遠雷
それが今日のはじまり
遠い雲が真横にたたずみ
押しだされたひかりが 鈍く
後ろへ渡った
水槽の天を逆さまに
下から俯瞰する銀の鏡面
低い鼓に震えるように
鏡の色を帯びた
魚の背
ゆらゆら
窓枠 雷光 写真立て
水槽 置き場所 選択肢
前と後 と 後ろ前
音と光のずれ幅は
到達する距離にしたがい
音の再生と電波の強弱は
到達する場にしたがい
それが受信機の決まり
それがボリュームの決まり
それが予報によれば
今日はお昼前から雨
雨は朝まで続くでしょう
(かあかあ、鳥 )
・
あなたのかたちを逆さまに
自らを奇妙にたたみ
雲が風景へ降りていく
五月雨を集めてはやし
もそもそ眠る
すると そのぶん呼吸の幅は
欠けるあたりを補おうと
予報めいた配置に執着し
あれこれ置きなおすなど
手探りのことなど
下から俯瞰する
今なおのことなど
窓枠 鈍光 写真立て
水槽 置き場所 選択肢
前と後 と 後ろ前
あなた たなあ
言ってたなあ
写真の向こうに距離はない
その程度の永遠なら
わたしは別に悲しくないと
あなた たなあ
言ってたなあ
五月雨を集めてはやし
もそもそ眠る
雲の中の逝く鳥
かあかあ
か~か~
あ~
ぁぁ ぅぅ
ひとつずつ置いていくと
呼吸のひとつがまた外ずれ
それが水の天をまた映し
こころが再生とゆれる境
ゆらゆら背をみせ
ガガ 鳥 軌跡
また飛ぶ
今日はお昼前から雨、ガガ
雨は朝までガガ続くでしょう
雲は逆さまにガガなりますのでガガガ
急な雨とガ落雷にガガご注意ください
ご注意ください
ガガ 鳥
光
・
予報によって
今は雨
瀟瀟と 雨
銀色の銀色の
それはそれは細々しい雨
かあかぁかあ
復活なれど
汝 触れるべからず
かあかあかぁ
汝 我に触れず