☆さて、Bさんの葬儀後、Aさんが窓口に来られた。
葬儀資金を作るために解約した定期預金を、元通りに戻して欲しいと。
実は、Bさん名義の定期預金を解約してBさん名義の普通預金に入金し、規定内の金額を葬儀資として払出していた。
Bさんの普通預金から払い出した金額を、同居している息子さんの普通預金から入金して、定期預金を解約しなかったことにして欲しいと。
事情を聴くと、先妻の3人の子供たちに黙ってBさんの定期預金を解約したことに、3人が立腹し、「勝手に解約して、元通りにせよ!」と主張したらしい。
聞くにしても遠くにいるし、年に1回も顔を出さず、Bさんの介護も私や同居する息子夫婦が面倒を看ているのに、と涙ながらに窓口で泣かれる。
私は、自分の子供たち以上に3人を立派にしなければと思い、一生懸命に育てたのに、と泣かれる。
ロビーにおられる他のお客様は、私がAさんを泣かせているように、横目で見られる。
応接間へと誘うも、なかなか移動して貰えない。
結局、事情が事情であり、家族関係等を詮索したり3人を説得する状況でもないので、起算日取引で元通りにした。
起算日取引とは、解約や支払をした日の日付に遡って取引をすることで、異例中の異例中取引。
最も不祥事が発生し易い取引で、内部検査・本部検査・金融庁検査等で検証される取引。
簡単にこれが取引されたら、何でもありになってしまう。
処理後、もし、相続で揉めるようでしたら、当金庫に法律相談日もありますので、ご紹介しますよ!と伝えてた。
1時間ほどの時間を要したが、Aさんが可哀想で、まともに顔を見ることも出来なかった。
☆さて、この話には後日談があり、またまた問題が発生する。
Aさんと子供達での相続の話が上手く行かず、簡易裁判所での調停となった。
5ヶ月後、Aさんが調停証書をもって来店し、定期預金の名義を私にして欲しい、といわれた。
しかし、調停証書に相続財産として、当金庫の定期預金と普通預金が記入されていない。
Aさんは、3人には売れる土地を相続させたので、自宅と預金は私が相続する、といわれる。
確かに自宅は記載されているが、預金等に付いての文言が無い上に、その他一切の財産は‥‥等の文言が無い。
Aさんに、この調停証書には定期預金等はAさんが相続すると書いてないですよ、というと。
裁判所で、きちんと話をしたから私のものだ、と主張される。
押し問答をしていても仕方が無いので、簡易裁判所の調停委員に問い合わせをした。
聞いたところでは、相続財産として申立て調停内容に入っておりませんでしたので記載されていません、と素気無い返事。
そんな、預金が調停内容に入っていないことが不自然、と思ったが致し方ない。
Aさんには事情を話して、また裁判所で調停をしようとしても大変だから、私の友人の弁護士に事情を話してお値打ちに頼んであげるから、と話す。
友人の話では、3人は弁護士からの手紙であることと貰えるものは既に貰っているので、簡単に署名をしてくれたとのこと。
☆その後も、Aさんが来店されると、たびたび私を手招きされた。
私は我慢できるし、息子も兄弟だから我慢できるが、息子の嫁が可哀想だ!
嫁は他人だが、一生懸命に面倒を看てくれて、可哀想過ぎる!と涙ながらに話される。
でも、そんな心優しいお嫁さんと一緒に生活できる、Aさんが一番幸せじゃないですか、と話すと嬉しそうな顔をされた。
金融機関の窓口では、いろいろな人生模様の姿が垣間見られる。
そんな姿が見られるのが、地域金融機関の強みであり、そんな姿が見られれば、どんな時代になっても地域金融機関は生きていけると思う。
☆セトノベルティ
老人と少年
私の孫も4歳。
このセトノベルティのように、幸せな時を過ごしたのだが、それにはまだまだ元気でいなければならない!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます