大好きなイタリアには数え切れないくらい魅力的な街がたくさん。それでもどこが一番好きかと聞かれたら迷わず答えるだろう、トスカーナだって。トスカーナ、これは現在イタリアを区分するレッジョーネのひとつ。フィレンツェを州都とするおおきな地方だ。イタリアを代表するワインとオリーブの産地であり、まさにこの国をイメージさせるのどかな丘陵部に囲まれた小さな町や村が多い。FIESOLE(フィエゾレ)もそんな中のひとつ。
観光客であふれかえるフィレンツェから市バス(7番)に揺られること30分。にぎやかな街はあっという間に後方に去り、車窓からは思わず身を乗り出したくなる美しい景色が広がりだす。と、バスは小さな広場に到着。ここまで乗って来る乗客はわずかだ。
高い鐘楼を持つ教会の建つここが街の中心。あたりには…何もない。バスの運転手もふらふらとどこかへ行ってしまうし、観光客らしい姿もほとんどないし、ちょっと不安になるかも知れないけど?
さあ、歩き出すのはバスの後方に見えた糸杉の立つ丘。細い路地(坂道)を歩いて行こう。
昔ながらの石造りの壁に石畳。静かな静かな時間が流れてる。ふっと、自分の足音だけが響いてることに驚いたり。
角を曲がると…きれいに色づいたつたの葉。こんな空間を独り占めしてることが嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。
さらに坂道を上って行くと小さなリストランテ。あぁ~、時間があればこんなところでのんびり食事もいいな。
ここまで来るとさっき歩き出した教会のある広場からさらに奥の丘陵部が見えてくる。
そしてほら、リストランテの先の展望台からはトスカーナのこの眺め。
遠くまで広がるぶどう畑にオリーブ畑。そして天に届くように高くのびる糸杉。それらが織り成すこの風景はどんな素晴らしいモニュメントよりこの国の宝だと私は思う。いつだって時間に追われる日々の中でささくれだった心が、この風景の中で過ごすわずかな時間にどれだけ癒されることか…
はぁ~っと大きく深呼吸したら、そう、また頑張れそうな気持ちになる。結構単純なものだ(笑)。さて、広場へ引き返そう。
限られた時間の中ではなかなかのんびりともいかないけれど、バス停の前っていう安心感もあってお気に入りのBAR。この時季はぶどう棚も色づいてていい感じ。
丘陵部も眺められる絶好の場所ながら、ざわつくこともなく居心地のいい場所。
傾きはじめた西日を浴びながら過ごす午後のひと時。ひとりの気楽さも去ることながら、隣にはやっぱり誰かいても…いいかも知れない?
どんどん長くなる影。そろそろ帰ろうかな。
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