ナガイケン ありがとうブログ

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小説 ホテル食パン  ナガイケン

2021-10-16 | 自己啓発&スピリチュアル
小説 今回は純文学

ホテル食パン

ナガイケン

私、高木洋が25歳、戦争が終わり、まさに奇跡的に戦地から日本に帰り。
復興を遂げたこの田舎町に、小さなパン屋を開いて10年が経った。
まだまだ貧しさの残るこの日本の街で、商売を成り立たせていくのに必死で働いた。
私の作るサンドイッチが評判になり、繁盛してきた昭和40年、

店員として働くようになった真美に出会った。彼女は真面目に非常によく働くので、ほどなくしてお互いを愛おしく感じるようになり結婚をした。
2年後に娘の舞が生まれた。

創業して約15年が経った昭和45年
いつも通り朝の仕込みを始めた午前5時くらいだったろうか。
店のシャッターをコツコツと叩く音が聞こえた。
シャッターを開けるとそこには小学校2年か3年ほどだろうか?

痩せ細って、うっすらと汚れた服装の小さな男の子が立っていた。
かなり貧しい暮らしをしていることが見てとれた。

その男の子は私の顔を見るなりこういった

「おじさんパンの耳が残っているんだったら分けてもらえませんか?」

貧しい家で生活に困窮をして空腹に耐えかねて来たのだろうか。  
ましてや、そんな言葉を初めて会う知らない人に言うのに、どれだけの勇気が必要なのだろう。

「うっ!」私は思わず目頭が熱くなるのを抑えて
「いいよ持っていきな。ほらこの袋に入ってるから」
お腹が空いてるのか。そうか、と思い
「朝来たら、何も言わなくてもおじさんが袋に詰めて置いてあるから時々取りに行きな」
と言って送り出した
少年は何度も何度も頭を下げながら、パンの耳の入った袋を嬉しそうに抱えて帰っていった。
その後、この男の子は安心したのか、週に1回か2回だろうか私の準備していたパンの耳を取りに行きてはうれしそうに持って帰る日々が確か3年ほど続いただろうか。

時々は妻の真美が少し余計に作ったポテトサラダやコロッケなども持たせていたようだった。

いつしかその少年も、引っ越してしまったのだろう、来なくなり、そんな少年のことを忙しい日々の中でも
時々思い出していた。

第二章
時は過ぎた。早いものだ
激動の昭和も終わりを告げ、平成という時代が来た。
経済的にはこの日本の国もずいぶん繁栄する国へと変わってきている。
私のパン屋のほうも順調に経営を続け、市内に5つの支店を作り、順調に成長している。

ある日1人の青年が紙袋を抱えて店にやって来た。
平井公一と名乗り、こう切り出した。

「私は今から10数年前に朝パンの耳をもらいに来ていた男の子です
あの時は本当にありがとうございました。おかげで家族4人飢えをしのぎ、何とか生命を繋ぐことができました」

私はそれを聞いて思い出した。

「君か!元気にしていたのか!よかった!今どうしているんだい?」

と聞くと、彼はこう言った。

「あれから中学を出て、家が貧しかったから、進学をせず、就職をすることにしました。東京都内で新聞配達をして住み込みで、朝早くから一生懸命に働きながら製菓の専門学校に通いました」

「そうだったのか。よかった!それで今は?」
と尋ねると、
彼は、「自分の作ったパンです」
と言いながら袋を渡して来た。

「私は社長さんに、パンの耳をいただいていた時から社長さんのような温かい心の人間になりたいと思い、すぐに将来の仕事をパン屋に決めました。
本気でお菓子作りパン作りを学ばせていただきました、そしてようやく練馬にお店を開くことができ、今では軌道に乗り、ケーキやパンを作りながらご飯を食べていけるようになりました。 これも社長さんの温かい心に学ばせていただいたと思い、今でも感謝を忘れない気持ちで仕事をしております」
「そうだったのか。よかった君がどうしているかと時々思い出していたよ。話を聞いて、本当に本当に安心したよ」
「そしてこのパンは私が丹精込めて焼き上げた食パンです!ぜひ社長さんにひと口味わっていただきたいと持って参りました」

私はそのパンを受け取ると、袋に手を入れて少し千切って口にほおばった。
そのパンの味は私の作るホテル食パンと同じじゃないか!
とすぐにわかった。

彼は私の作るパンを目標に努力を続けてきてくれたんだ。
ということに初めて気付いた。
その途端、私の目から涙がこぼれてきた。

「よかったなぁよかったよかった」

私は、パンを口に入れ、もぐもぐしながら涙を流しながら、その立派になった彼の顔を見ながら、小学校の時のやせ細っていた彼の姿を思い出して幸せを噛み締めているのだった。

 了

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小説 金おじさん

2021-10-16 | 自己啓発&スピリチュアル
働くという事はどういうことなのか。

生きるために働く。もちろんそうだろう

お金の為に働く。 なるほど。

家族の命を支える為に働く。それもありますね。


もう10年前の話になってしまうが。

ある日、私の勤め先の海産物加工の会社に掃除の仕事に老夫婦がやって来た。

中国から帰ってきた帰国子女、とっても70過ぎの老夫婦だから子女といってもちょっと違う気もするが、ひょうきんなそのご主人は金さんと言って非常に朗らかな老人だった。

平成も25年経ち、時代も終盤に差し掛かる時期は、私たち一般の日本人でさえ仕事を探すのが大変なご時世、
突然中国から帰ってきて2人に仕事などあるわけがない。

金さんは帰国後ほどなくして自分の住む団地の掃除や草むしりを始めた。
もちろん無償である。

1ヵ月2ヶ月と日にちが経つにつれ、じわじわとまるで見違えるように街がきれいになってきた。
雑草など1本も生えていない。
ゴミも1つ落ちていない。
そんなきれいな街になってきた。

地元の人達は、街の集会所に集まると、昼間あの中国から帰ってきたおじさんが掃除をしている。
と言うことを常々噂で話していた。
街を散歩する度に金さんがどこかの場所にうずくまり草抜きや掃除をしているのだ。

夏のある日、又、街の喫茶店でこの話が出ていた。
ちょうどコーヒーを飲みに来ていた近所の製鉄所の林社長さんがこの話を耳にした。
「ほう。そんな人がいるのか?じゃぁもしよかったら声をかけに行くから紹介してくれないか?」
と街の人に尋ねてきた。

街の人と団地に上っていくと、いつものようにその老人が小さくうずくまりながら、顔を土に汚しながら、一生懸命に汗をかきながら草むしりをしていた。
「おじさんおじさん。私ね下町の林鉄工所の林と申しますがもしよかったら週に何日でもいいのでうちの会社の掃除に来てくれないかね?」
と頼んでいました。
金さんは、ニコニコとした笑顔で私日本語があまりわからないのです。と言うので。
では早速来週の月曜日の朝頼むねと言ってその時は話は終りました。
そうやって林製鉄所で掃除を始めて、会社中をピカピカにする金さんの噂を聞いて、近所のいくつかの社長さん達から、
それなら火曜日は家に来てくれ。
じゃあ水曜日は家に来てくれ。
土曜日だけど来てくれるかなぁ?
などとたくさんの企業や商店などから声がかかるようになりました。


そうやって日々いろんな企業商店を変わり番に身を粉にして働く金さん。

彼が掃除をして回った企業や商店そして団地や住宅地の雑草はどんどんなくなりゴミ1つ落ちていないきれいな街に生まれ変わった。

それと同時に金さんの土日も構わず早朝暗い時間から日が落ちるまで、掃除をする姿を見た地域の住民たちも街をきれいにすると言う意識が高まったのであろうか、ゴミをポイ捨てなんてしない、一人一人が時間が開けば掃除をする街になったのだ。

またそのひょうきんな人柄から各企業の従業員や街の人に愛されるキャラの金さん、みんなに尊敬されニコニコと働く姿は地元の小学校の子供たちの模範にもなっていたと聞く。

3年ほど経ち。

そんな金さんとの別れは案外早くやってきた。

私が聞いたのは病院で胃がんの宣告をされたと言う話だった。

彼は医療の継続を拒み、そのまま働き続けると言う道を選んだ。

病院に入り抗がん剤を飲み始めてしまうと、寝たきりになってしまうかもしれない。と言うことから、彼はそのまま掃除をし続けて自宅で死にたいと言ったのだ。

病院の先生も、お年寄りだからそんなに急には悪くならないでしょ。と彼を励ますように言って彼の要求を受け入れた。

そんなこんなでがんの宣告を受けて3ヶ月後、奥さんから連絡が入り、金さんが自宅で血を吐いてそのままなくなってしまった。という。
僕は彼の身を粉にして働く姿を見て、自分の気持ちの中で心の師匠とまで思っていた金さん。
73歳でこの世を去ってしまった。

7月14日、通夜の夕方は、地元の葬祭センターの駐車場が手前から1キロメートル程渋滞になったそうだ。
タクシーの運転手さんが、「誰か議員さんでも亡くなったんですかね?」と噂するほどだったらしい。

あなたは、明日からどんな気持ちで働きますか?

そんなことを真剣に考えさせる人との出逢いだった。


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ちきゅうあそびゲームを最大限に楽しむ9つの法則

2021-10-16 | 自己啓発&スピリチュアル
ちきゅうあそびゲームを最大限に楽しむには。
9つの法則を知ると俄然たのしくなります。
(もちろん知らずに右往左往するゲームコースも選択可能!!)

9つの宇宙の不変の法則集

思いは物
陰陽はバランスを取り続ける
次元は鏡(全て反対のものがある)
今を受容する(しかない&しかできない)
波と粒でできている
原因に沿った結果ができる(引き寄せ)
見方で人生が変わる
行動で人生が変わる
設定で人生が変わる

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