こんなに大きくなりました!
つわりもなくなりごはんがおいしくて!!
妊娠3か月の時
赤ちゃんの首の後ろにリンパ液が溜まっていると言われた。
リンパ液の厚みが3mmを超えると
染色体異常の可能性が上がってくると言われた。
妊娠がわかってからは
ただただ健康であってくれればそれだけでいいと
願っていました。
1週間後の検査結果問題なく
何も心配はいらないと言われました。
1週間生きた心地がしませんでした。
それから順調に経過。
12月6日。
5か月の妊婦検診で男の子と判明!
それからは「赤ちゃん」から「チビ太」に改名!
チビ太にはエコー上で1カ月に1回しか会えない。
早く会いたくて妊婦検診が楽しみで。
待ち遠しくて待ち遠しくてたまりませんでした。
1月7日。
パパと一緒に6カ月の妊婦検診。
12月29日より胎動がわかるようになりとっても元気なチビ太。
1カ月経って大きくなったかな。
先生がエコーを見始めた。
しばらくすると先生が難しそうな顔をする。
何?何か変なの??チビ太に何かあるの?
先生が数分後重たい口を開いた。
「普通は左側に心臓があってその下に胃があります。
しかし胃が右側に見えるんです。
気になるので県病に紹介状を書きますから週明けに行って下さい。」
チビ太に会えることをあんなに楽しみにしていたのに
一転して銃口を突き付けられた。
週末、祭日を挟むので県病に行くのは3日後の1月10日。
前回リンパが貯留していると言われた時よりもはるかに
不安で怖かった。
胃が右側にある原因を調べる事も怖くて
この日はなるべく考えないようにした。
らんくんに「チビ太大丈夫よな?」と聞くと
いつも目をそらしたりしないらんくんが目をそらす。
そしておなかの上に顔をうずめた。
気になって検査に行く前日自分なりに調べてみた。
臓器が全て逆になっているだけなら問題ない。
私も仕事をしていて1度だけ臓器が逆転している患者さんをみた。
でもチビ太は心臓は左、胃は右。
このような場合錯位というらしい。
たくさんある文章の中
私には1行だけ字が浮かんで見えた。
「錯位の場合ほぼ100%心疾患を合併している。」
・・・100%。
目をそむけた。
不安がもっと現実的なものになった瞬間。
怖くて涙が止まらない。
パパはしっかりしていて
「悪く考えるな。明日検査をしないとわからないんだから。
でももしもの場合の覚悟はしとかないといけない。」
と検査の前日2人で話した。
私はパパの手をつかんで離せなかった。
手をつなぐことでおかしくなりそうな自分をくいとめようとした。
涙は止まらなかった。
翌日1月10日。
朝一で県病へ。パパは仕事を休んでくれた。
歩き方がわからなくなる感覚。
問診を書いて看護師から
「今1番気になることは何ですか?」と聞かれた。
私は口を開こうとすると目が熱くなり
「心疾患が合併していないかどうか。」
言い終わる前に涙があふれた。
悪く考えないように一生懸命に努めたが涙は止まらない。
泣くのを我慢しようとしてもこめかみが痛くなるばかりで
涙は止まらなった。
名前を呼ばれ早速エコーをする。
手が震えた。
初めてみる先生は優しそうだった。
エコーを見ながら
「元気な赤ちゃんだ。よく動くからなかなか測れない。」
と笑顔で話してくれた。
全ての事が夢だったんじゃないか。
「詳しいことは後で話しますね。」
夢ではなくこれは現実。
パパと一緒に先生の話を聞いた。
予想通り。
心奇形があると言われた。
病名は
「肺動脈狭窄」「心室中隔欠損」「共通房室弁」
産まれてすぐに手術をしないと助からない病気。
大分ではその手術はできない。出産は福岡の病院ですると言われた。
チビ太が産まれて自分で呼吸をして
心臓のポンプ機能が弱ければ手術は難しい。
心臓のポンプ機能が良ければ手術は可能。
手術が成功すれば日常生活は問題ないという。
先生は「この時期によく発見できたなと驚いています。
今病気がわかったことはとてもいいことなんです。
気付かない場合もあるんです。気付かず普通に分娩していたら
産まれてから赤ちゃんの様子がおかしいなんていっていたら間に合わないことになっていたかも。
今病名がわかったことで生まれる前にスケジュールを立てて
前もって手をうつことが出来るんですから。」と。
今ならその言葉は強味だけど
そのときは怖くて怖くて
不安が強すぎて全く安心材料にはならなかった。
説明が終わり帰ろうとするが
あの長い長い廊下を歩くのがやっとだった。
パパの手をつかんでなんとか歩こうとするけど
なかなか歩けない。
人がたくさんいたのにぼやけていく。
人の目を気にすることもできず
泣き崩れてしまった。
こんなときでも私の心臓は当たり前のように音をたてているのにどうして。
パパがいてくれてよかった。
一人だったら受け止めきれず
あの廊下を歩いて帰ることができなかったかもしれない。
なんとか落ち着きを取り戻して
帰りにデパートに寄った。
いつも以上に赤ちゃんや子どもを目で追っていた。
「みんな元気ですごいね。」とつぶやくと
「そんな考え方はするな。チビ太は病気でもチビ太はチビ太。
よその子と比べることはない。」
とパパは穏やかに話した。
わかってる。
チビ太が嫌なんじゃない。
チビ太が大切だから健康であってほしかった。
わかってるなんて言いながら
あの赤ちゃんはいいな。あの妊婦さんはおなかに元気な赤ちゃんがいるんだろうな
って考えてしまう自分が嫌。本当に嫌。
チビ太はなんで私を選んだの?
「ママ!生まれる前から大好きだよ」って本に書いてあった。
病気をもった赤ちゃんは「あのママだったらぼくをちゃんと守ってくれる」
と思っておなかに入ってくるって。
6か月間おなかにいてチビ太わかったでしょ。
ママは強くない。
泣き崩れて不安でたまらずとても弱いこと。
妊娠してからさらに弱くなった。
色んな言葉を投げつけられてはねのける力を持てなかった。
「妊婦だからって特別と思わないで。」
「あんな人と夜勤を組みたくない。」とかほかにも色々。
普段だったら聞き流せた言葉も
さらに刃を持った言葉となって私の心に刺さってきたことも。
それを手で払いのけることができるママはほかにたくさんいたでしょ?
ごめんね、こんなに弱くて。ごめんね、いっぱいストレスかけたね。
パパはね、顔つきがパパになってきたよ。
手を伸ばせば届く距離にいつもいてくれたのはパパだった。
パパはね、ママが泣き崩れたとき
「お前が一番つらいかもしれないけど俺だってつらい。
お前がこうして泣き崩れることもわかっていた。
お前がこうなるのを見るのだってつらい。
でもお前が泣いてばかりいたらチビ太が不安になる。
これからは前向きに1日1日を楽しんでチビ太に生きるって楽しいよって
伝えてあげないと。
それができるのはお前だけやろ。」
って抱きしめてくれた。
2人で力を合わせてチビ太を守らないとね。
こんなに弱いママを選んだ勇気あるチビ太に
せめて優しい言葉をかけさせて下さい。
ママとパパを選んでくれてありがとう。
チビ太がママを選んだこと後悔しないでいいように強くなるから。
だから必ず一緒に生きていこう。
きっと今まであったつらいことは
チビ太を守る力をつけさせる為だったんじゃないかと思う。
神様はきっとのりこえられない試練は与えない。
チビ太はきっと強い子。
病気の事も伝えてくれた。
弱い子だったらとっくに流産していたはず。
おなかの中で元気に動き回るチビ太はきっと私に
「ママ!ぼくこんなに元気だよ。だから心配しないで。」
ってママを励ましてくれているんじゃないかと思う。
あなたは生まれる前から優しい子ね。
チビ太は命の尊さ命の大切さを教えてくれた。
看護師という仕事をしているのに
仕事としてわり切っていたのか大切なことを忘れていた気がする。
そして命を授かるという神秘。
チビ太、ありがとう。
病院で病名を告げられた日
帰ってらんくんに
「チビ太、やっぱり心臓が悪かったって。」
と話すとらんくんは今度は絶対に私から目を離さず
静かにチューをした。
蘭丸も鞠萌も私から離れなかった。
チビ太。
ママもチビ太も1人じゃないよ。
こんなに近くにいられるのは今だけ。
もうしばらく会うのはお互い我慢しようね。
ママのおなかの中で大きくなって。
ママ、いっぱい笑うから。