奥様は海外添乗員〜メモリアル

Happy Easter!

    

今年になってからも何度か書いてきたように今日、4月12日(日)はイースター。早い話、十字架に架けられ亡くなったイエス・キリストの復活を祝うキリスト教上の祝祭日。毎年日が変わる移動祝祭日なのでちょっとややこしいけれど、比較的遅めの日取りとなった今年のイースター、世界各国に散らばる信者さんたちはうきうきしながらこの日を待ち続けてきたんじゃないかな。あっと、ただしギリシャあたりの東方教会でのイースターは来週の日曜日。なぜこれだけの大祭でありながら日にちが違うかといえば、使用する暦が異なるから。西方教会(カトリックやプロテスタントの宗派はこちら)が用いる暦は16世紀後半にローマ教皇グレゴリウス13世によって制定されたグレゴリオ暦。それまでのユリウス暦(ローマのユリウス・カエサルが紀元前に制定)から生じる誤差を訂正した暦で、日本もこれを使用。ところがギリシャ正教会などは昔ながらのユリウス暦を使用しているので、イースターの日取りにも誤差が出てしまっているというわけ。

ところでこのイースターをはじめキリスト教国にはたくさんの宗教行事が存在するし、現地で目にするもの、耳にするものの多くがやっぱり宗教がらみ。信者さんでない者にとっては時にわかりにくく、取っ付きにくいものかも知れないね。でも普段宗教には無縁の生活をしている者には想像がつかないくらい、こういった国の人々の生活の根底に宗教ってものが存在するってこと。特にヨーロッパの旅から宗教を切り離そうと思ってもなかなかそうはいかない。頻繁に訪れる教会や美術館で目にするものの多くは宗教を題材にした絵だったり彫刻だったり。どこへ行っても目にする暗くて意味不明な宗教芸術にギブ・アップした経験がおありでは?

いわゆる宗教芸術の役割は「目で見る聖書」。当時ラテン語で書かれていた聖書を読める人はほんのわずかだったから。つまり教会が行う様々な儀式にしても、宗教をテーマとした芸術品にしてもそれは全て聖書の中に書かれていることの再現ってこと。ちなみにこの聖書、今では各国の言語に訳されて手に取ることも簡単にはなったけど、とってもわかにくい言い回しなのでクリスチャンでもない私は完読は無理!と、さっさと諦めた。ただ新約聖書の福音書の中に書かれているイエスの誕生から受難に至ってはひとつの絵巻物として見ると結構興味を持てるかも。何しろ現地で目にするものの多くはこの中の出来事を題材としているから。そして先週の日曜日からはじまったこの聖週間が、そんな中のまさにクライマックス。折りしも今日がイースター、ということでちょっと紹介してみると…

    

・棕櫚の日曜日:イースターの一週前の日曜日。イエスが12人の弟子たちとともにエルサレムに入城した日で、この時地元の人々が棕櫚の枝を持って歓迎したことからこの名がついた。聖週間のはじまりとなるこの日、信者さんたちは棕櫚の枝、もしくはそれに見立てたオリーブの枝を持って教会に出かけ、祝福をいただく。持ち帰った枝は家の中に1年間飾っておくんだそう。ろばにまたがるイエスを大勢の人々が出迎える図がこの場面だ。

・聖木曜日:その週の木曜日は「洗足日」とも呼ばれる。難しいことはさておいて「最後の晩餐の日」といった方がピンとくるかな。この日ユダヤ人たちの過越の祭りの習慣に従いイエスと弟子たちも食事の席を設ける。これから食事がはじまろうという時にイエスが語る「汝らのひとり、我を売らん。」という予言に弟子たちがざわめく様子を描いたのが有名な「最後の晩餐」の図。この場面はとりわけ多くの芸術家によって描かれ、彫られているけれど中でも最高傑作とされるのがミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラッツェ教会(元修道院の食堂)に描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチの作品。

・聖金曜日:この前夜にはユダヤ人らによって取り押さえられローマ兵に引き渡されたイエスは「偽預言者としてローマに反逆を企てた」という罪目で十字架に架けられる。自らその十字架を背負わされてゴルゴダの丘へ向かう姿、そして十字架に架けられた姿は必ず目にしたことがあるでしょう?「神様、なぜ私を見捨てられたのですか。」そういい残してこの日のうちにイエス・キリストは亡くなる。「受難日」「受苦日」とも呼ばれ、この時の様子を再現する「受難劇」が行われることも多い。

・聖土曜日:まさに教会も信者さんも喪に服す日。この日は結婚式はもちろん葬儀も行われないんだそう。カーノバルの後はじまった四旬節の終わりの日でもある。

・イースター(復活祭):亡くなったイエスが復活した日。一度亡くなった者が生き返ることなど到底信じられないことかも知れないけれど、復活後イエスは500人もの人の前にその姿を現したとか。もちろん教会では盛大なるミサが行われる。イースターの時季にたまごをたくさん使ったケーキや焼き菓子を食べるのも、この日まで続く四旬節の中で断って来た動物性タンパクを摂ろうという習慣の名残り。

こう見ていくと現在世界中に多くの信者さんを持つこの宗教の原点はまさにイエスの復活。一度は亡くなった彼が復活したことで人々はイエスが本当に「神の子」であり「救世主」であったと信じたわけで。だからイエスの誕生を祝うクリスマス同様にこの復活を祝うイースターが信者さんにとっていかに大切な祝事であるかということは、十分想像できるよね。時差の関係であと数時間後にその日を迎えるヨーロッパでは、今か今かとその時を待っているんじゃないかな。「イースターおめでとう!」と頬にキスし合う風景を思い描きながら、これから私も時差を超えてそんなおめでたムード一色のヨーロッパへ向けて出発だぁ♪



みなさんからのコメントはいつも楽しく読ませていただいています。ただ諸々の理由によりこの年明けからコメントへのお返しはしていませんのでどうぞご了承下さい。また旅関係のご質問やリクエストに関しては、できるだけ今後のブログ上に反映させていきたいと思っています。

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