![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/91/2c6b13bd90c144fb97974b527a07f2ba.jpg)
Story
病院で助産婦として働くアンナ(ナオミ・ワッツ)の下に、意識を失くした少女が運び込まれる。少女は、女の子を産み落として息を引き取る。バッグに入っていた手帳にはロシア語で日記らしいものが書かれてあり、少女がロシア人であることが分かった。アンナは、少女の身元を確認するため、手帳に挟んであった名刺を手がかりにロシア料理レストランに赴く。オーナーのセミオン(アーミン・ミューラー=スタール)は、自分が日記の翻訳をしようと申し出る。しかし、その後、謎のロシア人、ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)がアンナに近付き始め、アンナはこの街の暗黒面に接することとなるのだった。
2007年/イギリス=カナダ/ デヴィッド・クローネンバーグ監督作品
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2f/30/577b9ac6991b4190c9948f37be50036f.png)
評価 ★★★★☆
ネタバレ注意!!
ロンドンを舞台にしたロシアンマフィアの物語。ギャングの親分とできそこないの息子、その息子の運転手兼ボディーガード。設定自体に特色は無いのですが、クローネンバーグの手に掛かると全編異様な緊迫感に満ちています。
レストランオーナーのセミオンが、一見人の良さそうな爺さんだが内面はドス黒いギャングのボス、という役をアーミン・ミューラー=スタールが実にうまく演じています。彼の息子のキリルが他ファミリーの人間の殺害に関わってしまったため、組織内に抗争が生じるのですが、運転手のニコライを後継者に育てると思わせておいて、実は彼を息子の代わりに切り捨てようとしていた、というのが非情なギャングの世界を窺わせます。
ギャングを扱っているにも関わらず、銃が一度も登場しなくて、暴力シーンにはナイフのみを使うのが異色。
サウナでヴィゴ・モーテンセン演じるニコライが全裸でナイフの男二人組と闘う場面が最大の見所。肌を切り裂くナイフの冷たさが感じられるような迫力です。
一瞬映されるシティの遠景がなければ、ロンドンが舞台とは気づかない程でした。そんなロンドンの下町で、ナオミ・ワッツ演じるアンナがロシア移民の娘でありながら母国語が分からないという設定。これが、彼女の出自が定まらない不安定な状況を感じさせます。彼女がロシア語の日記に固執するのも、父祖の大地への憧れと憎しみというアンビバレントな感情から来ているのではないかと思わされたりしました。そんな彼女に想いをよせるニコライの正体が、実は・・・というのが明らかになるのも意表をついた展開。
「イースタン・プロミス」というのは東欧の犯罪組織による人身売買の契約という意味だそうです。叶うことのない非情な約束、という題名の響きが、同じロシア出身ながら結ばれることはないであろうニコライとアンナに重なり合って、深い余韻を残します。ロンドンの中の異邦人を描いた異色の犯罪映画でした。
映画『イースタン・プロミス』公式サイト
(「イースタン・プロミス」2008年6月 名古屋市 ゴールド劇場にて鑑賞)
病院で助産婦として働くアンナ(ナオミ・ワッツ)の下に、意識を失くした少女が運び込まれる。少女は、女の子を産み落として息を引き取る。バッグに入っていた手帳にはロシア語で日記らしいものが書かれてあり、少女がロシア人であることが分かった。アンナは、少女の身元を確認するため、手帳に挟んであった名刺を手がかりにロシア料理レストランに赴く。オーナーのセミオン(アーミン・ミューラー=スタール)は、自分が日記の翻訳をしようと申し出る。しかし、その後、謎のロシア人、ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)がアンナに近付き始め、アンナはこの街の暗黒面に接することとなるのだった。
2007年/イギリス=カナダ/ デヴィッド・クローネンバーグ監督作品
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評価 ★★★★☆
ネタバレ注意!!
ロンドンを舞台にしたロシアンマフィアの物語。ギャングの親分とできそこないの息子、その息子の運転手兼ボディーガード。設定自体に特色は無いのですが、クローネンバーグの手に掛かると全編異様な緊迫感に満ちています。
レストランオーナーのセミオンが、一見人の良さそうな爺さんだが内面はドス黒いギャングのボス、という役をアーミン・ミューラー=スタールが実にうまく演じています。彼の息子のキリルが他ファミリーの人間の殺害に関わってしまったため、組織内に抗争が生じるのですが、運転手のニコライを後継者に育てると思わせておいて、実は彼を息子の代わりに切り捨てようとしていた、というのが非情なギャングの世界を窺わせます。
ギャングを扱っているにも関わらず、銃が一度も登場しなくて、暴力シーンにはナイフのみを使うのが異色。
サウナでヴィゴ・モーテンセン演じるニコライが全裸でナイフの男二人組と闘う場面が最大の見所。肌を切り裂くナイフの冷たさが感じられるような迫力です。
一瞬映されるシティの遠景がなければ、ロンドンが舞台とは気づかない程でした。そんなロンドンの下町で、ナオミ・ワッツ演じるアンナがロシア移民の娘でありながら母国語が分からないという設定。これが、彼女の出自が定まらない不安定な状況を感じさせます。彼女がロシア語の日記に固執するのも、父祖の大地への憧れと憎しみというアンビバレントな感情から来ているのではないかと思わされたりしました。そんな彼女に想いをよせるニコライの正体が、実は・・・というのが明らかになるのも意表をついた展開。
「イースタン・プロミス」というのは東欧の犯罪組織による人身売買の契約という意味だそうです。叶うことのない非情な約束、という題名の響きが、同じロシア出身ながら結ばれることはないであろうニコライとアンナに重なり合って、深い余韻を残します。ロンドンの中の異邦人を描いた異色の犯罪映画でした。
映画『イースタン・プロミス』公式サイト
(「イースタン・プロミス」2008年6月 名古屋市 ゴールド劇場にて鑑賞)
ヴィゴの演技がサイコーでした。
「筆舌に尽くしがたい名演技」とありましたが、本当にその通りだと思いました
コメとトラバ、ありがとうございました!
ヴィゴの存在感が圧倒的で、この映画の要となっていましたね。
余韻を残す終わり方も良くて、充実した鑑賞となりました。
やっぱヴィゴの格闘シーンは息とめてみてましたよ。笑
ナイフの冷たさを感じられるのはクローネンバーグですよね。
こちらまで痛くなる演出でしたよ。
ロシアン・マファアの不気味さが印象的でしたー。
こちらにも、どうもありがとうございます。
ロシアン・マフィアの不気味さはさすがクローネンバーグですね。ヴィゴは立っているだけでマフィアの威圧感がありました。そのへんは、だめだめのヴァンサン・カッセルと良い対称を成してましたね。(笑)