから補修計画を立てられるかもしれないというのですが、放射能がこんな短期間に、こんなに減衰するわけがありません! 東京電力は「測り方の違いのせい」と言いますが、何か高線量のものがどこかにいった可能性もあるし。「測り方が違うから」だけで説明しようとするなんて、とても荒い対応だと思います!
広瀬 ない。ありえない。なぜそういうウソをつくのだろう。だから東電は信用できないんだ。
マコ 1号機と排気筒をつなぐSGTS(Stand-by Gas Treatment System:非常用ガス処理系)配管に、毎時25シーベルトと毎時15シーベルトの部分があると、2013年12月に発表されたのです。
広瀬 もしそこが壊れたら、敷地全体に誰も入れなくなって、復旧作業ができなくなる。大変なことになります。
マコ 排気筒の亀裂は2013年9月にわかって、原子力規制庁は「倒壊した場合、環境にどのような影響を与えるか示せ」と東電に指示していますが、現時点でも回答されていません。ですが、東京電力社員は「この排気筒は東京電力としてもラスボスの一つと考えています」と言っていました。わざと環境影響評価を出していないとしか考えられません。
広瀬 原子力規制庁の官僚たちも、東電とグルになって放置しているわけだ。
もし、排気筒が倒壊すれば、排気筒の下部に蓄積された放射性物質がどっと舞い上がります。原発作業者は作業を投げ出して逃げるしかない。
マコ 原発作業員の人たちが一番こわがっているのは、倒壊して2号機の建屋が破損することです。じつは、2号機は爆発していないので、建屋内に大量の放射性物質のダストが溜まっています。2号機の建屋が少しでも破損すると、近隣に大量の放射性物質のプルームが流れます。
メルトダウンが最も進んだのは
2号機だった!
広瀬 2号機の内部の実態については、誰にもわかっていないし。
マコ ですから、いま、2号機に近づくために周辺を片づけ始めています。
実態は全然わかっていないのですが、2号機は一番大規模なメルトダウンが進んだと考えられています。
広瀬 そこを読者にわかりやすく解説してください。
マコ 2号機は爆発こそしていませんが、環境中に最も大量の放射性物質を出したと見られています。去年8月、「未確認・未解明事項の調査・検討結果のご報告~第2回進捗報告~」から「事故時に観測された中性子と燃料溶融との関連について」という資料が出てきました。 その解析によると、まず地震と津波で冷却装置が失われ、1、2、3号機ともに水位が低下して、水から顔を出した燃料棒が過熱状態になりました。それで慌てて消防車で水を入れようとしました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5d/96/bec4ed11e87ac24fe0aa91d6c32c3fc3.jpg)
でも、燃料棒が過熱状態になっていたので、水を入れ続けると、水蒸気が発生して内部の圧力が高くなってしまい、消防車のポンプ能力では注水できなくなりました。そこで、水がすべて蒸発し、内部の圧力が下がって、消防車のポンプで水が入れられるようになるまで待ちました。図の(5)から(1)に戻り、また同じことを繰り返します。爆発があった1号機と3号機では、これを1回行いました。なぜなら、爆発したので、水蒸気の圧力が逃げるルートができたからではと言われています。ところが一方、2号機は、これを3回繰り返しました。
この経過の何が問題かというと、過熱した燃料棒に水をかけたので、燃料棒を包んでいる被覆管のジルコニウムが反応し、「水―ジルコニウム反応」が起こりました。そのときに大量のエネルギーが放出され、燃料の温度が急激に上昇し、燃料が熔融して、2号機で大規模なメルトダウンが進行したと考えられています。
広瀬 ということは、排気筒が倒壊して、2号機を少しでも傷つけたら大変な事態になります。
「中性子が出てきたタイミング」と
「2号機メルトダウンのタイミング」が同じ!?
マコ それから2011年3月14~15日の福島第一原発正門の中性子線のデータがあります。 これを見ると、「中性子が出てきたタイミング」と「2号機のメルトダウンの進行したタイミング」が同じなのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/1b/3d87b65e000dbec875505974d86a546b.jpg)
広瀬 そう、最初は2号機が最大の危機だったはずです。この数字は、東電が測ったデータ?
マコ はい、福島第一原発正門で測定していたのです。正門にしか中性子線のモニターがなかったのです。原子炉建屋内にも中性子線の測定器があったのですが、燃料棒が溶け落ちたときに全部ダメになったからです。
広瀬 その中性子線のモニタリングポストは、いまからでも、設置すればいいのに、なぜ設置しないんだろう。私は「再臨界をあれこれ憶測する前に、中性子線を測れ!」と叫んでいたんです。
マコ 研究者に、原発作業員の人で5円玉を持っている人を探してほしいと頼まれたことがあります。5円玉は銅と亜鉛でできているので、それで中性子線の痕跡がわかるそうです。
結局、シビアアクシデント(重大事故)のとき、バッテリーを近くのホームセンターに買い出しに行ったりするために現金が必要で、お財布を提出していたために、5円玉が1個も残っていなかったのです。
広瀬 同位体を調べてわかるのかな。知らなかった。
マコ わかると聞きました。それから中性子線も測れるAPD(=ポケット線量計)とかガラスバッジをつけた作業員はいなかったのかと、日立や東芝の人たちにも聞きましたが、見つかっていません。
それから、防衛省の自衛隊員が上空から1、2、3号機の原子炉の温度を測ったりしていました。
そのときのメンバーがどれくらい被曝したかというデータがこれです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/7f/49e295a663e699303f1dd50f475fb513.jpg)
広瀬 上空のかなり高いところでも、中性子線が出ていることになっていますね。
マコ 中性子線が青ですが、人によってかなり数値が大きい。
東大の専門家に見てもらいましたが、よくわからないということでした。「3000フィート(900メートル)程度で宇宙線由来の中性子被曝はまず考えられない。なので出所は直下か。だとすれば、地上のモニタが反応しそうなものだが…」とのことでした。この資料では、日時の表記がないため、原発との比較ができません。なので、ガラスバッジのエラーか、実際の測定値か、評価できないのです。
広瀬 中性子線は、電気的に中性だから、途中にある物質の抵抗を受けないので、1キロメートルぐらい簡単に飛びますよ。1999年に起こった東海村の臨界事故では、2キロメートル先まで中性子線が到達していたんですよ。
2011年5月11日に、福島大学が上空の放射線量の調査結果を公表しています。大学上空0.9~2.6キロメートルで高い放射線量が観測され、2011年5月時点でも原発から大量の放射性物質の漏洩が続いていることが確認されていますが、そのデータはベータ線と、ガンマ線でした。ガンマ線は2万メートル以上の高空でも測定されています。
余計なことを言ってすみません。話を戻しますと、先ほどのグラフでは、上空のかなり高いところでも、中性子線が出ていると判断して、「中性子が出てきたタイミング」と「2号機のメルトダウンの進行したタイミング」が同じと見ると、2号機の危険性はかなり大きいから、排気筒の倒壊がますます心配ですね。
なぜ、子どもに
放射能の掃除をさせるのか
広瀬 話は変わりますが、今年の10月10日に国道6号線を子どもたちに掃除させたでしょう。子どもたちを危険な被曝地帯に連れてゆくなんて、トンデモナイことですね。
マコ そうです。清掃活動は、特定非営利活動法人ハッピーロードネット(福島県広野町)などが企画して、福島第一原発がある双葉、大熊の両町を除く8市町の国道6号線、計約50キロで、中高生約200人を含む約1400人が参加しました。
一番線量の高い福島第一原発の近くは、大人がやるということでしたが、そもそも国道6号線は開通できないくらい線量が高かったところです。
広瀬 国道6号線が現在でもハッピーロードとは、よく言うね。空間線量より怖いのは、自動車が運んでいる放射性物質が飛びかっていることですよ。そんなところを、なぜ子どもたちに掃除させるのか。まったくもって許しがたい。
マコ 企画したNPO法人に様々な要望がよせられたそうです。それについて共同通信や産経新聞などは『「殺人行為」「狂気の沙汰」など誹謗中傷の電話やFAX、メールが多数寄せられ、子どもの被ばくを心配する人たちの過剰な反応』という記事を出しています。
しかし「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクト」などが6号線の線量の測定をし、近隣にホットスポットがあったり、土埃が舞い上がっている状況を確認し、神戸国際キリスト教会など70団体で、この6号線のボランティアを募っての清掃を撤回してほしいと要望書を出していました。それらも「誹謗中傷などの過剰な反応」にするのはおかしいと思います。
広瀬 過剰な反応だって? おかしいのは掃除をさせるほうだろう。
なぜ、粉塵などに付着した放射性物質のある道路を子どもたちに掃除させるのか!
おしどりマコちゃん・ケンちゃん、これからも、福島県内のことを取材して、現状を私たちに教えてください。なにしろ、新聞にニュースが出ないので、みんな忘れさせられているのですから。お願いします。
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