お籠もり
お籠もりの意味として、昔、「お日待ち祭」とも言われ、それは布団などを持ってお宮に集い、直会を行い、夜明けまで過ごすものであったらしい。
これは、天皇即位の時、大嘗祭を行いその後の大饗の儀で、天皇としての資格完成のために、蓐・衾を備えた悠紀主基殿で神と寝食を共にし、天皇霊が身体に入るまで引き籠もり深い物忌みを行っていることと同義である。(この儀式は、一説には、天孫降臨の時邇邇芸命が真床襲衾を被っていたことに由来するとしており、これを取り除いたとき完全な天子になるのである。)また、「天の岩戸」も同じことで、再生や甦りなどの意味がある。
また、伊邪那美神が黄泉の国の食事をしたために伊邪那岐神が迎えに行っても戻ることが出来なかったことや「同じ釜の飯を食べたなか」と言う言葉があるが、寝食を共にすることによって人と人のつながりを強くする特別な意味を感じる。それは村社会においては共同体の意識をより強く深めるということである。
お籠もりは、各地方によって様々な時期に行われているが、当地域では、一年を四月ごと三つに区切り、その始めに神前で心を整え、惰性に流されやすい日々に活力を甦らせることを目的としているものである。
村という稲作を中心とした共同作業の中で、まず正月に豊かな稔りを祈り、その年の種籾を選び、五月には田植えの順序・手順等を話し合い、九月には、稲刈りの順序・手順等を話し合い、共同体としての絆を深め、村全体の豊かさを求めることを目的としていたために正・五・九月に行われるようになったと考えられる。
参 照
斎籠もる・忌籠もる
けがれに触れないように、身体を清めて家または社寺の中にこもる。
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