夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日

2013年02月26日 | ら行の映画
Story
モントリオール在住のインド系カナダ人のパイ・バテル(イルファン・カーン)の元に、新作に行き詰まった若いライター(レイフ・スポール)が訪ね、パイから驚くべき体験談を聞く。1960年代、パイはインドで動物園を営む一家の元に生まれた。パイが16歳(スラージ・シャルマ)の時、一家はカナダへ移住する事になるが、家族の乗る船は太平洋上で嵐に見舞われ、沈没してしまう。必死の思いで救命ボートにたどり着いたパイだったが、そこには船から逃げて来た他の動物たち、そしてベンガルトラもいた。(goo映画より)
2012年/アメリカ/アン・リー監督作品


映画の核心部分に 触れていますので、まだ観てない人は読まないで下さい!!



評価 ★★★★★

このブログを更新するのは1年ぶり?くらいの本当に久々の更新になります!
映画はコンスタントに観に行っていたんですが、なかなかブログに向かう時間が持てなかったので、できれば、今年はできるだけ更新したいと思っています。
これからもまた、どうぞ、よろしくお願いします。


この映画、5つあげてもいいくらい、本当に面白かったです!映像の美しさはもちろんですが、物語の面白さに惹き込まれてしまいます。

というのも、この映画は実はドンデン返しとも言える真実が隠されているんですが、このトリックに気づいた人はどれくらい、いるんでしょう?。。
実は、私も情けないことに、主人であるwancoに教えてもらうまで、あれ?何か変だな?と思いながらも、トラと漂流した物語なのかと思っていました。。(^^;)でも、実はそうじゃないんですよね。この映画ではもう一つの別の真実が隠されていて、漂流中に起こったことは、どちらが真実なのか?!観る者によってその解釈を委ねるタイプの映画になっています。

別の真実が隠されているからこそ、このトラとの漂流の物語が余計に切なく感じて、観る者に深い余韻を残すんですね。宗教との関係も描かれていて、なんというか、この作品は本当に深い!
アン・リー監督の作品はどれも、見終わった後、強く印象に残るものが多くて、この作品も心に深く刻まれました。アカデミー賞の監督賞、受賞したのも頷けます。






評価 ★★★★

映画を観ながら不自然に感じた箇所がいくつかあって、

 1)なぜこうも都合良く救命ボートに動物ばかりが集まるのか?
 2)オランウータンの表情が思慮深すぎる(笑)。
 3)なぜジェラール・ドパルデューがこんなしょうもない役(貨物船のコック)で出てるのか。
 4)初めて獲物の魚を捕まえたとき手斧を振り上げながら、なぜこんなに過剰に謝るのか。
 5)なぜミーアキャットの島が人型をしているのか?

これらの疑問点が物語終盤のパイ・パテルの告白によって、まるでパズルのピースがはまり込むように繋がりました。
カナダ人作家の指摘通り、トラ=パイ・パテル(彼の分裂した別人格だと思います。)、オランウータン=母親、シマウマ=親切な東洋人、ハイエナ=コックだとすれば、1)と2)は自然に思えて来ますし、名優ジェラール・ドパルデューを敢えてチョイ役で起用して強烈な印象を残させる3)の意味も分かってきます。
この映画の怖いところは極限下での人肉食までも寓意的に描いているところで、4)と5)の意味が分かったときには戦慄が走りました。


作品のテーマを理解する鍵は、パイ・パテルの少年時代、母親がヒンズー教の神話を語り聞かせる場面で、”神の子供の口の中を覗いてみたら、無限の宇宙が広がっていた。”という部分にあるような気がします。
主人公が語る動物との漂流物語があたかも現実に起こった事件であるかのように一つの世界を型作って行く。しかし、これが全くの作り話だったという証拠は提示されず解釈は観客に委ねられている訳で、私たちが今ここに認識している世界というものは一体なんなのだろうか?という根源的な問いかけに思えてきます。
パイ・パテルは若い頃に3つの宗教に帰依しているので、彼の中には3つの異なった世界観が併存しているのでしょうね。その彼の名前が無限に続く円周率を象徴しているというのも意味があるようで、この辺の謎の解明は今後の宿題になりそうです。

という訳で、トラと一緒に漂流するファンタジーアドベンチャーかぁ~、と軽い気持ちで観に行ったら、テーマの深遠さに打ちひしがれる思いで劇場を後にしたのでした。


映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』公式サイト


(「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」2013年2月 岡谷スカラ座 にて鑑賞)

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