熊じぃの戯言

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コンフェデ杯、ブラジル戦の完敗後のコラム&評価記事より

2013-06-17 07:05:37 | 日本代表

私が参考になると思っている二つの記事について、掲載しておきます。


ひとりは「宇都宮徹壱」氏のコラムで、今回もしっかりとした内容のコラムを書いておられる。


もう一人は辛口の採点で知られる「植田路生」氏のフットボールチャンネルからの記事である。


お二人ともサッカーを愛しており、かつ日本代表への期待が大きい書き物を多く出されている方である。


中身的には『先を見ないザッケローニの采配』に危機を感じておられる。


いずれにしても前の私のブログでも一言触れているが、次のイタリア戦でザッケの行く末が決まってしまうでしょう。




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完敗招いたザックに3つの提案 残り2試合を有効活用するために


宇都宮徹壱

2013年6月16日 17:20


祝祭ムードの中で開幕したコンフェデ杯だが……




続々と集結するカナリア軍団。こんなに多くのブラジルサポを見るのは3年ぶりだ【宇都宮徹壱】

 上空を旋回するヘリコプターのホバリングの音で目が覚めた。6月15日、いよいよFIFAコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)2013が、ブラジルの首都・ブラジリアのナシオナル・スタジアムで開幕する。こちらに到着した3日前から、地元テレビは大会の事前情報を盛んに流していたが、現地の大会への期待感はこちらが想像していた以上だ。開幕前夜も、各地からブラジリアに乗り込んできたと思しきファンたちの気勢を上げる声が、深夜まで街中に響いていた。

 昼前に徒歩でスタジアムに向かう。キックオフ4時間前にもかかわらず、あちこちで日差しを浴びてまばゆく輝くカナリア色のユニホーム姿の人々を見かける。これほど多くのブラジルサポーターを目にするのは、3年前の南アフリカ以来のことだ。ただし、彼らが身につけているのは、ナショナルチームのユニばかりではない。サンパウロの白、フラメンゴの赤と黒、そしてパルメイラスの緑、などなど。日本代表のホームゲームだと、Jクラブのユニを着た人はほとんど見かけることはないが、その点ブラジルはかなり自由な印象を受けた。愛するクラブがあって、代表がある。そんな当たり前のことが、ここブラジルでは少しばかり粋に思えてしまうから不思議だ。

 とはいえ、皆が皆、このコンフェデ杯の開幕にウェルカムというわけではなかった。この日のために歩行者に開放されたスタジアムに向かう大通りでは、コンフェデ杯とワールドカップ(W杯)に反対するデモの集団に遭遇した。ざっと見たところ500人くらいはいただろうか。横断幕に書かれた文字を拾い、あとで検索をかけてみると、どうやら彼らの主張は「スタジアムを作る金があったら、もっと教育や医療を何とかしろ!」というものらしい。私が見たデモはまだ平和的であったが、試合後に中田徹さんのコラムを読んで、催涙ガスが打ち込まれて逮捕者が出たことを知った。華やかな祭典の裏側に、地元住民の苦悶(くもん)が存在することを、恥ずかしながらこのとき初めて知った次第である。


ネイマールのゴールでブラジルの優位は決した




開始わずか3分、ネイマール(左)のスーパーボレーが決まった時点でブラジルは勝利に近づいた。香川はなすすべなし【Getty Images】

 さて、0−3という完敗に終わった、この試合。敗れたこと自体が残念であったが、それ以上に残念だったのが「日本らしさ」をほとんど披露することなく、それゆえ世界に対してインパクトを残すこともなく、単なるブラジルの「やられ役」に終わってしまったことである。取り急ぎ、試合の流れを振り返ることにしたい。

 この日の日本のスタメンは以下の通り。GK川島永嗣、DFは右から内田篤人、吉田麻也、今野泰幸、長友佑都。中盤は守備的な位置に遠藤保仁と長谷部誠、右に清武弘嗣、左に香川真司、トップ下に本田圭佑。そして1トップに岡崎慎司。意外だったのが、1トップに前田遼一ではなく、今年2月のラトビア戦以来となる岡崎の起用であった。この点についてザッケローニ監督は「相手のディフェンスラインの特徴を考えた上で、彼が適任だと考えた」と語っている。チアゴ・シウバとダビド・ルイスという、世界的にも極めて強固なセンターバックコンビにガチンコで挑むよりも、その裏を突くことにポイントを絞った方が勝機を見いだせると指揮官は考えたのであろう(その後、後半6分に清武を下げて、前田の1トップに戻ってしまうのだが)。

 一方でディフェンス面では、できるだけ0−0の状況を長引かせることを念頭に置いていた。それは「僕らのプラン的には、体を張りながら0−0で状況を長くして相手を焦らせたかったのはありました」という今野のコメントからも明らかだ。ところが、このプランは開始早々にあっけなく崩れてしまう。前半3分、左サイドのマルセロから、矢のように鋭いクロスが打ち込まれる。これをフレッジが胸で落とし、ワンバウンドしたボールをネイマールが右足ボレーでゴール右隅上にたたき込む。川島も精いっぱいのセービングを試みるが届かず、早々にブラジルが先制ゴールを挙げる。

 このネイマールのゴールによって、残り87分のブラジルの優位は決定付けられたと言っても過言ではないだろう。勝利への過度のプレッシャー、そしてエースの沈黙。それらの懸案事項が同時に、しかも早々に払拭(ふっしょく)されたことで、その後のブラジルはかなり余裕を持ってゲームをコントロールすることができた。前半のブラジルのポゼッションは64%を記録したが、後方でゆっくりボールを回しながら極力リスクを回避していたことは留意すべきである。対する日本は、積極的にシュートを放っていた本田を除いて、すっかりプレーに自信が失われ、本来の出来からほど遠いミスを連発。前半のブラジルにしてみれば、前半は1点のリードで十分であった。

 そして後半3分、ブラジルが追加点を奪う。ダニエウ・アウベスの右からのクロスにパウリーニョがワントラップから反転してシュート。吉田の寄せも川島のセーブも実らず、ボールは日本のゴールネットを揺さぶる。1点目同様、相手の出はなをくじくタイミングで、それほど手数をかけずにきっちり決める。ブラジルの攻撃は、いやらしいまでに効率的だ。対する日本は、2点を失っても決して意気消沈することはなかったものの、後半25分を過ぎてから目に見えて運動量が落ちていく。そしてアディショナルタイム3分、カウンターからオスカルのスルーパスに、途中出場のジョーが川島の股間を抜くゴールを決めて3−0。結局、これがファイナルスコアとなった。


ザッケローニは何を見誤ったのか?




ブラジルとは対照的に、日本の選手はコンディションが悪く、終盤は運動量も落ちた。遠藤(右)はガス欠で途中交代、本田もフル出場しなかった【Getty Images】

 試合を終えて冷静に考えてみれば、純粋に力の差がそのままスコアに表れたゲームであった。今月4日にW杯予選突破を決め、11日に最後のイラク戦を終えて、ようやくアジアでの戦いから開放された日本であったが、すぐさま「世界モード」へとシフトチェンジできるわけがない。「アジアモード」から抜け切れていない状況で、W杯優勝5回を誇るブラジルにいきなりぶつかっても、力の差を見せつけられるのは当然と言えば当然である。

 それでも、心の奥底では「多少はブラジルを手こずらせるのではないか」という願いにも似た期待が、私にもあった。おそらくザッケローニもそう思っていたことだろう。それがかなわなかった理由として、彼は「試合開始直後にゴールを決められ、(試合の)入りのところでつまずいてしまったこと」、そして「カタールからのロングフライトに加え、この試合までの日数が短かったこと」を挙げている。いずれももっともな理由だ。とはいえ後者に関しては、最初からハードな日程になることは分かりきっていたことである。

 なぜザッケローニは、選手のコンディションを度外視して、イラク戦とブラジル戦をいずれも真剣勝負で臨んだのであろうか。そこがどうにも解せない。情況証拠から考えられるのは、指揮官がこの日程を甘く見ていたか、あるいは選手のリカバリーに過度の期待を寄せていたか、どちらかであろう。それは、チーム最年長の遠藤を酷使し(彼はブルガリア戦から3試合連続フル出場だった)、とうとうガス欠を起こして細貝萌と交代(後半33分)させたことからも明らかである。およそ戦術的とは思えない、このボランチの交代を見て、ベンチは選手のリカバリー能力をきちんと把握しているのか、非常に疑問に感じた。

 一方のブラジルはといえば、異例とも言える2週間にわたる代表合宿を敢行。その間にイングランドとフランスという欧州の伝統国とのフレンドリーマッチを行い、15日のコンフェデ杯開幕戦に照準を合わせてチームの強化に取り組んできた。その間、相当にメディアや世論からたたかれながらも、しっかり結果を出す努力を怠らなかった。そんなブラジル相手に、コンディションもままならないまま日本がぶつかって、良い内容が期待できるはずがない。ブラジル戦の一番の敗因を挙げるなら、ザッケローニのずさんとも言えるプランニングに尽きると私は考える。


指揮官「見極め」の場でもある




初戦に完敗したものの大会は始まったばかり。ここから何を持ち帰るかを重視したい【宇都宮徹壱】

 とはいえ、終わってしまったことは仕方がない。それに、せっかく2年前のアジアカップ優勝でつかむことができた、今回のチャンスである。ゆえに残りのイタリア戦とメキシコ戦は、断じて無為に戦うべきではない。ついでに言えば、今さら「個の力」不足を嘆いたところで、この1週間で急激にそれが伸びるわけでもないだろう。とりあえず「世界との距離感」については、このブラジル戦で痛いくらい体感することができた。残り2試合は、より実践的に有効活用すべきであると割り切り、提案したいことが3つある。

 まず「それぞれテーマを持って臨むこと」。具体的には、チャレンジする試合、結果を求める試合、それぞれのシミュレーションをすることである。W杯本番となれば、どうあがいても勝てない相手と必ず同組となる。そこで各国の駆け引きとなるわけだが、グループリーグで最低でも勝ち点4を確保するためには当然、結果重視の試合もあれば貪欲に点を取りに行く試合も出てくる。今回のコンフェデ杯が公式戦であることを考えれば、願ってもないシミュレーションの場だ。裏のメキシコ対イタリア(現地16日)の結果を冷静に見極め、「どうすればこのグループを突破できるか」をじっくり精査しながら、今後の試合に臨んでほしいところだ。

 次に「思い切った選手起用」。2試合残っているのだから、オーソドックスな陣容で臨む試合と、やや意表を突く陣容で臨む試合があってもいい。もちろん、交代枠は3枚しかないので、できることはおのずと限られる。それでも、本田の1トップ、中村憲剛のトップ下、さらにはW酒井(宏樹、高徳)の起用など、スタート時からあらゆる可能性を探ってみるのも悪くないと思う。さすがにここで3−4−3を使うのは、いささか「やけっぱち感」を禁じ得ないが、それでも明確な狙いがあるのであれば十分にアリだ。

 最後に「現有戦力の見極め」。やや厳しい表現になるが、この大会を通して「本当に世界で戦える人材か否か」のフィルタリングがかけられることだろう(もちろん、海外組・国内組問わず)。指揮官も認めてきた通り、これまで日本は予選突破を第一優先で考え、あえて(だと信じたいが)コアメンバー固定で戦ってきた。だが、それはあくまで「アジアモード」での話。今後、「世界モード」にシフトするにあたり、これ以上の伸びしろが望めない選手がいれば、どれだけチームへの貢献度があったとしても、ここでいったんリセットする必要がある。もちろんピッチに立つ選手たちも、それくらいの緊張感を持って戦うことは言うまでもない。

 一方でコンフェデ杯の残り2試合は、ザッケローニ自身の「見極め」の場でもある。(あまり想像したくないが)もしも指揮官が残り2試合を無為に浪費し、日本らしさを表現することもなければ、本大会に向けた希望を見いだすこともできず、あっさり大会を去ることになったなら――彼との別れが1年早まることも、決してあり得ない話ではないと思う。

<了>



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何もできず完敗したブラジル戦。なぜ日本は無力だったのか?【どこよりも早い日本代表採点】 

フットボールチャンネル 6月16日(日)7時20分配信



■3-0で完敗

 コンフェデレーションズカップの初戦・ブラジル戦、日本のスタメン一覧に前田遼一の名前はなかった。代わりに入ったのは清武弘嗣。前線は昨年10月の対戦時のような本田圭佑の1トップではなく、岡崎慎司との2トップに近い形で、4-4-2ともとれるフォーメーションで挑んだ。

 前半3分、いきなりの先制パンチを食らった。マルセロからのクロスをフレッジが胸で落とすと、ネイマールがボレー。ボールは鋭い軌道でGK川島永嗣の伸ばした左手の横をすり抜けゴールマウスへ吸い込まれた。

 これで楽になったブラジルは攻め急ぐことはせず、ボールロスト時にはしっかりと戻って日本の攻撃に対応。日本もある程度ボールを持てるが、分厚い守備陣の前に決定機をつくれない。逆に鋭いカウンターに対応するため、攻撃陣も下がらざるを得ず、リズムを作れずに前半を終えた。

 反撃したい後半だったが、またも早々に失点する。ダニエウ・アウベスからの低いクロスをゴール前にいたボランチのパウリーニョがワントラップし右足を振り抜くと川島の手を弾いてネットを揺らした。

 日本はその後、清武に替えて前田遼一を投入し、攻撃陣が活性化。何度かチャンスを作るも、最後を崩し切れない。ブラジルはフッキをボランチのエルナネスに交代するなど守備を固める。

 終盤、日本のスタミナがなくなったこともあり、攻撃の形をつくれず。終盤にも失点し、3-0で終了。ブラジルに終始試合のペースを握られ、自分たちの良さを出せずに初戦を終えた。

■ザックは何がしたかったのか?

 3-0という点差もそうだが、内容を見ても何もできなかった。選手たちを擁護できる点は2つ。1つはブラジルのホームであること。当たり前だが、アウェイでの戦いは難しい。もう1つは疲労。11日にドーハでイラクと対戦し、長距離の移動を強いられた。コンディション的に難しさはあった。

 だが、2つ目はある程度防ぐことができた。勝つ必要のなかったW杯予選に今日のメンバーの多くが出場していた。普段は豊富な運動量でチームを支える岡崎と遠藤保仁は疲弊しており、後半は特にそれが顕著に。間延びしてしまったのもこのためだ。

 ブラジルとは昨年の10月に対戦しているが、その時と比べて自分たちの攻撃の形が作れなかったのは明らか。個の能力が足りないのは試合前からわかっていたことで、そこをチームとして、組織としてカバーしていくのが日本代表の良さだったはずだ。

 だが、選手たちの疲労、そして腰の引けた戦い方により停滞感の漂う試合となってしまった。一番の差が出たのが攻守の切り替え。ブラジルはボール奪取時に、一気に何人もの選手が前に走り、攻撃に圧力をかけていた。ボランチのパウリーニョが何度も前線に顔を出していたのがいい例だ。

 それに対し日本は、得意なはずの鋭さがまったくなかった。ブラジル攻撃陣を恐れてか、サイドバックのオーバーラップ、ボランチの攻撃参加が少ない。また、勇気を持って縦に早く運ぶ姿勢も足りなかった。中途半端なポゼッションでは相手を崩すには至らず、カウンターの餌食になった。

 一体ブラジルを相手にどういうサッカーで、どうやって勝つイメージを指揮官は描いていたのだろう。何をしてもどっちつかず、(日本にとって)煮え切らない試合展開は、ある程度守りつつも、自分たちの攻撃の形は作りたい、という中途半端な戦術が生んだものだ。

 日本はまだ成長過程のチーム。ブラジルのような強豪国とは異なり、二兎を追っていいレベルにない。もちろん、本番はW杯だ。だが、この試合はザッケローニの3年間の集大成でもある。

 昨年の対戦は大差こそついたが、日本の形が見え、大きな希望を抱けた試合だった。今日の試合は点差こそ縮められた。だが、試合後に残ったのは希望よりも絶望に近い。選手たちが目指すW杯優勝は、遠ざかった。そしてチームとしての成長はあまり見られないと言っていい。

■どこよりも早い採点

川島永嗣 5.0 決定機を防ぐ場面もあったが、全体的に落ち着きが足りない。
今野泰幸 4.5 先制点は危険察知能力の欠如。ネイマールをフリーにしてはいけないのはわかっていたはずだが…。
吉田麻也 4.5 前線に出てくるパウリーニョも捕まえられず。3点目の対応もいただけない。
長友佑都 5.0 攻撃参加の回数少なく。彼が前に出て行かなければ、左サイドの攻防は厳しくなる。
内田篤人 5.5 ネイマールへの対応は良かった。何本かクロスでチャンス作る場面も。
遠藤保仁 4.5 疲労がたまっていたのは明らか。ボールを前に運ぶのに苦労し、前線にも顔を出せず。
長谷部誠 4.5 パス精度、展開力のなさを露呈。
清武弘嗣 5.5 苦しむ場面もあったが、チャンスを演出していた。交代させられるほど出来は悪くなかった。
岡崎慎司 5.0 疲れていた。前半まではゴール前での飛び込みなど悪くなかったが。
香川真司 5.5 前半はいくつかチャンスに絡む。狭いスペースで脅威になっていたのは彼だけ。
本田圭佑 5.0 シュートは鋭かったが、ボールキープ力は確実に衰えている。

前田遼一 5.0 投入後、攻撃はやや活性化した。しかし得点は生まれず。
細貝 萌 5.5 守備での落ち着きはあった。集中していた。
乾 貴士 - 出場時間少なく採点不可。

ザッケローニ 4 昨年からチームをレベルアップさせられていないことが明らかに。交代のタイミングも相変わらず悪い。
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植田路生



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