小旅行

姉が墓参のため帰省した。
4泊５日の小旅行である。

父を慕い、母を忌み嫌った姉は、今年76歳だ。

姉弟で水入らずの時間を持つことができた南阿蘇・くじゅうの旅で、どうしても解決しておきたい件がある。

この機会を逃したら二度とチャンスは巡ってこない気がした。

長年の母娘の確執は、些細なことが原因である。

熊本に住む自分が2人の状況は、一番よくわかっていた。

ゆっくり話し合い、長年の亡き母へのコダワリをかき消すことができた。

お互い老いを感じだしている二人にとって、良い旅となった。

昨日、再会を約束して東京へと帰って行く姉の姿は、痞が取れたように晴れ晴れとしていた。

有川 浩の「空の中」

かれのせかい

すべてを孕む深淵の中にかれはいた。

かれはその深淵に存在することを望み、
かれの望みを阻む物事は深淵に存在せず、
かれはこれから先にかけても既定の事実のように、
何らの齟齬も瑕疵もなく存在し続ける。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　―そのはずであった。


有川　浩の「空の中」に出てくる序文をみて、何のことか判らなかった。
読み進むにつれ、ぼんやり見えてきて最後にようやく理解ができるという筋書きがたまらない！！

気さくな「宮じい」の存在も光っている。