Story
サラ・ピアース(ケイト・ウィンスレット)は専業主婦。娘のルーシーと公園デビューしたものの、他の主婦達の会話に違和感を感じ今ひとつ溶け込めないでいる。夫リチャード(グレッグ・エデルマン)は広告会社でブランド化戦略を担当。サラは再婚相手。最近夫婦関係は上手く行ってないが、あることがきっかけでそれは決定的に。
ブラッド・アダムソン(パトリック・ウィルソン)は法科大学院を卒業後、司法試験に2度失敗。現在は主夫業をやりながら3回目を目指して勉強中。妻のキャシー(ジェニファー・コネリー)はテレビのドキュメンタリー制作者。夫が弁護士になるまでは彼女が家計を切り盛りすることになるが、ブラッドは妻の期待が次第に重荷になって来ている。
ロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)は未成年者への猥褻罪で服役後出所して来たところで、母親のメイと二人で暮らしている。彼の存在は平和な郊外住宅地に一石を投じることに。
そんなロニーを民衆の敵とばかりに執拗に付け狙っているのは、元警官のラリー(ノア・エメリッヒ)。ラリーは友人のブラッドをフットボールチームに誘う一方で、ロニーへの嫌がらせ(ポスターの貼り付け、家の前での罵声、etc)に付き合わせる。ラリーは子供達の安全を守るためと言ってはいるが、日常のうっぷんを発散するためにやっている感じである。
一方サラは、昼下がり子供連れ同士でブラッドと一緒に市民プールで過ごすのが日課になるが、ある日遂に一線を越えてしまう。
2006年/アメリカ/トッド・フィールド監督作品
評価 ★★★★☆
前作の「イン・ザ・ベットルーム」もそうでしたが、郊外生活者(サバービア)の平穏な生活の中に突如生じるサスペンス劇を描かせたら、トッド・フィールド監督は抜群にうまいですね。
出所した犯罪者のロニーがプールに現れて、人々が一斉にプールから逃げ出すところはこの映画で一番強烈な箇所でした。人間は集団になる程行動が幼児的になると言いますが、それを如実に現す可笑しくも哀れなシーンです。
それから、キャシー(ジェニファー・コネリー)が、サラとリチャードの夫妻を家へ食事に招くのですが、女の第六感で夫のブラッドがサラと浮気していることに気づく時の目つきがおっかなかったー。。
そのサラとリチャードが互いに好きになって行く過程が丹念に描かれていて、惹き込まれました。サラが友達と読書会に参加するのですが、そこで取り上げられたテーマが「ボヴァリー夫人」で、この解釈を討論する過程で、サラが浮気を正当化しつつも良心のうずきを感じるところも面白かったです。
ところで以前に、時間の特性について解説した本を読んだことがあって、その中にギリシャ神話の時を司る神・クロノスについて書かれた部分がありました。この映画を観て、その本に書いてあった時間を支配するクロノスのエピソードを連想しました。
映画は時を告げる時計のアップからはじまりますが、この時計は人々の運命を支配しているかのような印象を与えます。そして映画の最後の方で、母親を亡くした哀しみからその時計をたたき壊すロニー。ギリシャ神話のクロノスは大鎌を持った老人として描かれています。クロノスはその鎌を父親のウラノスを去勢するために使いました。ここが、終盤にロニーが自分自身への制裁として行う’ギャーッ’な展開と符合します。最終的に、登場人物達は戻るべきところに戻ってある種爽やかなラストになるわけですが、ギリシャ神話をモチーフに、郊外生活者の身に起きた事件の顛末をクロノスの呪縛からの脱却として描いた物語なのかなと思いました。
映画『リトル・チルドレン』公式サイト
(「リトル・チルドレン」2007年8月 名古屋 伏見ミリオン座にて鑑賞)
サラ・ピアース(ケイト・ウィンスレット)は専業主婦。娘のルーシーと公園デビューしたものの、他の主婦達の会話に違和感を感じ今ひとつ溶け込めないでいる。夫リチャード(グレッグ・エデルマン)は広告会社でブランド化戦略を担当。サラは再婚相手。最近夫婦関係は上手く行ってないが、あることがきっかけでそれは決定的に。
ブラッド・アダムソン(パトリック・ウィルソン)は法科大学院を卒業後、司法試験に2度失敗。現在は主夫業をやりながら3回目を目指して勉強中。妻のキャシー(ジェニファー・コネリー)はテレビのドキュメンタリー制作者。夫が弁護士になるまでは彼女が家計を切り盛りすることになるが、ブラッドは妻の期待が次第に重荷になって来ている。
ロニー(ジャッキー・アール・ヘイリー)は未成年者への猥褻罪で服役後出所して来たところで、母親のメイと二人で暮らしている。彼の存在は平和な郊外住宅地に一石を投じることに。
そんなロニーを民衆の敵とばかりに執拗に付け狙っているのは、元警官のラリー(ノア・エメリッヒ)。ラリーは友人のブラッドをフットボールチームに誘う一方で、ロニーへの嫌がらせ(ポスターの貼り付け、家の前での罵声、etc)に付き合わせる。ラリーは子供達の安全を守るためと言ってはいるが、日常のうっぷんを発散するためにやっている感じである。
一方サラは、昼下がり子供連れ同士でブラッドと一緒に市民プールで過ごすのが日課になるが、ある日遂に一線を越えてしまう。
2006年/アメリカ/トッド・フィールド監督作品
評価 ★★★★☆
前作の「イン・ザ・ベットルーム」もそうでしたが、郊外生活者(サバービア)の平穏な生活の中に突如生じるサスペンス劇を描かせたら、トッド・フィールド監督は抜群にうまいですね。
出所した犯罪者のロニーがプールに現れて、人々が一斉にプールから逃げ出すところはこの映画で一番強烈な箇所でした。人間は集団になる程行動が幼児的になると言いますが、それを如実に現す可笑しくも哀れなシーンです。
それから、キャシー(ジェニファー・コネリー)が、サラとリチャードの夫妻を家へ食事に招くのですが、女の第六感で夫のブラッドがサラと浮気していることに気づく時の目つきがおっかなかったー。。
そのサラとリチャードが互いに好きになって行く過程が丹念に描かれていて、惹き込まれました。サラが友達と読書会に参加するのですが、そこで取り上げられたテーマが「ボヴァリー夫人」で、この解釈を討論する過程で、サラが浮気を正当化しつつも良心のうずきを感じるところも面白かったです。
ところで以前に、時間の特性について解説した本を読んだことがあって、その中にギリシャ神話の時を司る神・クロノスについて書かれた部分がありました。この映画を観て、その本に書いてあった時間を支配するクロノスのエピソードを連想しました。
映画は時を告げる時計のアップからはじまりますが、この時計は人々の運命を支配しているかのような印象を与えます。そして映画の最後の方で、母親を亡くした哀しみからその時計をたたき壊すロニー。ギリシャ神話のクロノスは大鎌を持った老人として描かれています。クロノスはその鎌を父親のウラノスを去勢するために使いました。ここが、終盤にロニーが自分自身への制裁として行う’ギャーッ’な展開と符合します。最終的に、登場人物達は戻るべきところに戻ってある種爽やかなラストになるわけですが、ギリシャ神話をモチーフに、郊外生活者の身に起きた事件の顛末をクロノスの呪縛からの脱却として描いた物語なのかなと思いました。
映画『リトル・チルドレン』公式サイト
(「リトル・チルドレン」2007年8月 名古屋 伏見ミリオン座にて鑑賞)
中々素敵な作品で、今年のベストに入れたいです。
とにかくウインスレット&コネリーの配役が絶妙で、素晴らしかったと思います。
遅くなりましたが、こちらにもコメント&TBありがとうございました。
たまたま、ギリシャ神話のことが書かれている文献を読んだことがあって、今回の映画と設定が似てると思い、思わずレビューに書いてみました。。^^;
本当にウインスレット&コネリーの配役が良かったですね!
特に、この映画のコネリーはとても奇麗で魅力的に感じました。