Story
冒険好きな少年と少女だったカールとエリーは夢を語りながら成長し、19歳で結婚。幼い日の思い出がつまった廃屋を買い取り居心地のいい我が家に改築する。喜びも悲しみも分かち合い、つつましく生きてきた2人にも、やがて悲しい別れが訪れる。ひとり残され偏屈な老人となったカールは78歳で一世一代の冒険に旅立つ。無数の風船と共に大切な家ごと飛び立ったカールが目指すのは、かつてエリーと夢見た冒険の地だった。(goo映画より)
2009年/アメリカ/ ピート・ドクター監督作品
評価 ★★★★☆
本作はアカデミー賞の長編アニメ賞を受賞!
このカールじいさんは、小津安二郎の映画や黒澤明の映画「生きる」などからインスパイアされて生み出された作品だそうです。ということもあって、単なるアニメという枠に留まらず、人は孤独とどう向き合うか、残りの人生をどのように生きていくか、などを考えさせてくれる深い内容の作品に仕上がっていました。
映画の冒頭で、若い頃のカールじいさんと妻のエリーとの結婚生活が、ずっと音楽だけでセリフもなく描かれるシーンがあるんですが、このシーンがすごく良いんですね。セリフがない方がかえって観る者に色々と想像させてしまうせいか、この二人の結婚生活が、子供には恵まれなかったかもしれないけど、どれだけ幸せだったかが伝わってくるとても感動的なシーンでした。
このシーンが良いからこそ、最愛の妻を亡くしたカールじいさんの孤独感、その後の人生を独りで生きなければいけない虚しさ、侘しさなどが余計にひしひしと伝わってきましたね。
カールじいさんがエリーとの冒険の夢を果たすために、数えきれないほどのたくさんの風船で家が大空へ飛び立つシーンは、とてもワクワクして心躍るものがあります。年をとっても夢を諦めずチャレンジし続けるカールじいさんを見てると、清々しい気持ちになりますね。
ただ、冒険の目的地であるパラダイスの滝に着いてからの物語は、正直、間延びしているシーンがいくつかあって、面白さが持続しなかったのが残念でした。カールじいさんが少年ラッセルとひょんなことから仲違いして、空飛ぶ家でカールじいさんがひとり、エリーの遺した冒険ブックをめくるシーンがあるのですが、ようやくエリーの本当の気持ちに気づくあたりから、また物語は面白くなっていきます。カールじいさんが今度は自分のために新しい冒険(第2の人生)を始めようとする姿には、観ているこっちにも勇気づけられるものがありました。
アニメ映画というと、どうも子供向きというイメージがありますが、この映画は子供にはちょっと難しいかもしれないですね。酸いも甘いも噛み分けた、人生経験が豊富な大人こそ観てほしい!大人が楽しむための映画だと思います。
ピクサー作品ではおなじみですが、本編上映前に楽しい短編映画が上映されました。その作品についてのレビューは次のとおりです。
PARTLY CLOUDY『晴れ ときどき くもり』
(2009年/アメリカ/ピーター・ソーン監督作品)
私はどちらかというと本編のカールじいさんよりこっちの短編アニメの方が好きでした。とある雲とコウノトリのコンビのお話なんですけど、この雲が他の雲たちと違って、ハリネズミとかワニとか危険な動物の赤ちゃんばかり作り出すんですね。それで運び役のコウノトリがボロボロになっていっちゃう。とうとうコウノトリは愛想が尽きて、他の雲のところへ飛んで行ってしまうのですが、ラストが意外なオチでほろっと泣かせてくれます。たった6分の上映時間のなかに笑いあり、涙ありと色々なエッセンスが詰まっていて、観終わった後はほんわかと心温まる素晴らしい作品でした!
評価 ★★★★★
★過去の短編アニメのレビューはこちらです!
LIFTED『リフテッド』 レビューはこちら
PRESTO『マジシャン・プレスト』 レビューはこちら
★ピクサー・アニメーション・スタジオの初期の頃の短編映画についてもご紹介しています。
レビューはこちら!
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』公式サイト
(「カールじいさんの空飛ぶ家」2009年12月 長野 岡谷スカラ座にて鑑賞)
冒険好きな少年と少女だったカールとエリーは夢を語りながら成長し、19歳で結婚。幼い日の思い出がつまった廃屋を買い取り居心地のいい我が家に改築する。喜びも悲しみも分かち合い、つつましく生きてきた2人にも、やがて悲しい別れが訪れる。ひとり残され偏屈な老人となったカールは78歳で一世一代の冒険に旅立つ。無数の風船と共に大切な家ごと飛び立ったカールが目指すのは、かつてエリーと夢見た冒険の地だった。(goo映画より)
2009年/アメリカ/ ピート・ドクター監督作品
評価 ★★★★☆
本作はアカデミー賞の長編アニメ賞を受賞!
このカールじいさんは、小津安二郎の映画や黒澤明の映画「生きる」などからインスパイアされて生み出された作品だそうです。ということもあって、単なるアニメという枠に留まらず、人は孤独とどう向き合うか、残りの人生をどのように生きていくか、などを考えさせてくれる深い内容の作品に仕上がっていました。
映画の冒頭で、若い頃のカールじいさんと妻のエリーとの結婚生活が、ずっと音楽だけでセリフもなく描かれるシーンがあるんですが、このシーンがすごく良いんですね。セリフがない方がかえって観る者に色々と想像させてしまうせいか、この二人の結婚生活が、子供には恵まれなかったかもしれないけど、どれだけ幸せだったかが伝わってくるとても感動的なシーンでした。
このシーンが良いからこそ、最愛の妻を亡くしたカールじいさんの孤独感、その後の人生を独りで生きなければいけない虚しさ、侘しさなどが余計にひしひしと伝わってきましたね。
カールじいさんがエリーとの冒険の夢を果たすために、数えきれないほどのたくさんの風船で家が大空へ飛び立つシーンは、とてもワクワクして心躍るものがあります。年をとっても夢を諦めずチャレンジし続けるカールじいさんを見てると、清々しい気持ちになりますね。
ただ、冒険の目的地であるパラダイスの滝に着いてからの物語は、正直、間延びしているシーンがいくつかあって、面白さが持続しなかったのが残念でした。カールじいさんが少年ラッセルとひょんなことから仲違いして、空飛ぶ家でカールじいさんがひとり、エリーの遺した冒険ブックをめくるシーンがあるのですが、ようやくエリーの本当の気持ちに気づくあたりから、また物語は面白くなっていきます。カールじいさんが今度は自分のために新しい冒険(第2の人生)を始めようとする姿には、観ているこっちにも勇気づけられるものがありました。
アニメ映画というと、どうも子供向きというイメージがありますが、この映画は子供にはちょっと難しいかもしれないですね。酸いも甘いも噛み分けた、人生経験が豊富な大人こそ観てほしい!大人が楽しむための映画だと思います。
ピクサー作品ではおなじみですが、本編上映前に楽しい短編映画が上映されました。その作品についてのレビューは次のとおりです。
PARTLY CLOUDY『晴れ ときどき くもり』
(2009年/アメリカ/ピーター・ソーン監督作品)
Story あらゆる動物の赤ちゃんはコウノトリが運んで来る、というのは誰もが知っていることですが、それでは、その赤ちゃんたちはどこから運ばれてくるのでしょう?その答えは、なんと、空の上にある雲たちが形作っていたのです・・・。(ピクサー公式サイトより) |
私はどちらかというと本編のカールじいさんよりこっちの短編アニメの方が好きでした。とある雲とコウノトリのコンビのお話なんですけど、この雲が他の雲たちと違って、ハリネズミとかワニとか危険な動物の赤ちゃんばかり作り出すんですね。それで運び役のコウノトリがボロボロになっていっちゃう。とうとうコウノトリは愛想が尽きて、他の雲のところへ飛んで行ってしまうのですが、ラストが意外なオチでほろっと泣かせてくれます。たった6分の上映時間のなかに笑いあり、涙ありと色々なエッセンスが詰まっていて、観終わった後はほんわかと心温まる素晴らしい作品でした!
評価 ★★★★★
★過去の短編アニメのレビューはこちらです!
LIFTED『リフテッド』 レビューはこちら
PRESTO『マジシャン・プレスト』 レビューはこちら
★ピクサー・アニメーション・スタジオの初期の頃の短編映画についてもご紹介しています。
レビューはこちら!
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』公式サイト
(「カールじいさんの空飛ぶ家」2009年12月 長野 岡谷スカラ座にて鑑賞)
エリーが亡くなるまでのダイジェストの部分、もうこれだけで胸に迫るものがありました。
コメとトラバ、ありがとうございました。
私も、ダイジェストの場面が特に優れていたと思います。
いつも新しい感動を与えてくれるピクサー作品は外せないものがありますよね。